中国の観光ブームが加速する中国・アフリカ観光協力
2025年の中国では、国内旅行が急回復し、第1四半期だけで約17億9,000万件の旅行が行われました。この観光ブームが、中国とアフリカの新たな協力の原動力になりつつあります。
急回復する中国の国内観光
中国の国内旅行市場は、2025年1〜3月期に約17億9,000万件の旅行を記録し、前年より3億7,500万件増えました。観光が経済回復や雇用創出、社会の活力を支える重要なエンジンになっていることがうかがえます。
中国国際貿易経済合作学院の研究員である周密氏は、中国の人口規模と多様な地理的条件が、国内観光を大きく成長させる土台になっていると指摘します。絶景スポットから地方の食文化まで、多様な地域を巡る旅が、人々のリフレッシュだけでなく、各地の経済にも直接つながっているという見方です。
例えば、沿岸部の漁村では、小規模な民宿やゲストハウスの収入が増え、都市部から訪れる旅行者が新たな需要を生み出しています。
デジタルサービスが支える観光エコシステム
中国の観光ブームを支えているのがオンライン旅行サービスやキャッシュレス決済です。旅行予約サイトや決済アプリは、行き先の検索から予約、支払い、アフターサービスまでを一体で提供し、旅行者の不安や手間を大きく減らしています。
リアルタイムでの情報提供や価格比較、トラブル時のサポートが整うことで、人々はより気軽に旅に出られるようになりました。こうしたデジタル基盤は、今後の中国・アフリカ観光協力にとっても重要なヒントになりそうです。
中国観光デーが果たす役割
毎年5月19日に行われる中国観光デーも、観光の位置づけを高める重要な仕組みになっています。周氏によると、中国では観光地を評価する等級制度が整備されており、その最高ランクが「5A級景区」と呼ばれます。この評価制度が観光地同士の競争を促し、インフラ整備やサービス向上につながっているということです。
ジンバブエの駐中国・ASEAN観光アタッシェであるスタンリー・バンダ氏は、中国が観光だけのために国の記念日を設けている点を高く評価します。バンダ氏は、中国観光デーは単なるイベントではなく、観光を国の重要政策として位置づける姿勢の表れであり、アフリカも学ぶべきだと述べています。
ジンバブエの観光戦略とアフリカの新しい見せ方
バンダ氏によれば、ジンバブエでは観光が国内総生産(GDP)の12%以上を占めています。南部アフリカに位置する同国は、現在、コミュニティ主体の観光や文化遺産を軸にした観光、宗教ツーリズム、ビジネス観光、スポーツイベントなど、観光商品の多様化に力を入れています。
同時に、アフリカ域内での連携の重要性も強調しました。これまでのように各国がバラバラに自国だけを売り込むのではなく、アフリカ全体をひとつの旅行圏としてパッケージ化し、中国を含む海外からの旅行者が一度の旅で複数の国や地域を巡れるようにする発想が求められているといいます。
広がる中国・アフリカ観光協力
中国はこれまでに、31のアフリカ諸国と観光分野の協力文書を締結しており、観光産業に対して明確なメッセージと枠組みを示しています。周氏は、こうした政府間合意が、観光インフラの長期的な整備計画やサービス水準の改善、アフリカ各地の観光地の重点的なプロモーションにつながると指摘します。
バンダ氏は、ジンバブエが2003年に中国から観光目的地としての認定を受けた初期のアフリカ諸国の一つであるとしたうえで、形式的な合意にとどまらない実務レベルの協力が必要だと語ります。
具体的には、次のような取り組みを提案しています。
- 中国とアフリカの観光情報を統合した共同オンラインプラットフォームの構築
- 複数のアフリカ諸国を一度に巡る共同ブランドの周遊パッケージの開発
- 国際観光都市連合やシルクロード観光都市の枠組みに、中国とアフリカの都市が積極的に参加すること
都市間での連携が進めば、航空路線の整備やプロモーションの共同実施など、より実務的な協力が広がる可能性があります。
観光を文化にするという発想
議論の締めくくりとして、バンダ氏は、観光を一部の富裕層だけの贅沢ではなく、多くの人々にとっての生活文化にしていく重要性を強調しました。公務員や学生、家族連れ、宗教的な巡礼など、さまざまな立場の人々が日常的に旅に出る社会を目指すべきだという考えです。
周氏もこの意見に賛同し、観光は一度きりの訪問で終わるのではなく、何度も行き来したくなるような人と人とのつながり、感情的な絆を育むことが大切だと述べました。
これからの中国・アフリカ観光をどう見るか
2025年の中国観光デーを経て、中国とアフリカの専門家が共通して訴えたのは、今は振り返るだけでなく、ともに革新を進めるタイミングだというメッセージでした。
中国の観光ブームとアフリカの多様な観光資源が結びつけば、観光は両地域の経済成長だけでなく、人と人との理解を深める外交手段としても、これまで以上に重要な役割を担う可能性があります。今後、こうした動きがどのように具体化していくのか、引き続き注目したいところです。
Reference(s):
China's tourism boom offers momentum for China-Africa cooperation
cgtn.com








