中国宇宙ステーションで神舟20号クルーが初の船外活動を完了 video poster
中国の有人宇宙開発に関する国際ニュースとして、中国宇宙ステーションに滞在中の神舟20号クルーが、今回の任務で初となる船外活動を完了しました。約8時間におよぶ作業は、宇宙ステーションの本格運用が進んでいることを示す一歩といえます。
神舟20号クルーの初EVA、何が起きたのか
中国有人宇宙プロジェクトを担当する中国有人宇宙事業弁公室(CMSA)によると、神舟20号の3人の宇宙飛行士は、今週木曜日に中国の軌道上宇宙ステーションで任務初の船外活動(EVA)を実施しました。
クルーは以下の3人です。
- 陳冬(チェン・ドン)
- 陳仲瑞(チェン・ジョンルイ)
- 王傑(ワン・ジエ)
CMSAによれば、3人は地上チームの支援を受けながら約8時間作業し、北京時間の16時49分に今回の船外活動を完了しました。
誰が船外に出て、どこから出たのか
船外活動を実際に行ったのは、陳冬さんと陳仲瑞さんの2人です。2人は、中国宇宙ステーションの中核となる天和コアモジュールのノードキャビン(結合部区画)から船外へと出ました。
CMSAによると、宇宙ステーションが「応用・発展段階」に移行してから、ノードキャビンから宇宙飛行士が船外に出たのは今回が初めてだということです。これは、宇宙ステーションの運用方法が一段と多様になりつつあることをうかがわせます。
宇宙ごみからステーションを守る装置を設置
今回のEVAで中心となった作業の一つが、デブリ(宇宙ごみ)から設備を守るための防護装置の設置です。この装置は、事前に貨物用エアロックから船外へ搬出され、宇宙ステーションのロボットアームによって一時的な位置に仮置きされていました。
陳冬さんと陳仲瑞さんは、この防護装置を所定の場所まで移動させ、あらかじめ計画されていた位置に固定しました。宇宙ごみとの衝突リスクが高まるなかで、こうした防護装置の整備は、長期運用を目指す宇宙ステーションにとって欠かせない要素です。
船外設備の点検と保守も実施
CMSAによると、デブリ防護装置の設置に加えて、宇宙ステーション外部にある機器の点検や保守作業も行われました。船外に取り付けられた機器は、太陽光や温度変化、微小な宇宙ごみなど、過酷な環境に長期間さらされています。
定期的な点検と保守は、
- 宇宙ステーション全体の安全性向上
- 実験や観測機器の安定した運用
- 将来の長期滞在ミッションを支える基盤づくり
といった点で重要です。CMSAは、宇宙飛行士が安全にコアモジュールへ帰還したことも明らかにしており、今回のEVAは計画通り完了したとみられます。
応用・発展段階に入った中国宇宙ステーション
今回の発表で注目されるキーワードの一つが、宇宙ステーションが「応用・発展段階」に入っているという点です。これは、建設そのものよりも、そこで行う実験や技術検証、長期運用のしくみづくりに重心が移っていることを意味します。
今回のEVAは、
- ノードキャビンからの船外活動という新しい運用パターンの確認
- デブリ防護装置の設置による長期運用の安全性強化
- 外部機器の点検・保守を通じた信頼性向上
といった点で、この「応用・発展段階」を支える基盤整備の一部と位置づけることができます。
地上チームとの連携が示す運用の成熟
CMSAによれば、今回の船外活動は地上の管制チームの支援を受けながら進められました。宇宙飛行士の安全を確保しつつ、ロボットアームや貨物エアロックを組み合わせた複雑な作業を行うには、綿密な事前計画とリアルタイムの判断が欠かせません。
船外での作業時間が約8時間に及んだことからも、クルーと地上チームの双方が、長時間のEVAを前提としたオペレーションに習熟しつつある様子がうかがえます。
これから何に注目すべきか
今回のニュースは、単なる船外活動の成功報告にとどまらず、中国宇宙ステーションの運用が新たな段階に入っていることを示しています。今後、注目したいポイントとして、次のような論点が考えられます。
- 今後のEVAで、どのような新装置や実験設備が追加されていくのか
- デブリ対策や設備保守が、長期滞在ミッションの設計にどう反映されていくのか
- 宇宙ステーションでの運用経験が、将来の深宇宙探査や月・火星探査などにどのようにつながるのか
国際ニュースとして見た場合、各国が宇宙ステーションや探査ミッションを通じて蓄積するノウハウは、長期的な宇宙利用の枠組みづくりにも影響を与えていきます。神舟20号クルーの初EVAは、その中で中国宇宙ステーションがどのような役割を果たしていくのかを考える手がかりともなりそうです。
今後の船外活動や運用計画の発表が、宇宙開発の次の一手を読み解くうえで重要なニュースになっていく可能性があります。
Reference(s):
cgtn.com








