中国・ASEAN・GCCが協力強化 WTO重視と開かれたグローバル化を確認
2025年5月、マレーシアの首都クアラルンプールで開かれた中国・ASEAN(東南アジア諸国連合)・GCC(湾岸協力会議)による三者首脳会議で、クロス地域協力の強化と、世界貿易機関(WTO)を中心とした多国間貿易体制の重視が改めて確認されました。この動きは、アジアと中東をつなぐ国際ニュースとして、日本語で世界の流れを追う読者にとっても押さえておきたいトピックです。
中国・ASEAN・GCC、クロス地域協力の強化で一致
共同声明によると、中国、ASEAN、GCCの関係国は、アジアと湾岸地域をまたぐクロス地域協力を推進することで一致しました。会議は、2025年5月27日(火)に、当時のASEAN議長国であるマレーシアのクアラルンプールで開催されています。
声明では、とくに次の点が強調されています。
- 中国とASEANのより緊密な共同体の構築を目指すこと
- 中国とアラブ諸国との間で、新時代にふさわしい共同の未来を共有するコミュニティを築くこと
- 中国・ASEAN・GCCの三者間で、地域をまたいだ協力を体系的に進めること
経済、エネルギー、インフラ、デジタル分野など、多様な領域での連携が想定されており、アジアと中東をつなぐ新たな協力の枠組みとして注目されています。
WTOを中心とするルールに基づく貿易体制を再確認
共同声明は、世界貿易機関(WTO)を中心とする、ルールに基づく多国間貿易体制への信頼を強化する必要性を確認しました。また、経済のグローバル化を、より開かれた、包摂的で、バランスが取れ、人々と将来世代に利益をもたらすものにしていく決意が示されています。
このメッセージには、次のような含意があると考えられます。
- 保護主義や一方的な制裁よりも、多国間のルールに基づく解決を重視する姿勢
- 新興国・途上国を含め、より多くの国と地域が成長の果実を分かち合える仕組みづくり
- 現在だけでなく将来世代の利益を意識した、持続可能な経済運営
グローバルなサプライチェーン(供給網)が不安定化しやすいなかで、WTO中心のルールを支持する姿勢を明確にしたことは、企業や投資家にとっても重要なシグナルといえます。
アジアと湾岸をつなぐ新たな軸に
中国、ASEAN、GCCは、それぞれ性格の異なる地域協力の枠組みですが、互いに補完し合う関係にあります。
- 中国:世界最大級の市場であり、製造拠点・技術拠点として存在感
- ASEAN:人口増と経済成長が続く東南アジアの地域枠組み
- GCC:豊富なエネルギー資源と投資マネーを有する湾岸地域の枠組み
三者が連携することで、エネルギー安全保障、インフラ投資、物流やデジタル経済の接続性強化など、幅広い協力の可能性が広がります。アジアから中東、アフリカへと至る広域を結ぶハブとしての役割が強まれば、世界経済の重心にも影響を与えそうです。
日本と周辺地域への波及効果
日本は中国、ASEANの近隣に位置し、GCC諸国とはエネルギーを通じて深く結びついています。そのため、中国・ASEAN・GCCの協力強化は、日本や東アジアにも間接的な影響を及ぼす可能性があります。
- エネルギー・物流ルートの安定化による、長期的な価格や供給の安定
- アジアと湾岸を結ぶインフラ・デジタル接続が進むことで、新たなビジネス機会が生まれる可能性
- 多国間協力の枠組みが広がることで、地域の対立構図を和らげる方向に働く可能性
日本の企業や政策立案者にとっても、中国・ASEAN・GCC三者の動きは、地域戦略やサプライチェーン戦略を考えるうえで無視できない要素になっていきそうです。
課題は合意をどう実行するか
今回の共同声明は、方向性としては明確ですが、それをどう具体的なプロジェクトや制度に落とし込んでいくかが今後の焦点です。
- 三者が合意できる優先分野(エネルギー、インフラ、デジタル、教育など)を絞り込み、具体的な協力案件を進められるか
- 環境・社会への影響に配慮しつつ、持続可能な形で開発を進められるか
- 大企業だけでなく、中小企業や若い世代にもメリットが行き渡る仕組みをつくれるか
中国、ASEAN、GCCが掲げた人々と将来世代に利益をもたらすグローバル化を現実のものにできるかどうかは、今後数年の具体的な行動と成果にかかっています。2025年も終盤に差し掛かる今、各国が年明け以降にどのようなフォローアップを行うのかが問われます。2025年のクアラルンプール三者首脳会議は、そのスタートラインといえるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








