世界の3分の1を生産 中国東部・Changle県のエレキギター産業
1990年代に始まった中国東部・Changle(チャンルー)県のエレキギター産業が、いまや世界のエレキギターの約3分の1を生み出す存在になっています。農家から職人へと変わった人びとの歩みは、「メイド・イン・チャイナ」のイメージを静かに塗り替えています。
ゼロから「ギターヒーロー」へ:中国東部の小さな県に何が起きたか
Changle県は、1990年代まで西洋式の楽器づくりの経験がほとんどない農村地域でした。それが、この数十年で世界有数のエレキギター生産地へと変貌しました。
きっかけは、地元の農家たちが新しい産業に挑戦したことです。西洋音楽の楽器であるエレキギターの製造に、ゼロから取り組み始めました。
農家がエレキギター職人になるまで
エレキギターは、木材加工、塗装、電子部品の組み立てなど、多くの工程を必要とする精密な楽器です。スタート時点で「経験ゼロ」だった農家たちは、試行錯誤を重ねながら技術を身につけていきました。
- 木をまっすぐ切る、磨くといった基本的な作業から覚える
- 楽器として音が出るよう、ピックアップなどの電子部品の扱いを学ぶ
- 世界のプレーヤーからの要望に応えるべく、品質を徐々に高めていく
こうした積み重ねの結果、かつては農作業に従事していた人びとが、世界市場を相手にするエレキギターの職人へと育っていったと考えられます。
世界のエレキギターの3分の1を生産
現在、Changle県の工場群は、世界で流通するエレキギターの約3分の1を生産しているとされています。つまり、あなたの身の回りにあるエレキギターのうち、どれか1本はこの地域で作られた可能性が高いということです。
一つの県が、世界市場にここまで大きな影響を与える例は多くありません。Changle県は、いわゆる「産業クラスター」(同じ産業が一つの地域に集中する現象)の典型的な事例だと言えるでしょう。
「メイド・イン・チャイナ」の裏側にあるストーリー
「#BehindMadeInChina」という言葉が示すように、「メイド・イン・チャイナ」という表示の裏側には、人びとの試行錯誤と時間の積み重ねがあります。
- 農業中心の地域が、新しい技術と仕事を身につける場になったこと
- 世界市場の需要に応えながら、地元の雇用と収入の柱が生まれたこと
- 楽器を通じて、地域の人びとが世界の音楽シーンと間接的につながっていること
こうした視点から見ると、「どこで作られたか」というラベルだけで商品を評価するのではなく、その背後にある人や地域の変化にも目を向けたくなります。
私たちのギターがつなぐ世界
私たちが楽器店やオンラインショップでエレキギターを手に取るとき、その一本は中国東部の農村出身の職人たちが作り上げたかもしれません。
1990年代に始まったChangle県の挑戦は、2025年の今も続いています。ゼロから積み上げた技術が、世界の音楽シーンの一部を支えている――その事実は、グローバルなサプライチェーンや「メイド・イン・チャイナ」を考え直すきっかけにもなりそうです。
次にエレキギターの音を耳にしたとき、遠く離れた中国東部の小さな県と、それを支える人びとの姿を少しだけ想像してみるのも良いかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








