世界の名画を一冊に 装飾印刷が光る北京発「コレクタブル美術館ガイド」
世界の名画や美術館を、日本語でわかりやすく紹介するコレクタブル美術館ガイドが登場しました。自宅にいながら世界を巡るアートの旅ができる一冊として、出版と印刷の現場で静かな注目を集めています。
自宅で楽しむ「世界の美術館」体験
この新しい美術館ガイドブックは、読者が家にいながら世界の名だたる美術館やアート作品を巡るグローバル・アート・ジャーニーを楽しめることをコンセプトにしています。ページをめくるだけで、世界各地の代表的な美術館や、広く愛されてきた名画に出会える構成になっているとされています。
デジタルで作品画像を見る機会が増えた2025年現在、紙の本でじっくりとアートに向き合う時間は、逆に特別な体験になりつつあります。このガイドブックは、その「特別さ」を意識した、コレクション性の高い一冊といえます。
星空が本の端まで広がるデザイン
大きな特徴となっているのが、ハードカバーの装丁と、本の端まで広がるエッジトゥエッジのデザインです。カバー全体は、フィンセント・ファン・ゴッホの代表作 The Starry Night(星月夜)から着想を得たビジュアルで彩られています。
表紙から背、そしてページの側面にあたる部分まで、夜空のうねるような筆致が連続して描かれており、本そのものが一つのアートピースのように見える仕上がりです。書棚に並べても、一冊だけで存在感を放つようなデザインといえるでしょう。
北京の印刷展示会でお披露目
このガイドブックは、2025年5月15日から19日まで中国・北京で開催された印刷関連の展示会「China Print 2025」のブースで展示されました。印刷産業の最新動向が集まる場で、アートブックと高度な印刷加工を組み合わせた例として紹介されたかたちです。
会場では、来場者が実際に本を手に取り、装丁と印刷の質感を確かめられるようになっていたとされます。オンラインで画像を見るだけでは伝わりにくい、紙の厚みやインクの発色、小口の仕上がりなどが体験できる点も、この種の展示の重要なポイントです。
「book-fish technique」とは何か
このガイドブックが展示されたChina Print 2025には、印刷加工の新しい表現を提案する企業も参加していました。その一つが、中国・北京に拠点を置くBeijing Zhiyi Technology Companyです。同社は、本のフォアエッジ(ページの側面)に意匠を施す装飾印刷を「book-fish technique」と名付けています。
同社によれば、現在、世界では毎日およそ50万冊の本が、このような装飾印刷仕上げを施されているといいます。本の機能性だけでなく、見た目の美しさや所有する楽しさを高める技術として、グローバルに活用が広がっていることがうかがえます。
なぜ今、「装飾された本」が注目されるのか
電子書籍やオンラインの美術館コンテンツが当たり前になった今、「紙の本である理由」はますます問われるようになっています。その中で、装丁や印刷加工にこだわった本は、情報を届けるだけでなく、所有し、触れ、眺める楽しさを提供するメディアとして見直されています。
今回の美術館ガイドブックのように、世界のアートを一冊に凝縮しつつ、本自体も一つの作品のように仕立てるアプローチは、デジタルネイティブ世代にとっても新鮮に映るかもしれません。本棚に飾る、来客との会話のきっかけにする、SNSで写真を共有するなど、楽しみ方も広がります。
アートと印刷技術が交わるところ
コレクション性の高いアートブックと、最先端の装飾印刷技術の組み合わせは、出版と印刷の双方にとって新しい可能性を示しています。アートファンにとっては「世界の美術館をめぐる旅」を疑似体験できる一冊であり、印刷業界にとっては、付加価値の高い本づくりのモデルケースともいえる存在です。
デジタルとフィジカルが共存する2025年の今、私たちは「何を知るか」と同時に、「どのように体験するか」を選ぶ時代に生きています。このガイドブックのような取り組みは、その問いに対する一つの静かな答えとして、世界の本好きとアートファンの手元に届いていきそうです。
Reference(s):
Collectable museum guidebook: A global art journey at your fingertips
cgtn.com







