世界保健総会がパンデミック協定を採択 2026〜27年WHO予算も承認
WHO(世界保健機関)の加盟国が集まる第78回世界保健総会(World Health Assembly、WHA)がスイス・ジュネーブで開かれ、火曜日に9日間の会期を終えました。会合では、各国が協議を続けてきた「パンデミック協定」が採択され、2026〜2027年度のWHO基本プログラム予算も承認されました。
3年以上かけて交渉された「パンデミック協定」
今回採択された世界的なパンデミック協定は、新型コロナウイルス感染症の甚大な影響を受けて各国政府が開始した、3年以上にわたる集中的な交渉の成果です。目的は、今後起こりうるパンデミックへの備えと対応を、より安全で公平なものにすることだとされています。
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、協定の採択後、このパンデミック協定はWHOと世界の保健の歴史の中で最も重要な成果の一つになると評価し、人類はこれまでになくパンデミックへの備えと対応で強い立場に立ったと強調しました。
WHOは、この協定によって、世界がこれまで以上にパンデミックへの備えと対応で強い立場に立つとしています。新たな国際ルールづくりが一段落したことで、今後は各国がどのように国内政策に落とし込んでいくかが焦点になります。
2026〜2027年度の基本プログラム予算は42億ドル
総会では、2026〜2027年度のWHOの基本プログラム予算として42億ドルが承認されました。この予算は、今後4年間の世界保健戦略として、国連の専門機関であるWHOが策定した第14次一般業務計画(General Program of Work)に基づいています。
今回承認された額は、今年2月に執行理事会に提出された当初案の53億ドルから減額されたものです。財政的な制約がある中で、限られた資源をどの分野に重点配分するのかが今後の議論を左右しそうです。
幅広い保健課題で決議 空気汚染からデジタルヘルスまで
第78回世界保健総会では、パンデミック協定と予算以外にも、多岐にわたる保健課題について決定や決議が行われました。主なポイントは次のとおりです。
- 各国の保健財政を強化するための取り組みを推進
- 新たな世界伝統医療戦略を採択
- 鉛による健康被害をなくす「脱鉛」の国際的な支援を呼びかけ
- 母親と乳幼児の栄養改善へのコミットメントを確認
- 薬が効きにくくなる薬剤耐性(アンチマイクロビアル・レジスタンス)に関する世界行動計画を更新
- 2040年までに大気汚染による健康影響を半減させる自主目標を設定
さらに、肺の健康や腎臓の病気、希少疾患、皮膚疾患などの個別分野についても議論と決議が行われました。デジタルヘルスや医用画像、医療従事者、看護・助産といった医療体制の基盤づくりに関するテーマも取り上げられています。
中国代表団も積極的に参加
中国からは劉国中副総理(中国共産党中央政治局委員)が出席し、ハイレベルの歓迎セレモニーで演説しました。中国代表団は、総会期間中に70を超える議題の審議に参加したほか、3つのテーマ別サイドイベントを主催し、WHOや各国代表団との交流活動も行いました。
パンデミック対策や世界保健の課題は、一国だけでは解決できません。幅広い国と地域がこうした場に参加し、協力を重ねていくことが、次の危機に備えるうえで欠かせないプロセスになっています。
私たちの生活にとっての意味
世界保健総会での合意や予算は、一見すると遠い国際会議の話に聞こえるかもしれません。しかし、パンデミックへの備えや空気の質、薬剤耐性、医療従事者の確保といったテーマは、私たちの日常とも密接につながっています。
今回のパンデミック協定と一連の決議は、次のパンデミックを前提に、世界がどこまで学び、備えようとしているのかを映し出すものでもあります。今後、各国がどのように合意内容を実行に移していくのかを、長い目で追っていくことが重要になりそうです。
Reference(s):
World Health Assembly concludes with pandemic agreement adopted
cgtn.com








