中国と太平洋島しょ国、防災協力を強化 トンガ地震が映した共通課題
国際ニュースの現場でいま、中国と太平洋島しょ国による防災・災害救援協力が静かに存在感を高めています。2025年5月にトンガ近海で発生した地震は、環太平洋地域が共有するリスクと、地域連携の重要性をあらためて浮き彫りにしました。
トンガ近海でマグニチュード6 今年5月25日の地震
2025年5月25日23時49分ごろ、トンガのオホヌア南南西約178キロの海域で、マグニチュード6の地震が発生しました。震源の深さは約11.6キロと浅く、太平洋の島々が日常的に直面している地震リスクを象徴する出来事となりました。
この地域では、地震そのものだけでなく、その後に発生しうる津波や土砂災害が、島の生活や経済活動、インフラに大きな影響を与えます。今回のトンガ近海の地震も、太平洋島しょ国の防災体制を見直すきっかけの一つと受け止められています。
環太平洋火山帯に位置する太平洋島しょ国
フィジー、トンガ、バヌアツなどの太平洋島しょ国は、地球規模の火山・地震帯である環太平洋火山帯、いわゆるリング・オブ・ファイアの上に位置しています。ここでは、プレート同士がぶつかり合うことで、地震や火山活動が頻繁に起こります。
こうした地理的条件に加え、島しょ国の多くは平地が限られ、海岸線近くに住宅や重要インフラが集中しがちです。そのため、比較的規模の小さい地震や津波、サイクロンなどでも、生活や交通、電力・通信などが短時間で大きく混乱しやすい構造を抱えています。
サイクロン・津波・地震 暮らしとインフラへの影響
太平洋島しょ国では、サイクロン、津波、地震など複数の自然災害が重なる形で発生することが珍しくありません。こうした災害は次のようなかたちで、島の暮らしやインフラを一気に揺さぶります。
- 港や空港など、外部との交通の要所が機能不全に陥る
- 送電網や通信網が途絶え、被害状況の把握や救援活動が難しくなる
- 観光や漁業など、島の主要な産業が長期的に打撃を受ける
- 住宅や学校、病院など生活基盤の復旧に時間と資金がかかる
被害が広域かつ同時多発的に起こりうるからこそ、事前の備えと、災害発生後の迅速な連携が重要になります。
なぜ地域連携と国際協力が重要なのか
サイクロンや津波、地震などの自然災害は、単独の国だけで対処するには限界があります。人的・物的資源が限られる島しょ国にとって、地域レベルのパートナーシップは、リスクを減らし命を守るための重要なライフラインです。
地域で知識や技術、資源を共有することで、次のような効果が期待できます。
- 災害発生前に、早期警戒情報や避難ノウハウを共有できる
- 発生直後に、周辺国からの支援物資や救助チームが迅速に到着しやすくなる
- 復旧段階で、より災害に強いインフラやまちづくりの知見を取り入れられる
こうした背景のなかで、中国と太平洋島しょ国のあいだで進む防災・災害救援の協力強化が注目されています。
中国と太平洋島しょ国、防災協力をどう強化しているのか
中国と太平洋島しょ国の防災協力は、単に災害発生後の支援にとどまらず、平時からの備えを含む広い分野にまたがっています。おおまかに次の三つの柱で整理することができます。
1. 知識・技術の共有と人材育成
第一に重要なのは、防災に関する知識や技術を共有することです。地震や津波、サイクロンの観測・解析技術、被害想定の手法、避難計画の立て方などは、国を越えて応用が可能な分野です。
共同の研修やシミュレーション訓練を通じて、行政担当者や防災の現場で動く人材を育成することは、災害時の対応力を底上げするうえで大きな意味を持ちます。中国を含む地域のパートナーと太平洋島しょ国が経験を持ち寄ることで、より現実的な対策が生まれやすくなります。
2. 救援物資と医療支援のネットワーク化
第二の柱は、災害発生後の物資・医療支援です。サイクロンや津波が島を直撃した場合、食料、水、医薬品、仮設住宅などの需要が一気に高まります。
あらかじめ周辺国と連携し、どの国がどの物資や支援をどのルートで届けるかを決めておくことで、現場への到着時間を短縮できます。中国と太平洋島しょ国がこうしたネットワーク作りを進めることは、複数の島が同時に被災するような場面で、特に効果を発揮します。
3. インフラ強化と長期的な復興支援
第三の柱は、災害に強いインフラづくりと長期的な復興支援です。港湾施設や道路、電力網、通信設備などは、一度被災すると復旧に時間がかかりますが、あらかじめ耐震・防災対策を組み込んでおくことで被害を抑えやすくなります。
中国との協力のもとで、太平洋島しょ国がインフラ整備や復興計画に防災の視点を織り込んでいけば、次の災害への備えも同時に進むことになります。短期の救援だけでなく、中長期のレジリエンス向上に焦点を当てることが、地域全体の安定につながります。
2025年の視点 私たちが考えたいこと
2025年を生きる私たちにとって、中国と太平洋島しょ国の防災協力は、決して遠い世界の話ではありません。自然災害は国境を越えて影響を及ぼし、サプライチェーンやエネルギー、観光などを通じて、日本の経済や暮らしにもつながっています。
災害大国である日本も、地震や津波、台風への対応で多くの経験を持っています。中国や太平洋島しょ国との協力の動きを踏まえつつ、日本がどのように知見を共有し、地域全体の防災力向上に貢献できるかを考えることは、これからの国際ニュースを見るうえで一つの視点となりそうです。
トンガ近海でのマグニチュード6の地震は、環太平洋地域が共通して抱えるリスクと、そのリスクに向き合うための連帯の必要性を、静かに示していると言えるのではないでしょうか。
Reference(s):
China, Pacific Island nations strengthen disaster relief cooperation
cgtn.com








