世界農業遺産に徳清の淡水真珠養殖 中国本土初の水産系GIAHS
国連食糧農業機関(FAO)は2025年5月19日、中国本土の浙江・徳清にある「徳清淡水真珠貝複合漁業システム(通称・徳清パールシステム)」を、世界重要農業遺産システム(GIAHS)の一つとして新たに認定しました。水産業分野では中国本土初の世界クラスの農業遺産であり、農業と環境をめぐる国際ニュースとして今年注目を集めています。
世界重要農業遺産システム(GIAHS)とは
世界重要農業遺産システム(Globally Important Agricultural Heritage Systems=GIAHS)は、FAOが選定する、伝統的な農業・水産業の営みと自然環境、地域文化が一体となったシステムです。単なる「昔ながらの農業」ではなく、次のような点が総合的に評価されます。
- 長い年月をかけて受け継がれてきた知恵と技術
- 生物多様性を守る仕組み
- 地域の暮らしや文化と結びついた景観
こうした要素を守りながら、地域の生計や食料生産にも貢献しているシステムを「世界の財産」として位置づけ、次世代につなぐことがGIAHSの目的です。
徳清パールシステムが持つ意味
今回GIAHSに登録された徳清淡水真珠貝複合漁業システムは、その名の通り淡水真珠の生産と漁業を組み合わせたシステムです。詳細な技術や歴史については今後の発信が待たれますが、少なくとも次の点で大きな意味を持っています。
- 中国本土で初めて、水産業を主軸とする世界クラスの農業遺産に位置づけられたこと
- 真珠という高付加価値の産品を通じて、地域経済と伝統技術の両立を図っていること
- 水環境と生態系への配慮と、生産活動を両立させるモデルとして国際的な注目を集めたこと
真珠は装飾品としてだけでなく、水のきれいさや生態系の健全さを映し出す存在でもあります。徳清パールシステムのGIAHS認定は、「美しさ」と「持続可能性」の両立が評価された結果だと見ることもできます。
中国本土に広がる世界農業遺産
今回の認定により、中国は世界重要農業遺産システムを25件保有することになりました。これは世界でもっとも多い数であり、そのうち6件が浙江にあります。
一つの国の中でこれだけ多くのシステムが登録されていることは、伝統的な農業・水産業と環境保全を両立させる取り組みが各地で積み重ねられてきたことを示しています。同時に、中国本土が国際的な枠組みの中で、自国の農業・水産の遺産を積極的に発信していることも読み取れます。
なぜ今「水産の遺産」が重要なのか
今回のGIAHS認定は、世界の食と環境をめぐる課題とも深くつながっています。気候変動や生物多様性の損失が懸念されるなかで、持続可能な水産業は各国共通のテーマになりつつあります。
淡水真珠貝のように、水質や生態系のバランスに敏感な生物を育てながら生産を続けるには、長期的な視点で環境に配慮した管理が欠かせません。徳清パールシステムのような事例は、
- どのようにして自然と調和しながら生産を続けるか
- 地域に根ざしたシステムを、どう次世代につなぐか
という問いに対して、一つのヒントを与えてくれます。
日本の読者にとってのヒント
日本でも、棚田や里山、伝統的な漁法など、世界と共有しうる「農業・水産の遺産」が各地に存在します。徳清の事例は、こうした身近な資源をどのように守り、発信していくかを考えるきっかけにもなります。
ニュースを読み流すだけでなく、
- 旅行先で地域ならではの食や風景に目を向ける
- 持続可能な生産をうたう商品や取り組みを選んでみる
- 農業や水産業の現場の声に耳を傾ける
といった小さな行動の積み重ねが、世界の農業遺産を支える力にもなっていきます。こうした国際ニュースを日本語で追うことは、自分たちの暮らしと世界の食料システムとのつながりを見直すきっかけにもなるでしょう。
2025年のGIAHSリストに新たに加わった徳清淡水真珠貝複合漁業システムは、中国本土の水産業の歴史と知恵が世界的に評価された象徴的な一歩です。この「遺産」を一時的な話題で終わらせず、日々の選択や対話につなげていけるかどうかが、私たち一人ひとりに問われています。
Reference(s):
Pearls of wisdom: Deqing's aquaculture legacy gains global recognition
cgtn.com








