中国で科学リテラシーが急伸 成人の44%が基礎水準を達成
中国で「科学リテラシー」を身につけた人の割合が大きく伸び、16〜69歳の成人のうち約44%、人数にして約4億4000万人が自国の基礎水準を満たしていることが、中国科学技術協会(CAST)の調査で明らかになりました。
最新の調査結果は、科学的なものの見方を身につけた人々が、今後の経済発展やテクノロジーの進歩を支える重要な「人材の土台」となりつつあることを示しています。この国際ニュースを、日本語で分かりやすく解説します。
成人の44%が科学リテラシーの基礎水準を達成
CASTが公開した調査によると、中国の16〜69歳の成人のうち約44%が、自国が定める科学リテラシーの基礎水準を満たしています。人数にすると約4億4000万人に相当し、非常に大きな層です。
調査では、科学リテラシーの水準が次のように分類されています。
- 基礎水準以上の科学リテラシーを持つ人:44%
- 完全な科学リテラシーを達成した人:15.37%
- 高度な科学リテラシー層:2.30%
基礎水準を満たす人の中には、より高度なレベルに到達した層も含まれており、単なる知識の有無を超えて、科学を深く理解し活用できる人材が着実に増えていることがうかがえます。
4つの指標で測る新しい科学リテラシーフレームワーク
今回の結果は、2021年に導入された新しい科学リテラシーの評価フレームワークにもとづいています。このフレームワークでは、100点満点のスコアを次の4つの側面に配分し、バランスよく測定します。
- 知識:40点
- 方法論:20点
- 批判的思考:20点
- 実践的応用:20点
「知識」は、物理・生物・環境など基礎的な科学知識の理解を、「方法論」は観察や実験の進め方など、科学的な調査方法の理解を指します。「批判的思考」は、情報をうのみにせず検証する態度を、「実践的応用」は、科学的な考え方を日常生活や仕事の場面で生かす力を意味します。
この指標は2022年から国家統計報告の一部となっており、地域や年齢層ごとの傾向を細かく把握することで、教育や科学技術政策をより精密に調整するための基盤になっています。
実践力と証拠にもとづく思考が高スコア
調査結果で特に目を引くのは、「実践的応用」と「証拠にもとづく思考」が高いスコアを示した点です。科学的な推論を日常場面で使いこなす力は79点、データや証拠にもとづいて物事を判断する姿勢は80点と、いずれも相対的に高い水準となりました。
これは、単に科学知識を暗記するのではなく、「なぜそうなるのか」を自分で考え、実生活の中で活用しようとする志向が広がっていることを示しています。インターネットやSNSでさまざまな情報が飛び交うなか、証拠にもとづいて判断しようとする態度が広がることは、現代社会において重要な意味を持ちます。
調査はまた、こうした傾向が、科学的合理性やデータに基づく意思決定を重視する現代的な科学の価値観と、社会全体の意識がより強く響き合いはじめていることを示唆しています。
経済・テクノロジー発展を支える「人材の土台」
CASTは、科学リテラシーを身につけた成人約4億4000万人の層が、今後の経済発展やテクノロジーの進歩を支える「人的資本の貯水池」になると位置づけています。科学的なものの見方を共有する人が増えるほど、新しい技術や産業が社会に受け入れられやすくなり、イノベーションの土台も厚くなります。
科学リテラシーの向上には、次のような効果が期待されます。
- 新しい技術やサービスへの理解が進み、導入がスムーズになる
- 研究開発だけでなく、現場で科学的な改善を行う人材が増える
- 気候変動や感染症対策など、科学的根拠にもとづく公共政策への理解が高まる
一方で、地域や世代によって科学リテラシーの水準に差があることも想定されます。今後は、こうしたギャップをどう縮めていくかが、政策面での重要なテーマになっていきそうです。
2035年の「知識社会」目標に向けた前進
今回示された科学リテラシーの伸びは、中国が掲げる「2035年までに知識主導型の社会を実現する」という長期目標に向けた進展として位置づけられています。社会のより多くの人が科学的な考え方を身につけることで、経済・産業だけでなく、教育や医療、環境保護など幅広い分野で、知識とデータにもとづく意思決定が取りやすくなるとみられます。
科学リテラシーを定期的に測定し、その結果を国家統計として蓄積する仕組みは、どの層への支援を厚くすべきか、どの地域で科学教育を強化すべきかといった判断を、エビデンスにもとづいて行うことを可能にします。こうした地道な取り組みが、2035年の知識社会づくりを下支えしていると言えるでしょう。
日本の読者にとってのヒント
科学リテラシーの向上は、中国だけでなく、どの国や地域にとっても共通の課題です。4つの側面から科学的能力を測る今回のフレームワークは、知識だけでなく、批判的思考や実践力まで含めて評価する点で、他国にとっても参考になる考え方と言えます。
私たち一人ひとりに引きつけて考えると、「情報の出どころを確認する」「数字やグラフをそのまま受け取らずに読み解いてみる」「身近な疑問を自分で調べてみる」といった、小さな習慣が科学リテラシーを確実に高めていきます。今回の中国の動きをきっかけに、日常の中で科学との距離を少し縮めてみることも、国際ニュースの読み方を深める一つの方法かもしれません。
Reference(s):
China's scientific literacy surges: 44% of adults meet basic standards
cgtn.com








