中国、軍事産業施設保護の新規則 習近平氏が署名し9月施行
中国の習近平・中央軍事委員会主席が、中国の重要な軍事産業施設を保護するための新しい規則に署名しました。国務院と中央軍事委員会が共同で公布し、李強・国務院総理も国務院令に署名しています。規則は2025年9月15日に施行され、軍事産業施設周辺の立ち入りや情報取得を厳格に管理する内容となっています。
習近平氏が署名した新規則とは
今回の規則は、中国の重要な軍事産業施設の安全を守り、その有効な利用と標準的な運用を確保しながら、国防の近代化を進めることを目的としています。文書は中国の国務院と中央軍事委員会が共同で発表し、中央軍事委員会主席である習近平氏が命令に署名しました。
同時に、李強・国務院総理も国務院令として文書に署名しており、軍事と行政の両面から位置付けられた規則であることがわかります。
この規則は全51条、7章から構成されており、制度としての枠組みを比較的詳細に定めています。
対象となる「重要軍事産業施設」
規則の対象となるのは、「重要な兵器や装備」に関連する軍事産業施設です。文書によると、具体的には次のような場所が含まれます。
- 重要な兵器・装備の研究施設
- 生産工場や組立施設
- 試験や検査を行う試験場
- 兵器や装備を保管する倉庫や保管施設
- 関連する資料を収めたアーカイブやデータセンター
- 通信・観測のための各種ステーション
- 専用の港湾や埠頭
- 専用空港
- 専用鉄道線路などの輸送インフラ
単なる工場や基地だけでなく、データセンターや通信施設、専用の港湾や空港、鉄道路線まで含めて幅広く「軍事産業施設」と定義している点が特徴です。
保護区域の設定と立ち入り規制
規則の大きな柱となるのが、こうした軍事産業施設の周囲に「保護区域」を設けることです。文書は、関係当局の許可なしに重要軍事産業施設の保護区域に立ち入ることを禁止しています。
対象となるのは「人」だけではありません。規則では、保護区域内への無許可の立ち入りを
- 個人
- 車両
- 船舶
に対して禁止すると明記しています。施設の性質上、陸上だけでなく、海上や周辺インフラを含めて動きを管理する狙いがうかがえます。
撮影・録音・スケッチも禁止
情報の取り扱いにも厳しい制限が設けられています。文書は、保護区域内での次のような行為を禁止しています。
- 写真撮影
- 動画撮影
- 音声の録音
- スケッチや図面の作成
- その他、記録・記述行為
スマートフォンやカメラなどを使ったあらゆる形での記録行為が対象となると考えられ、現地を訪れる人だけでなく、周辺で働く人や物流に関わる人にも影響が及ぶ可能性があります。
違反には刑事責任も
規則は、これらのルールに違反した場合、刑事罰の対象となり得ることも明記しています。具体的な罰則の内容には触れていませんが、「刑事上の責任」という表現から、重大な違反については刑事手続きに付される可能性があると読み取れます。
軍事産業施設の保護が、単なる行政上のルールではなく、刑事法とも結び付いた重い規定として位置付けられていると言えます。
社会経済計画にも安全保障の視点
もう一つの特徴は、社会・経済の発展計画を立てる際にも、こうした軍事産業施設の保護を考慮するよう求めている点です。
つまり、都市開発やインフラ整備、産業政策などを設計する段階から、重要軍事産業施設の安全と運用を妨げないよう配慮することが義務付けられます。安全保障と社会経済政策を一体で考える姿勢が打ち出されたと言えるでしょう。
2025年9月施行、今後の注目点
この規則は2025年9月15日に施行されました。記事執筆時点の2025年12月は、施行からおよそ3カ月が経過したタイミングにあたります。
今後のポイントとしては、
- 各地でどのような範囲が「保護区域」として指定されるのか
- 立ち入りや撮影の規制が、現地の産業活動や住民生活にどのような形で影響するのか
- 社会経済発展計画に、軍事産業施設の保護がどのように組み込まれていくのか
といった点が挙げられます。
軍事や安全保障のニュースとしてだけでなく、中国の産業政策や都市計画を読み解くうえでも、今後の運用の行方が注目されます。
Reference(s):
Xi Jinping signs order on protection of military-industrial facilities
cgtn.com








