米国が中国本土などへの追加関税を一部撤廃 米中貿易への影響は
米国政府が2025年5月14日から、中国本土や香港特別行政区、マカオ特別行政区からの輸入品に課していた追加関税を一部撤廃・緩和しました。米中のハイレベルな経済・貿易協議の合意を受けた今回の動きは、国際貿易とサプライチェーンにどのような影響を与えるのでしょうか。
米国の関税調整のポイント
中国商務省によると、米国政府は大統領令に基づき、中国本土や香港特別行政区、マカオ特別行政区からの中国製品に対する追加関税を、次のように見直しました。
- 追加91%関税の撤廃:2025年4月8日の大統領令第14259号と4月9日の第14266号に基づき、中国本土、香港特別行政区、マカオ特別行政区からの貨物に課されていた追加91%の関税が、東部時間5月14日午前0時1分から撤廃されました。
- 34%の報復関税の一部停止:2025年4月2日の大統領令第14257号に基づく、中国本土などからの輸入品への34%の報復的な関税について、このうち24%分を90日間停止し、残り10%を維持する措置が取られました。
- 小口荷物・国際郵便への負担軽減:中国本土と香港特別行政区から米国へ送られる小口荷物に対する関税が減免され、国際郵便に適用される従価税率(価格に応じてかかる税率)は120%から54%に引き下げられました。また、1品目あたりの特定税(定額の関税)を2025年6月1日から100ドルから200ドルへ引き上げる計画も取り消されています。
追加関税の撤廃や停止は、中国本土や香港特別行政区、マカオ特別行政区から米国に向かう輸出品の価格を下げる方向に働き、企業にとってはコスト負担の軽減につながります。
米中ハイレベル経済・貿易協議が背景
今回の関税調整は、2025年に行われた中国と米国のハイレベルな経済・貿易協議で得られたコンセンサスに基づくものだと、中国商務省は説明しています。協議の結果を受けて、米国側が追加関税の「撤廃」「停止」「調整」に踏み切った形です。
商務省によれば、この米国の動きに対し、中国側も対抗措置を見直す方針です。具体的には、米国からの輸入品に対する関税措置だけでなく、非関税措置も含めて、相応の調整を行うとしています。
中国側の「関税・非関税措置」見直しとは
商務省が言及した「関税」と「非関税措置」は、次のような仕組みを指します。
- 関税措置:輸入品にかける税率を上げ下げすることで、価格や輸入量に直接影響を与える手段です。
- 非関税措置:輸入枠や手続き、検査・認証基準など、税金以外のルールによって貿易を調整する手段です。
今回、中国側は「相応の調整」を行うとするにとどめ、具体的な品目や税率には触れていません。今後、米国側の措置とのバランスを見ながら、どの分野で緩和を進め、どの分野を維持するのかが焦点となりそうです。
日本やアジア企業にとっての意味
米中貿易の動きは、日本を含むアジアの企業にも波及します。今回の追加関税の撤廃・緩和は、次のような影響をもたらす可能性があります。
- 中国本土経由で米国市場に製品を供給している日本企業にとって、米国向け輸出の価格競争力が高まりやすくなる可能性があります。
- 国際郵便や小口荷物を活用する越境電子商取引事業者にとって、送料や税負担の見通しが立てやすくなり、ビジネスモデルの設計もしやすくなります。
- 米中間の通商摩擦が一定程度和らげば、世界経済の不確実性がやや低下し、企業の投資判断やサプライチェーン再構築の計画にとってプラスに働く可能性があります。
特に、越境電子商取引で中国本土や香港特別行政区から米国に商品を届けている事業者にとっては、国際郵便の従価税率引き下げや特定税引き上げ計画の撤回は、コスト構造に直結する重要な変更です。
2025年12月時点での注目ポイント
2025年12月現在、今回の措置がどのように定着していくのかは、依然として重要な観察ポイントです。企業や投資家が見ておきたい点として、次のような論点が挙げられます。
- 当初90日間とされた24%分の関税停止措置が、今後どのような位置付けになるのか。
- 中国側が関税・非関税措置の調整をどの範囲で行い、どの分野で現状を維持するのか。
- 小口荷物や国際郵便の税率引き下げが、消費者価格や物流ルートにどの程度反映されるのか。
米中関係の変化は、為替や資本市場、企業の投資戦略などにも波紋を広げます。関税という一見専門的なテーマも、ネット通販の送料や身近な製品の価格を通じて、私たちの日常とつながっています。
2025年の今回の関税調整が、米中経済関係の安定に向けた一歩となるのか、それとも新たな駆け引きの一局面にとどまるのか。今後の交渉の行方を丁寧に追うことで、世界経済のリスクとチャンスをより立体的に捉えることができそうです。
Reference(s):
cgtn.com








