中国で多年生イネ研修 アフリカ6カ国が学んだ持続可能な農業技術
アフリカ6カ国からの農業専門家が今年5月、中国で多年生イネ技術を集中的に学びました。食料安全保障と持続可能な農業をめぐる中国・アフリカ協力の新しい一歩です。
中国で開かれた多年生イネ技術セミナー
2025年5月15日から28日まで、中国本土で「2025年多年生イネ技術セミナー」が行われました。主催は中国商務部で、中国の大手ライフサイエンス・ゲノミクス企業であるBGIグループが一部運営を担当しました。
セミナーには、ナイジェリア、エチオピア、ケニア、エジプト、ガンビア、カメルーンの6カ国から、農業官僚や研究者など30人が参加しました。テーマは、持続可能なコメ生産、とくに一度の作付けで複数回の収穫が可能な多年生イネです。
参加者の声 「空のバッグで来て、知識でいっぱいに」
今回の研修は、技術だけでなく現場での実践を意識した内容だったと、参加者は口をそろえます。
ケニア農畜研究機構の上級研究員ウィリス・アブワオ・アデロ氏は、「空のバッグを持って中国に来ましたが、今は情報と知識でいっぱいになりました」と語り、研修の成果の大きさを強調しました。
エチオピアのバイオ・新興技術研究所で植物バイオテクノロジー部門の責任者を務めるアロ・アメン・ディド氏は、「コメ全般だけでなく、多年生イネの生産とフルサイクルの管理について多くを学びました」と振り返り、栽培から収穫までを一体で捉える重要性に触れました。
各国のニーズに合わせた多年生イネ戦略
セミナーでは、各国の気候や土壌条件に合わせた多年生イネの活用方法について、国別に議論が行われました。
- ナイジェリア:農業の構造転換をにらみ、作付け方法の効率化につながる栽培モデルを検討。
- エチオピア:高地でも育つ品種の開発に向け、野生イネの遺伝子とゲノム解析ツールを組み合わせる構想を提示。
- ケニア:ケニア農畜研究機構と連携し、多年生イネの試験栽培(パイロットトライアル)を進める計画を説明。
- エジプト:塩類・アルカリ性の強い土壌に対応するため、塩分に強いコメ品種(耐塩性品種)へのニーズを強調。
ガンビアやカメルーンからの参加者も、それぞれの国の条件に合わせた多年生イネの導入可能性について意見を交わしました。参加した全ての代表は、アフリカと中国本土の研究機関が長期的なパートナーシップを築き、継続的な技術支援を行うことが、開発を進めるうえで不可欠だという点で一致しました。
FOCAC25周年の年に進む中国・アフリカ農業協力
2025年は、中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)の立ち上げから25周年にあたります。中国外交部の毛寧報道官は、中国・アフリカ関係が飛躍的な発展を遂げ、歴史上最も良好な時期に入っていると述べています。
今回の多年生イネ技術セミナーは、FOCACの枠組みのもとで進められる中国・アフリカ協力の一環であり、農業の近代化と持続可能な開発を後押しする取り組みです。ライフサイエンス企業であるBGIグループも、アフリカとのパートナーシップを強化し、持続可能な農業技術や栽培ノウハウの共有を続けていく方針を示しています。
多年生イネがひらく食料安全保障と環境保全の可能性
多年生イネは、一度植えると複数回収穫できるため、農家にとっては作付けや田植えの回数が減り、労力やコストの軽減が期待されます。また、土壌を長く維持できることで、土壌浸食の抑制や環境負荷の低減にもつながる可能性があります。
気候変動の影響が大きい地域が多いアフリカにおいて、こうした技術は収量の安定や食料安全保障の強化にも貢献しうると考えられています。今回の研修を機に、各国で試験栽培や現地条件に合わせた品種開発が進むかどうかが、今後の重要なポイントになりそうです。
日本から見ると、中国・アフリカ協力はやや遠い話題に感じられるかもしれません。しかし、食料安全保障や農業の持続可能性は、日本を含む世界全体の課題です。アフリカ6カ国と中国本土の研究者が多年生イネという新しい選択肢を模索する動きは、国際ニュースとしても、これからの農業のあり方を考えるヒントを与えてくれます。
Reference(s):
African delegates finish training on perennial rice in China
cgtn.com








