習近平氏とマクロン氏が電話会談 国際秩序と中仏関係の深まり
中国の習近平国家主席とフランスのエマニュエル・マクロン大統領が木曜日の午後に電話会談を行い、中仏関係の強化と国際秩序の安定に向けて連携を深めていく方針を確認しました。第二次世界大戦終結と国連創設から80年の節目となる2025年、世界の秩序づくりをめぐって両国がどのような役割を自認しているのかが浮き彫りになっています。
電話会談の概要:経済から人の往来まで
中国側の発表によると、今回の電話会談では、中仏関係、中国とヨーロッパの協力、そして複数の国際・地域情勢について踏み込んだ意見交換が行われました。
習主席は、今年5月に行われたフランス訪問を振り返りながら、国交樹立の原点として掲げてきた独立、相互理解、先見性、互恵・ウィンウィンの協力という四つの理念を挙げました。そのうえで、これらの理念に時代の要請を反映させつつ、引き続き中仏関係を発展させるべきだと強調しました。
具体的な協力分野としては、これまでの投資、宇宙航空、原子力といった伝統的な分野に加え、次のような新しい領域が挙げられました。
- デジタル経済(データやインターネットを基盤とする新しい経済活動)
- グリーン開発(脱炭素や環境配慮を重視する成長モデル)
- バイオ医薬品(生命科学と医療を組み合わせた新薬・治療法)
- シルバー経済(高齢化社会に関連する産業やサービス)
習主席はあわせて、人的交流を一層活発にし、両国の市民同士の相互理解と友好を深めていく重要性も指摘しました。
戦後80年と国際秩序:国連中心の枠組みを重視
2025年は、世界反ファシズム戦争(第二次世界大戦)の勝利から80年、そして国連創設から80年という節目の年です。習主席は、中国とフランスはいずれも国連安全保障理事会の常任理事国であり、戦後の国際秩序を築いてきた重要な当事者だと位置づけました。
そのうえで、両国は次のような点で協力を強めるべきだと呼びかけました。
- 国連の権威と役割を守ること
- 国際貿易ルールと世界経済秩序の安定を支えること
- 本物の多国間主義を推進すること
ここで言う多国間主義とは、特定の国同士の同盟に偏らず、国連など国際機関を軸に多くの国・地域が参加する枠組みを重視する考え方です。習主席は、国際情勢が複雑になるほど、中国とフランスが戦略的な判断を誤らず、国際秩序を守り、世界経済の成長を支え、多国間協力を前に進める信頼できる力になることが重要だと述べました。
多極化する世界でのヨーロッパの役割
習主席はまた、中国がヨーロッパを多極化する世界における重要で独立した極として位置づけていることを改めて表明しました。ここで言う多極化とは、特定の一国ではなく、複数の大きなプレーヤーが存在する国際秩序の姿を指します。
習主席は、欧州連合(EU)が戦略的自律性を高め、国際社会でより大きな役割を果たすことを支持すると述べました。戦略的自律性とは、安全保障や経済などの重要政策について、他国の意向に左右されすぎず、主体的に判断し行動できる力を意味します。
中国としては、ヨーロッパとの協力を通じて地球規模の課題に対応し、双方と世界全体に利益をもたらす結果を出していきたい考えです。
マクロン氏のメッセージ:一つの中国の原則を再確認
マクロン大統領は、フランスと中国、そしてヨーロッパと中国の関係は、世界全体にとって極めて重要だと強調しました。そのうえで、一つの中国の原則を揺るぎなく支持するフランスの立場を改めて表明しました。
一つの中国の原則とは、世界に中国は一つだけであり、台湾は中国の一部であるとする立場です。マクロン氏は、国際情勢がどのように変化しても、この立場は変わらないとしています。
フランスは、中国との経済・貿易・投資分野での実務協力を一段と深めるとともに、現在の良好な二国間関係の勢いを維持したい考えを示しました。また、国連安保理常任理事国としての責任をともに果たすべく、中国との意思疎通と協調を一層強化したいと述べました。
さらにマクロン氏は、各地の地域紛争がエスカレートしたり、他の地域へ波及したりすることを防ぎ、地域と世界の平和と安定を守るために、中国と協力していく必要性を訴えました。
安全保障課題への連携:ウクライナから中東、イランまで
電話会談では、ウクライナ危機、パレスチナ・イスラエルの衝突、イランの核問題など、現在進行中の重要な国際案件についても意見が交わされました。どの問題も周辺地域だけでなく、エネルギー市場や難民問題などを通じて世界全体に影響を及ぼす課題です。
中国とフランスはいずれも安保理常任理事国であり、紛争のエスカレーションを防ぎ、外交的な解決策を模索するうえで発言力を持つ立場にあります。今回の会談は、両国がこうした問題に対して対話と協調を重ねていく姿勢を示すものとなりました。
今回の会談から読み取れる三つのポイント
今回の習近平氏とマクロン氏の電話会談からは、次の三つのポイントが見えてきます。
- 二国間関係の「質」を高める方向性
単に貿易額を増やすだけではなく、デジタル経済やグリーン開発、シルバー経済といった新分野での協力を通じて、中長期的なパートナーシップを築こうとする姿勢が示されました。 - 国連中心の国際秩序を重視するメッセージ
戦後80年の節目にあたり、中国とフランスが国連の役割や多国間主義を強調したことは、分断やブロック化が進む世界の中で、国際協調の枠組みを守ろうとする意思表示と受け止められます。 - ヨーロッパの戦略的自律性と対中関係
中国側がEUの戦略的自律性を支持し、フランス側が一つの中国の原則を再確認したことで、ヨーロッパが独自路線を模索しつつ、中国との関係を安定的に維持しようとする構図が改めて浮かび上がりました。
これからの注目点
今回の電話会談を踏まえ、今後の国際ニュースで注視したいポイントを整理しておきます。
- 中仏間で、デジタル経済やグリーン開発など新しい協力プロジェクトがどの程度具体化していくか
- ウクライナ、中東情勢、イラン核問題などに関し、中国とフランスが国連やその他の場でどのような共同メッセージや行動を取るか
- EU全体として、戦略的自律性と対中関係、対米関係のバランスをどのように取っていくのか
- 一つの中国の原則に対するヨーロッパ側の姿勢が、今後も一貫して維持されるのかどうか
2025年という節目の年に、中国とフランスという二つの大国が国際秩序や多国間協力のあり方をどう描くのかは、日本を含む世界の国々にとっても無関係ではありません。国連や国際経済のルールづくり、安全保障をめぐる議論が加速するなかで、両国の対話が次にどのような形で表れてくるのか、引き続き注目されます。
Reference(s):
Xi, Macron commit to closer ties and safeguarding global order
cgtn.com








