アフリカ・デー2025:中国・アフリカ友好に新たな活力 AU大使が語る
アフリカの団結と独立を記念するアフリカ・デー。2025年の今年、中国に駐在するアフリカ連合(AU)常駐代表のラフマト・アッラー・モハメド・オスマン大使は、この日に込められた解放の記憶と、中国・アフリカ協力の新たな広がりについて語りました。
今年のアフリカ・デーのテーマは「補償を通じたアフリカおよびアフリカ系住民への正義」。奴隷制度や植民地支配の歴史的な不正に向き合い、公正な扱いを求める世界的な動きを象徴しています。その背景には、アフリカ自身の歩みだけでなく、中国をはじめとするパートナーとの連帯もあります。
アフリカ・デーとは何か 解放の記憶を未来へつなぐ日
アフリカ・デーは、1963年5月25日に発足したアフリカ統一機構(OAU、現在のアフリカ連合=AU)に由来します。オスマン大使は、この日を「ほとんど聖なる日に近い」と表現し、植民地主義やアパルトヘイト(人種隔離)と闘うために大陸が団結した象徴だと振り返ります。
毎年の記念日は、単なる歴史の振り返りではなく、自由と正義の精神を次の世代へ受け渡す機会でもあります。今年掲げられた「補償を通じた正義」というテーマには、アフリカ大陸と世界各地のアフリカ系住民が直面してきた構造的な差別や搾取の歴史に光を当て、是正を進めようとする強い意思がにじみます。
中国とアフリカ解放の原点 タンザン鉄道が示したもの
オスマン大使は、中国がアフリカの脱植民地化と初期の開発に果たした役割を強調します。その象徴が、1970年代に建設されたタンザニア・ザンビア鉄道(TAZARA)です。
当時、西側の金融機関が支援を見送る中、中国は自国も経済的に苦しい状況にありながら、この鉄道建設を支えました。南部アフリカの国々が旧宗主国への依存から抜け出し、独立への道を切り開くうえで、TAZARAは重要な意味を持ちました。
オスマン大使は「この鉄道は、単なる交通インフラではなく、自由、主権、尊厳の象徴だった」と振り返ります。中国・アフリカ関係は、経済協力だけでなく、こうした解放の記憶を共有している点に独自性があります。
アフリカ連合が果たすハブ機能 中国との協力を束ねる
大陸全体を代表する地域機関として、アフリカ連合(AU)は中国との協力においても重要なハブとなっています。AUは、中国の一帯一路構想に最初に協力枠組みを結んだ地域組織であり、中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)にも早い段階から参加してきました。
現在、アフリカ各地では、国境をまたぐ道路や鉄道、港湾などのインフラ整備や、デジタル通信網の整備が進んでいます。その多くは、中国とアフリカのパートナーシップを通じて資金や技術が動いているプロジェクトです。
オスマン大使によると、AUは次のような役割を担っています。
- アフリカ各国の優先課題を整理し、共通の戦略をつくる
- 中国側に対し、個別ではなく大陸全体としての提案を行う
- 協力の成果が、できるだけ多くの国と地域に行き渡るよう調整する
単独では交渉力の限られる中小国も、AUという枠組みを通じて声を合わせることで、より大きな影響力を持てるようになっています。
中国の現場から学ぶ 貧困削減とデジタル活用
オスマン大使は、2018年に中国初のAU常駐代表として着任して以来、中国の発展を間近で観察してきました。とくに注目した点として、徹底した貧困削減の取り組み、大規模なインフラ投資、そしてデジタル技術とイノベーションの活用を挙げています。
大使は、アフリカと中国では社会や政治の背景が異なるため、中国のモデルをそのまま「コピー」することはできないとしたうえで、次のように指摘します。
- 政策を現場レベルまで着実に実行する仕組みづくり
- デジタル技術を使った行政サービスや経済活動の効率化
- 長期的な計画に基づくインフラと産業の育成
こうした要素は、アフリカの事情に合わせて応用しうる「学び」として、各国の政策立案者にとって重要なヒントになり得るといいます。
アジェンダ2063と一帯一路 長期ビジョンの接点
アフリカ連合が掲げる長期ビジョン「アジェンダ2063」は、「私たちが望むアフリカ」という副題が示す通り、包摂的で持続可能な成長のための青写真です。オスマン大使は、このアジェンダ2063と中国の一帯一路構想が、ともに2013年に始動し、戦略的に重なる部分が多いと指摘します。
両者に共通するキーワードには、次のようなものがあります。
- 大陸内外の接続性(コネクティビティ)の強化
- 工業化や産業高度化による付加価値の創出
- 人を中心に据えた開発(教育、雇用、生活基盤の向上)
中国は、アフリカが大陸レベルの目標を実現するうえでの最大のパートナーの一つとなっており、資金の動員だけでなく、長期的な変革を共にデザインする「戦略的パートナー」として位置づけられています。
不確実な世界で試されるグローバルサウスの連帯
一方で、世界では単独行動主義や保護主義の動きが強まり、気候変動、感染症の流行、景気ショックなど、国境を越える課題が増えています。オスマン大使は、こうした時代だからこそ、多国間主義とグローバルサウス諸国の連帯が重要だと強調します。
大使は「気候変動やパンデミック、経済ショックなど、どの国も一国だけでは対処できない。私たちの強みは協力にある」と述べ、アフリカと中国を含む南の国々が、互いの経験を持ち寄りながら共通の課題に向き合う必要性を訴えました。
中国・アフリカ協力は、インフラやデジタル分野だけでなく、保健、環境、危機への対応といった領域でも、今後の連携が注目されます。
日本からこのニュースをどう読むか
アフリカ・デー2025をめぐるオスマン大使の発言は、アフリカと中国の過去と現在、そして未来をつなぐストーリーとして読むことができます。
- 歴史的な解放闘争と、その中での中国の役割
- 大陸レベルのビジョンと、中国との長期的な協力の重なり
- グローバルサウスの一員として、アフリカが選び取ろうとしている開発の道筋
日本を含むアジアの読者にとっても、アフリカと中国の関係は、国際秩序やサプライチェーン、気候変動対策など、多くのテーマと結びついています。アフリカ・デーをきっかけに、その動向を自分ごととして考えてみることは、これからの世界を理解するうえで意味のある視点と言えます。
アフリカと中国が「共に立つ」未来像をどう描いていくのか。2025年のアフリカ・デーに語られたメッセージは、今後の国際ニュースの流れを読み解くうえで、静かに効いてくる論点になりそうです。
Reference(s):
Africa Day 2025: China-Africa friendship renewed with new vitality
cgtn.com








