中国とカンボジアが経済協力を強化へ 李強首相が貿易拡大を表明
中国の李強首相が今週、ASEAN-中国-GCC首脳会議の場でカンボジアのフン・マネット首相と会談し、経済・貿易協力を一段と拡大していく方針を示しました。先月の習近平国家主席によるカンボジアへの「歴史的訪問」を受け、両国関係は新たな段階に入ろうとしています。
ASEAN-中国-GCC首脳会議で示された「協力拡大」
会談は、ASEAN(東南アジア諸国連合)と中国、GCC(湾岸協力評議会)の首脳らが集まるASEAN-中国-GCC首脳会議の場で行われました。李強首相は、中国がカンボジアとともに貿易・投資の自由化と円滑化を進め、経済・貿易協力をさらに広げる用意があると表明しました。
李首相の発言のポイントは次の通りです。
- 貿易・投資の自由化と円滑化を推進する
- 中国とカンボジアの経済・貿易協力を一段と拡大する
- 不透明な国際情勢に対し、「中カ共同の未来社会」づくりで確実性を高める
習主席の「歴史的訪問」と鉄板の友情
李首相は、習近平国家主席が先月カンボジアを「歴史的訪問」したことに言及しました。この訪問で両国は、「新時代の全天候型の中国・カンボジア共同未来社会」を構築することを共同で発表しました。
李首相は、中国・カンボジア関係が「人類運命共同体」づくりの先頭を走っており、両国の「鉄板の友情」が一段と深まったと強調しました。中国側は、習主席の訪問成果を着実に実行し、
- ハイレベル交流の強化
- 政治的な相互信頼の深化
- 中国・カンボジア政府間調整委員会を活用した協力の推進
などを通じて、各分野での実務協力を着実に進める考えです。
一帯一路とカンボジア「五角戦略」の連携
経済面では、中国が掲げる「質の高い一帯一路」協力と、カンボジアの「ペンタゴナル(五角)戦略」を連携させる方針が打ち出されました。一帯一路は、インフラや貿易、投資を通じて広域のつながりを強める構想とされており、カンボジア側の国家戦略と組み合わせることで新たな成長の柱をつくる狙いがあります。
李首相は、次のような具体的な連携分野に言及しました。
- 「産業開発回廊」の協力計画の実施加速
- 「魚と米の回廊」の協力計画の加速
- インフラ整備、デジタル経済、先端製造業、クリーンエネルギーでの協力強化
- より多くの中国企業によるカンボジアへの投資を後押し
こうしたプロジェクトは、カンボジアの産業基盤づくりや農業・食料分野の強化につながり、両国にとって新たな成長分野となることが期待されています。
越境犯罪対策と市民の安全
経済協力と並んで、治安分野での連携も重要なテーマとなりました。李首相は、中国とカンボジアが最近、越境犯罪と闘う共同の取り組みで「積極的な成果」を上げていると評価しました。
そのうえで、両国の人々の安全と安心を守るため、より強力で効果的な措置を取るよう呼びかけました。越境犯罪には、オンライン詐欺や違法な金融取引、人身取引などさまざまな形態が含まれるとされ、地域全体での対処が課題になっています。
揺らぐ国際情勢と「多国間主義」の強調
李首相は、現在の国際情勢について「一層動揺し、混乱している」との認識を示しました。そのうえで、中国がカンボジアや地域の他の国々とともに、次のような姿勢を取る用意があると述べました。
- 連帯と協力を強める
- 一方的な行動(ユニラテラリズム)や勢力政治に共同で反対する
- 国際的な公平と正義を守る
- 多角的な貿易体制を維持する
- 産業・サプライチェーンの安定かつ円滑な流れを保つ
これにより、世界の平和や安定、繁栄と発展に「より多くのポジティブなエネルギー」を注ぎ込みたい考えを示しました。多国間主義や自由貿易を重視する姿勢は、アジアや世界の経済環境にも関わるメッセージといえます。
カンボジアが示した「一つの中国」への明確な支持
フン・マネット首相は、習主席の先月のカンボジア訪問が、両国の「鉄板の友情」にとって新たなマイルストーンになったと評価しました。
そのうえで、カンボジア側が次の点を改めて確認したとされています。
- 「一つの中国」の方針を堅持する
- 台湾、香港、新疆ウイグル自治区、シーザンなど、中国の核心的利益に関わる問題で中国の正当な立場を支持する
- 中国の内政への外部からの干渉に反対する
さらにカンボジアは、習主席が提案した三つのグローバルなイニシアチブを支持し、中国と多国間の場での連携を強めたい考えを示しました。具体的には、
- 多国間主義を守る
- 保護主義に反対する
- 地域の安全と安定を維持する
- 共有されたグローバルな発展を促進する
といった方向性での協力が想定されています。
日本や地域の読者にとってのポイント
今回の中国とカンボジアの動きは、日本を含むアジアの読者にとっても次のような点で注目する価値があります。
- 中国と東南アジアの経済・インフラ連携が進むことで、域内のサプライチェーンや物流ネットワークの姿が変わる可能性があること
- 「産業開発回廊」や「魚と米の回廊」などを通じて、メコン地域の産業や農業の構造変化が加速すること
- 越境犯罪対策の強化は、オンライン詐欺など身近なリスクの低減にもつながり得ること
- 多国間主義や自由貿易を重視する姿勢は、地域の経済ルールづくりにも影響しうること
国際情勢が不透明さを増すなかで、中国とカンボジアがどのように協力を広げていくのか。そのプロセスは、東南アジア全体の経済と安全保障の流れを読み解くうえで、今後も注視しておきたいテーマです。
Reference(s):
Premier Li: China to expand economic, trade cooperation with Cambodia
cgtn.com








