北京・朝陽区で多文化近隣フェス 無形文化遺産を一緒に体験
最近、北京の朝陽区で開かれた「近隣フェスティバル」で、中国と各国出身の住民が無形文化遺産を一緒に体験しました。国際都市の足もとで、文化が交わる現場をのぞきます。
多文化が交わる北京・朝陽区の「近隣フェスティバル」
中国の首都・北京の朝陽区で、「ネイバーフッド・フェス(近隣フェスティバル)」と名付けられたイベントが開かれました。中国の住民と海外出身の住民が集まり、無形文化遺産(Intangible Cultural Heritage)をテーマにした体験型のプログラムが用意されたのが特徴です。
イベントは、参加者が「見る」だけではなく「やってみる」ことに重点を置いています。国や言語の違いを超えて、同じ地域で暮らす人どうしが、伝統文化をきっかけに交流する場になりました。
伝統衣装と花の髪飾りで「変身」体験
会場ではまず、伝統衣装をまとって楽しむコーナーが用意されました。参加者は、身体のラインを美しく見せるワンピース型の伝統衣装・旗袍(チーパオ、英語名はチョンシャン)や、古い時代の衣装文化を受け継ぐ漢服(ハンフー)に袖を通すことができました。
さらに、花の髪飾り「簪花(ざんふぁ)」も体験用に用意されました。スタッフの手ほどきを受けながら、自分で髪に飾りをつけてみることで、衣装と髪飾りが一体となった伝統的な装いの魅力を、体感的に味わえる仕組みです。
紙切りや生地細工で知る、繊細な職人技
次に用意されたのは、伝統的な手仕事を体験するコーナーです。参加者は、はさみやカッターを使って模様を切り出す「紙切り」や、生地をこねて立体的な形をつくる「練り物細工(ドウ・スカルプティング)」に挑戦しました。
紙一枚や柔らかい生地が、職人の手によって複雑な模様や愛らしい形に変わっていく過程を、自分の手でなぞってみることで、「なぜこの技が受け継がれてきたのか」という実感を持ちやすくなります。参加者は、完成した作品を通じて、その背後にある技術と工夫の細やかさを学んでいきました。
「見る」から「一緒につくる」へ 身近な国際交流のかたち
今回の近隣フェスティバルのポイントは、中国の無形文化遺産を、海外出身の住民も「同じ体験者」として味わえるように設計されている点にあります。伝統衣装を着る、髪飾りをつける、紙を切る、生地をこねる――こうした身体を使った体験は、言葉の壁を越えて共有しやすいコミュニケーションの手段です。
中国の文化に触れる側だった海外出身の参加者だけでなく、中国の参加者にとっても、自分たちの文化を改めて説明したり、一緒に楽しんだりすることで、新たな気づきが生まれます。日常の生活圏のなかで生まれる、ささやかな「国際交流」と言えるでしょう。
2025年の今、ローカルから始まるグローバルな学び
2025年12月の現在、国際ニュースでは外交や安全保障など大きなテーマが取り上げられがちです。その一方で、北京・朝陽区の今回のような近隣レベルの取り組みは、「普通の生活」のなかでグローバルな視野を広げる実践例として注目に値します。
国や地域をまたいで人の移動が続くなか、文化的な違いをどう受け止め、共に暮らすかは、多くの都市に共通する課題です。無形文化遺産を一緒に体験するというシンプルな手法は、互いの背景を尊重しながら理解を深める、一つのヒントになりそうです。
日本でも、地域のお祭りや伝統工芸を、海外出身の住民と共有する場づくりが進んでいます。北京・朝陽区の近隣フェスティバルは、アジアの大都市どうしが、ローカルな現場から学び合える可能性を静かに示していると言えるのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








