中国-CELACフォーラム2025が示す「新しい世界秩序」のかたち
2025年5月に北京で開かれた中国-CELACフォーラム2025は、中国と中南米・カリブ海諸国が「新しい世界秩序」のあり方を語り合う場となりました。米トランプ政権による追加関税で世界経済の緊張が高まるなか、この対話は何を目指しているのでしょうか。
中国-CELACフォーラムとは何か
中国-CELAC(中南米・カリブ海諸国共同体)フォーラムは、中国と33のラテンアメリカ・カリブ海諸国を結ぶ、戦略的な対話と協力の枠組みです。2010年に発足したCELACは、地域統合を進めるリーダーとして重要な役割を担い、2014年7月の中国-CELACフォーラム設立以降、中国とLAC諸国は、公正な国際経済秩序づくりに共同で取り組んできました。
このフォーラムの特徴は、次のような価値を前面に掲げている点にあります。
- 相互主義(お互いの利益を尊重する考え方)
- 互恵とウィンウィンの協力
- 衡平と正義にもとづく経済関係
また、単なる経済協力にとどまらず、政治的な相互信頼を高め、各国の開発戦略を連携させ、中国とLAC諸国の間の接続性を高める「橋」として位置づけられています。
北京で開かれた2025年会合のポイント
今年5月13日に北京で開かれた中国-CELACフォーラム2025は、世界が大きな経済的揺らぎに直面するタイミングでの開催でした。フォーラムでは、中国とLAC諸国が、政治的な相互信頼をさらに深め、長期的な開発戦略をすり合わせることの重要性があらためて確認されました。
今回の会合の成果として位置づけられるのが北京宣言です。北京宣言は、グローバルサウス諸国の主権と自決を尊重しつつ、人類共通の未来をともに築くことを目標に掲げています。そこでは、次のようなポイントが強調されています。
- 多国間主義(多くの国が参加する国際協調)の強化
- より公正で開かれた国際貿易
- 衡平と協力にもとづく新たな世界経済秩序
- 持続可能な開発と環境への配慮
- 責任ある、建設的でバランスの取れた対話
中国とLAC諸国は、橋を壊すのではなく架けること、対立を深めるのではなくパートナーシップを拡大することを通じて、共通の利益を追求していく姿勢を打ち出しています。
トランプ政権の追加関税と世界経済再編
このフォーラムを語るうえで避けて通れないのが、2025年4月に米トランプ政権が導入した追加関税です。米国と貿易関係を持つ国々に新たな関税を課すこの措置は、経済の多国間主義に逆行するものであり、第二次世界大戦以来最大の世界経済再編だとされています。
論考では、こうした状況のなかでキーワードとなるのは報復ではなく「交渉」であり、「小さな庭と高い塀」と呼ばれるような排他的な経済圏作りは避けるべきだと強調されています。新興国を含む多くの国々が、複雑な国際環境の中で自国の利益を守りながら、戦略的な開発の機会を見いだすには、対立よりも対話を重ねることが不可欠だという視点です。
グローバルサウスが描く「新しい世界秩序」
トランプ政権が関税を通じて米国内産業の立て直しを図ろうとする一方で、中国とグローバルサウス諸国は、新しい協力の枠組みを模索しています。論考によれば、関税をきっかけに世界の協力構造は再編されつつあり、グローバルサウス諸国は主権と正義を軸に、自らの未来を築こうとしているとされています。
中国-CELACフォーラム2025の結果として示された北京宣言は、次のような国際関係の姿を目指すものとして描かれています。
- 各国の主権と自決権を尊重する国際関係
- 一方的な優位ではなく、相互利益を重視するウィンウィンの協力
- 平和的共存と対話を通じた紛争の回避
- 南南協力を通じた開発と成長の加速
こうした方向性の背景には、グローバルサウスが単なる「援助を受ける側」ではなく、自らルール形成に関与し、世界の将来像をともに描いていこうとする意思があります。フォーラムは、その意思を共有し、具体的な協力の形に落とし込む場として機能しているといえます。
日本の読者にとっての論点
日本から見ると、中国-CELACフォーラムは地理的にも心理的にもやや遠い出来事に見えるかもしれません。しかし、関税をめぐる対立や、グローバルサウスが連携を強める動きは、世界のサプライチェーンや貿易ルールを通じて、日本企業や日本社会にも間接的な影響を及ぼします。
今回のフォーラムと北京宣言は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 貿易や投資のブロック化が進めば、日本企業の調達や進出先はどう変化し得るのか
- グローバルサウスが提案する新しいルール作りに、日本はどのような形で関わることができるのか
- 多国間主義を守りつつ、同時にアップデートしていくには何が必要なのか
2025年の中国-CELACフォーラムは、世界が分断と再編のはざまで揺れるなかで、対立ではなく協力を通じて国際経済を再設計しようとする試みの一端です。どの地域とどの価値観を軸に連携を深めるのか。国際ニュースを追う私たち一人ひとりにとっても、今後の世界の動きを考えるうえで、注目しておきたい節目の出来事だといえるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








