中国、衛星-地上通信で新記録 Xバンド単一チャネル2.1Gbps達成
中国本土の研究者チームが、衛星-地上間のXバンド通信で単一チャネルあたり2,100メガビット毎秒の伝送に成功し、中国国内の新記録を打ち立てました。衛星データが急増する2025年現在、この国際ニュースは宇宙開発と通信技術の両面で注目されています。
中国の衛星通信で過去最高レベルの高速化
中国の科学技術メディアであるScience and Technology Dailyによると、中国科学院の研究機関Aerospace Information Research Institute AIR のチームが、新たな地上局向け通信技術の実験に成功しました。
実験では、衛星から地上へのXバンド通信において、単一チャネルで2,100メガビット毎秒 Mbps の伝送速度を達成しました。これは、マイクロ波通信における符号化速度が従来比で約75パーセント向上したことを意味します。
現在、中国本土の民間衛星の多くはデータ伝送にXバンドを利用しており、単一チャネルの一般的な速度はおよそ450~1,200メガビット毎秒です。今回の成果は、その上限を大きく押し上げるものです。
なぜXバンド高速化が急務なのか
衛星観測技術の向上に伴い、地球観測や宇宙探査で得られるデータ量は年々増え続けています。現在、国内の民間衛星は主にXバンドを使って地上局にデータを送りますが、従来の450~1,200メガビット毎秒という速度では、膨大な観測データを送り切れないケースが出てきています。
実験プロジェクトの責任者であるAerospace Information Research Institute AIR の上級エンジニア、Zhang Yumeng氏は、従来の速度ではもはや大量の宇宙探査データの伝送需要を満たせず、衛星の利用効率にも影響が出ていると説明しています。そのうえで、単一チャネルの伝送速度を引き上げることが極めて緊急の課題になっていると強調しました。
雲南省麗江の地上局で実証
今回の衛星-地上通信技術は、中国南西部、雲南省麗江市にあるリモートセンシング衛星地上局で検証されました。研究チームは、実際の衛星データ受信の現場環境を想定した包括的なテストを行い、システムが安定して動作することと、技術的な実現可能性を確認しました。
単なるラボの試験ではなく、実際の運用現場に近い条件での検証で成果が得られたことで、今後の実用化に向けたハードルが一段低くなったと言えます。
研究者が語る通信の限界突破への手応え
プロジェクトに参加した研究者のHuang Peng氏は、今回の成果について、これまで中国が抱えてきた衛星通信の制約を乗り越えるうえで大きな一歩だと評価しています。また、複数の重要な技術課題を解決することで、効率性が高く価値の大きいソリューションを生み出せたと述べています。
研究チームが取り組んだのは、単に速度を上げることだけではありません。高速化と同時に、伝送の安定性、データの正確性、地上局設備との互換性など、衛星通信システム全体の最適化も求められます。今回の実験結果は、そのバランスを保ちながら性能向上を実現できる可能性を示したものといえます。
私たちの日常と国際社会にじわりと広がる影響
衛星-地上通信の高速化は、一見すると専門家だけの話題に見えますが、間接的には私たちの日常やビジネスにも関わってきます。高速で大容量のデータを送れるようになれば、次のような分野での変化が期待されます。
- 気象観測や気候監視データの更新がより高頻度になり、予報や災害情報の精度向上につながる可能性
- 洪水や山火事、地震などの災害発生時に、被災状況の衛星画像をより短時間で共有できるようになること
- 農業、森林管理、海洋監視などで、詳細なリモートセンシングデータを活用しやすくなること
- 宇宙開発ビジネスや衛星データサービスの新たな市場創出につながること
世界各国が宇宙開発と通信インフラの強化を進めるなか、中国本土の今回のブレークスルーは、衛星通信技術の競争と協調の両面で注目されます。今後、このXバンド高速通信技術が実運用に広く導入されれば、衛星から地上への情報の流れが一段とスムーズになり、2025年以降の宇宙利用の姿を静かに変えていくかもしれません。
宇宙や通信の国際ニュースは難しく感じられがちですが、ポイントは、衛星が集めた膨大なデータをどれだけ早く地上で活かせるかという一点です。今回の中国の取り組みは、その問いに対する一つの具体的な答えになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








