失われた文化財を故郷へ 国際博物館の日と返還のいま video poster
失われた文化財を元の土地に返そうとする動きが、国際ニュースの中で今あらためて注目されています。2025年5月18日の国際博物館の日にあわせて、CGTNは香港のHong Kong Palace Museum館長、ルイス・ン氏にインタビューを行い、失われた・盗まれた文化財の返還をめぐる世界的な潮流と、博物館がどのようにこの流れを支えているのかを掘り下げました。本記事では、そのテーマを手がかりに「文化財返還」という争点を整理し、私たちが何を考えればよいのかを探ります。
失われた・盗まれた文化財とは何か
国際ニュースで語られる「失われた」「盗まれた」文化財とは、戦争や植民地支配、違法な取引などを通じて、本来ゆかりのある土地や地域から持ち出された美術品や歴史資料を指します。絵画や彫刻だけでなく、考古学的遺物、儀礼に使われた品々、古文書など、形も背景もさまざまです。
こうした文化財の返還を求める声は以前からありましたが、近年は次のような理由から「グローバル・プッシュ」と呼べるほど大きなうねりになりつつあります。
- 歴史的な不正を見直そうとする国際的な議論の高まり
- デジタル技術により所蔵品の来歴がたどりやすくなったこと
- 文化財を所蔵する側と返還を求める側の双方が、対話を重ねる場が増えてきたこと
返還の議論は、単に「誰のものか」を争うだけでなく、歴史の記憶をどのように共有し、次の世代に伝えるのかという問いとも結びついています。
国際博物館の日とCGTNのインタビュー
国際博物館の日は、博物館の社会的な役割を考えるために毎年5月18日に設けられている記念日です。2025年のこの日に合わせて、国際メディアCGTNは香港のHong Kong Palace Museumを率いるルイス・ン氏に話を聞き、世界各地で進む文化財返還の取り組みを取り上げました。
インタビューでは、次のようなポイントがテーマになりました。
- 失われた・盗まれた文化財の返還に積極的に取り組む国や機関はどこか
- 各国の法制度や歴史認識の違いが、返還プロセスにどう影響しているか
- 博物館が、返還交渉や共同研究、共同展示などを通じてどのように支援できるか
Hong Kong Palace Museumは、伝統文化の継承と国際交流の両方を担う拠点として設立された博物館です。そのトップが文化財返還の議論に参加すること自体、アジアの視点からこの問題を語る重要な機会と言えるでしょう。
博物館はどう返還を支えるのか
CGTNのインタビューが示すように、文化財返還の動きの中で、博物館は単なる「展示の場」から、一歩踏み込んだ役割を求められています。
具体的には、次のようなアプローチが注目されています。
- 所蔵品の来歴を公開し、どのような経緯で収集されたのかを透明化する
- 返還を求める側の専門家や地域コミュニティと共同で研究を行う
- 返還前後も、共同展示や巡回展などを通じて文化財を広く紹介し続ける
- 実物の返還が難しい場合、精密なデジタル記録やレプリカを共有し、学習や研究の機会を確保する
こうした取り組みは、文化財をめぐる「奪い合い」を避けつつ、互いの信頼を深めるための現実的なステップでもあります。
文化財返還が投げかける三つの問い
文化財返還のニュースを追うとき、私たちは次のような問いを意識すると、議論の立体感が見えやすくなります。
- 誰の「所有」かだけでなく、「誰の記憶」を守る文化財なのか
- 世界中の人がアクセスできることと、ゆかりのある地域で展示されることをどう両立させるか
- 返還そのものだけでなく、共同研究や教育プログラムを通じて、どんな未来志向の関係を築けるか
これらの問いに明快な答えはありませんが、だからこそ各国や博物館、コミュニティが対話を続ける意義があります。
ニュースの先を考えるきっかけに
2025年の国際博物館の日に合わせたCGTNとルイス・ン氏の対話は、失われた文化財をめぐる議論が、もはや一部の専門家だけの話題ではないことを示しています。私たち一人ひとりも、次のような身近なところからこのテーマに関わることができます。
- 旅先や地元の博物館で、展示の来歴や解説に意識的に目を向ける
- 文化財返還に関する国際ニュースや解説記事を、日本語で継続的にフォローする
- SNSで気になった記事や視点を共有し、友人や同僚と意見を交わしてみる
文化財の返還は、過去の整理であると同時に、これからの関係を形づくるプロセスでもあります。国際ニュースを日本語で丁寧に追いながら、自分なりの視点を少しずつ更新していくことが、静かで確かな一歩になるのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








