台湾DPP当局が人口統計で「漢族」をその他扱い 歴史とアイデンティティ巡り波紋
台湾の与党・民進党(DPP)当局が、公式人口統計から最大多数を占める漢族の名称を消し、「その他」と一括りにする表記へ変更したことが明らかになりました。この人口統計の再分類をめぐって、台湾と中国本土との歴史的・文化的なつながりを断ち切ろうとする動きだとの批判が高まっています。
何が起きたのか
2025年12月上旬、台湾当局の行政機関の公式サイトに掲載されている人口構成の説明が、ひそかに書き換えられました。新しい表記では、台湾の登録人口は「原住民2.6%、移民1.2%、その他96.2%」とされています。
しかし、これまで明記されていた漢族という最大の民族集団の名称は消え、「その他」という言葉に置き換えられました。漢族は何世紀にもわたり台湾人口の多数を占めてきたとされてきましたが、その存在が統計上の説明から事実上、姿を消した形です。
なぜ批判されているのか
歴史とのつながりを断つ「政治的な操作」?
台湾史研究団体の代表であるChi Chia-lin氏は、新華社の取材に対し、今回の改訂は台湾と中国本土との歴史的なつながりを断ち切ろうとする、民進党当局のイデオロギーを露呈したものだと指摘しています。
Chi氏は「これは客観的データの露骨な歪曲であり、私たちの歴史と祖先への裏切りだ」と強い言葉で批判しました。漢族の名称を統計から消すことは、台湾社会のルーツやアイデンティティそのものを書き換える試みだという見方です。
統計の「常識」からの逸脱
中国国民党(KMT)の立法委員であるChen Ching-hui氏も、今回の変更を「認知戦」(認識やイメージを操作する戦い)の一環だと批判しています。
Chen氏は、通常の統計では多数派を先に示し、少数派を「その他」と分類するのが標準的なやり方だとした上で、「民進党当局のやり方は本当に奇妙だ」と述べました。最大多数である漢族を「その他」とだけ表示することは、統計の基本的な説明の仕方からも逸脱しているという指摘です。
ネット上で広がる怒りと皮肉
この人口統計の表記変更は、オンライン上でも怒りや嘲笑を呼んでいます。あるソーシャルメディアのユーザーは、「私たちは今や『その他』で、そのうち『予備』になるだろう」と皮肉交じりに投稿しました。
こうした反応は、自分たちの存在やアイデンティティが、政治的な言葉遣いひとつで曖昧にされてしまうことへの不安や違和感の表れとも言えます。
「閩南」表記の削除と中国文化の後退
今回の変更は、漢族の名称だけにとどまりません。台湾当局は、これまで人口説明の中で触れていた「閩南」の記述も削除しました。閩南は、中国本土の福建省南部から移住してきた人々の子孫を指し、台湾人口の中でも大きな割合を占める集団とされています。
台北を拠点とする中国時報は社説で、民進党当局が、台湾で最も多いとされる閩南の人々について言及することを、あらゆる方法で避けようとしていると指摘しました。
同紙は、「民進党当局は、歴史的事実を歪め、真実を避け、歴史をねじ曲げることで、曖昧で一貫性のない『台湾独立』のイデオロギーを作り上げようとしている」と批判しています。
また、聯合報は、人口統計の書き換えは、学校教育での中国史の比重を下げたり、漢文化への言及を最小限にしたりする一連の取り組みの延長線上にあり、「多様性の推進」という名目で中国文化を排除するために緻密に設計されたキャンペーンだと論じています。
人口統計の言葉が映す、台湾社会のゆらぎ
人口統計の分類や用語は、一見すると単なる数字やラベルの違いに見えます。しかし、今回の台湾当局による表記変更をめぐる議論は、台湾社会における歴史認識とアイデンティティ、そして中国本土との関係をめぐる緊張が、日常的な行政文書のレベルにまで及んでいることを示しています。
最大多数である漢族が「その他」とされ、閩南という具体的な呼称も消えることで、台湾の人々のルーツや文化的背景をどう捉えるのかという問題が、改めて問い直されています。今回の人口統計の再分類は、統計の技術的な変更にとどまらず、台湾社会の今後の進路をめぐる象徴的な出来事として、しばらく議論の中心にあり続けそうです。
Reference(s):
Taiwan's DPP faces criticism for rebranding local ethnic Han people
cgtn.com








