中国eスポーツを動かす若い力 Peace Elite League春決勝でTT優勝 video poster
2025年春に行われたモバイルeスポーツ大会「2025 Peace Elite League Spring Finals」で、ThunderTalk Gaming(TT)が196ポイントという圧倒的なスコアで優勝しました。決勝MVPにはTT-Paidaxing選手が選ばれ、中国のeスポーツシーンで若い世代の存在感があらためて示されています。
TTの司令塔を務めるTT-King選手と、ベテランコーチのTT-Lao Bai氏は、国際メディアCGTNの取材に対し、強いプレッシャーの中でどう冷静さを保ち、急速に変化する環境を読み切って勝利までの道筋を描いたのかを振り返りました。本記事では、この決勝戦を入り口に、中国のデジタル経済とeスポーツ・エコシステムを動かす「若い力」に焦点を当てます。
Peace Elite League春決勝:196ポイントが示したもの
Peace Elite Leagueは、バトルロイヤル型の人気モバイルゲームを競技化したプロリーグです。2025年春の決勝戦でTTは、安定した順位取りと要所でのキルポイント獲得を重ね、合計196ポイントという数字で他チームを突き放しました。
決勝MVPとなったTT-Paidaxing選手は、終盤の緊張する局面でも大胆なポジション取りと冷静なエイム(照準)を両立させ、チームの流れを引き寄せるプレーを続けました。チーム全体の動きを整理するTT-King選手、長期的なゲーム理解とデータ分析で支えるTT-Lao Baiコーチという構図は、eスポーツが「個人ゲーム」ではなく、複数の役割が噛み合うチームスポーツであることを象徴しています。
プレッシャーと向き合う若い選手たち
CGTNのインタビューでTT-King選手とTT-Lao Baiコーチは、決勝までの道のりは「プレッシャーとの戦い」でもあったと語りました。短期間で何十試合もこなすリーグ戦では、1日のコンディションや小さなミスが、そのままシーズン全体の流れを変えてしまうこともあります。
彼らが強調したのは、次のようなポイントです。
- 1試合ごとの結果に一喜一憂しすぎない「メンタルのリセット習慣」
- 試合後すぐの振り返りで、問題点を翌日に持ち越さないこと
- チーム内で失敗を責めるのではなく、「どう改善するか」に話題を集中させる空気づくり
このような取り組みは、ゲームの世界に限らず、多くの若い世代が直面するプレッシャー環境にも通じます。短いサイクルで評価されるデジタル時代において、感情をどう切り替えるかは、一つの重要なスキルになりつつあります。
ゲームも戦術も「急速に変化」する中で
TTの関係者が振り返るように、Peace Elite Leagueのようなモバイルeスポーツでは、ゲームそのものが頻繁にアップデートされます。武器バランスやマップ構造が変われば、それまで最適だとされていた戦術は、あっという間に「古い常識」になってしまいます。
こうした急速に変化する環境に対応するため、チームは次のようなサイクルを回しています。
- パッチ(ゲーム更新)ごとの研究と、「今の環境」で強い武器・動線の分析
- 練習試合での検証と、データに基づく戦術修正
- プレイヤー一人ひとりの得意分野を活かす役割再設計
TTが優勝をつかんだ背景には、単に個人技の高さだけでなく、このような「変化を前提としたチーム運営」の積み重ねがあります。ゲームが変わるスピードが速いほど、チームの学習速度も問われる構図です。
eスポーツが支える中国のデジタル経済
今回のPeace Elite League春決勝は、単なる競技イベントにとどまりません。オンライン配信やSNSでの拡散、スポンサーやグッズ販売など、周辺にはさまざまなデジタル経済活動が広がっています。
とくに若い観客や視聴者にとって、eスポーツは次のような「接点」となりつつあります。
- 配信プラットフォームでの視聴・コメント・ギフティング
- 選手やチームのSNSフォロー、ハッシュタグを通じたファンコミュニティ形成
- ゲーム内アイテムやチーム関連グッズの購入
これらの小さな行動が積み重なることで、オンライン広告、決済サービス、デジタルコンテンツ制作など、幅広い分野に波及効果が生まれます。Peace Elite Leagueのような大会は、その中心に位置する存在です。
「新しいキャリア」としてのeスポーツ
TTの選手やコーチ陣も含め、eスポーツに関わる人の多くは若い世代です。プロ選手だけでなく、アナリスト、コーチ、実況・解説、映像制作、イベント運営など、多様な役割によって一つのリーグが成り立っています。
こうした構造は、ゲームを入り口にした「デジタル産業へのキャリアパス」としても注目されています。最初は選手として活動し、その後は指導や運営側に回る人もいれば、学生時代のゲーム経験をきっかけに映像編集やデータ分析に進む人もいます。
2025年のPeace Elite League春決勝で見えたのは、「ゲームが好き」という気持ちから始まった活動が、やがて一つの仕事、さらには産業全体を支える力へと変わっていくプロセスでもあります。
これからのeスポーツと若い力
ThunderTalk Gaming(TT)の優勝とTT-Paidaxing選手のMVP受賞は、2025年のeスポーツシーンを象徴する出来事の一つと言えます。TT-King選手やTT-Lao Baiコーチが語ったように、プレッシャーと変化に向き合いながら結果を出すには、高度な戦術理解と同時に、人間としての柔軟さも不可欠です。
中国のデジタル経済とeスポーツ・エコシステムは、こうした若い世代の試行錯誤と挑戦の上に成り立っています。Peace Elite Leagueの舞台で交差する歓声や緊張感は、単なるゲームの勝ち負けを超えて、「これからの働き方や学び方はどう変わっていくのか」という問いも静かに投げかけています。
画面越しに試合を見守る私たちも、その問いにどう向き合うのかを、少しだけ考えてみたくなるシーズンでした。
Reference(s):
Youth power surge fuels China's digital economy and esports ecosystem
cgtn.com








