中国・桂林の猫児山でベテラン森林レンジャーが語る「最後の巡回」
中国南部・広西チワン族自治区桂林市の猫児山(Mao'er Mountain)で、半生を森林保護に捧げてきたベテラン森林レンジャーが、引退を前に静かに山への別れを語っています。
週に数回、6時間の山歩き
ワン・ホアシェンさん(Wang Huasheng)は、人生の半分以上を森林レンジャーとして過ごしてきました。今も週に数回、仲間とともにブーツのひもを結び、バックパックを背負い、猫児山の奥深くへと6時間に及ぶ巡回に出かけます。何十年も歩き続けてきた山道です。
彼の日課は、山火事の予防、野生動物の監視、そして違法な伐採や密猟の取り締まりなど、多岐にわたります。
「安全のため、私たちは必ず2人一組で巡回する決まりです。山道はぬかるみやすく、雨も多いので道に迷いやすい。2人で行動する方がずっと安全なんです」と、ワンさんはCGTNの取材に説明しています。
「植えた木を毎年見に来たい」ベテランレンジャーの本音
取材時点で、ワンさんは3カ月後に引退を控えています。長年歩き慣れた濃い森を見回しながら、「あと3カ月で引退します。でも、毎年ここに戻って、自分が植えた木を見に来られたらと思っています」と語りました。
山を知り尽くしたレンジャーの言葉からは、仕事以上の愛着と責任感がにじみ出ています。
桂林を守る生態の砦・猫児山
猫児山は、中国南部で最も高い山とされ、風光明媚な漓江の源流でもあります。広西チワン族自治区桂林市にとって重要な生態学的なバリア(防波堤)の役割を果たしており、「漓江の心臓」とも呼ばれています。
この山は息をのむような景観だけでなく、豊かで手つかずの生態系でも知られています。現在、猫児山は国家的に認められたモデル自然保護区となっており、その重要性が高く評価されています。
「生物多様性ホットスポット」としての意味
保護区管理事務所の所長であるTang Zhongxiangさんは、「この地域は、中国における生物多様性のホットスポットの一つであり、国際的にも重要な陸上生物多様性地域です。南嶺山地の重要な一部をなしています」と説明します。
さらに、「保護区では、在来の亜熱帯常緑広葉樹林、国家的に保護されている動植物種、そして漓江の源流部にある水源涵養林を主に守っています」と、その役割の大きさを強調しました。
赤外線カメラが映す「健全な森」の証
ワンさんには、もう一つ大切な仕事があります。2カ月に一度、山中に設置された赤外線カメラのメモリーカードを回収し、監視ステーションに持ち帰ることです。
「シルバーフェザント(silver pheasant)の姿がよく映っています。この鳥は、人里離れた、よく保全された山岳林でしか見られないことで知られています」とワンさんはCGTNに語っています。
カメラに残された映像は、猫児山の生態系が今も健全に保たれていることを示す、静かな証拠でもあります。
山を守る人たちと、私たちの暮らし
猫児山の森は、漓江の源流を守る水源涵養林であり、その安定は桂林の人々の暮らしとも深く結びついています。山火事を防ぎ、違法伐採や密猟を食い止めるレンジャーの仕事は、多くの人の目に触れない一方で、地域社会を支える土台になっています。
人生の大半をこの山に捧げてきたワンさんの「ささやかな別れの言葉」は、生物多様性の保全や自然との向き合い方を、私たち一人ひとりに静かに問いかけています。国際ニュースとして伝えられる一人のレンジャーの物語は、日本語ニュースを読む私たちにとっても、自分と自然との距離を見直すきっかけになるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








