中国の伝統建築を子どもたちへ 天壇匠の彩色教室が伝えたもの video poster
子どもの日を前に、伝統建築の色とかたちにふれる
子どもの日を前に、あるグループの児童たちが「中国の伝統建築」の世界に足を踏み入れました。梁(はり)が組まれ、木に刻まれた模様が色鮮やかな絵の具で彩られていく場面を、間近で見て、実際に自分の手でも体験したのです。
国際ニュースとしては小さな話題かもしれませんが、そこには、世代を超えて技と心を受け継ぐという大きなテーマが静かに息づいています。
木組みと彩色がつむぐ「物語」の世界
子どもたちが招かれたのは、伝統的な中国建築の魅力を紹介する場でした。ここでは、建物の骨組みとなる梁や柱がどのように組まれ、その上に木彫りや絵が重なっていくのかが分かりやすく示されていました。
梁と筆が出会う瞬間
参加した児童たちは、木材に刻まれた線や模様をなぞりながら、色を一つひとつ乗せていきました。単なる「塗り絵」ではなく、建物を守り、美しく見せるための装飾としての彩色を体験する時間です。
木に刻まれた模様は、単なる装飾ではなく、そこに込められた物語や祈りを伝える役割も持っています。子どもたちは筆を動かしながら、「この色にはどんな意味があるのだろう」「この形にはどんな願いが込められているのだろう」と想像をふくらませたかもしれません。
天壇の修復を率いた匠から学ぶ
この体験を導いたのは、北京の天壇で建築彩色の修復作業を率いたことのある匠でした。歴史ある建物の色をよみがえらせてきた人物が、今度は子どもたちの前でゆっくりと筆を走らせ、彩色の基本を見せます。
子どもたちはその手元を食い入るように見つめながら、同じ模様に挑戦しました。プロの技を「見てまねる」ことは、昔から続く学びのかたちです。師匠の動きに合わせて筆を運ぶ時間そのものが、技の継承の第一歩になっていきます。
「うまさ」よりも「受け継ぐ」こと
最初からうまく描ける子どもはいません。それでも、少しはみ出した線や、まだらな色の重なりを、匠はやさしく見守ります。大切なのは、完璧さではなく、「こうして建物は守られてきた」という実感を子どもたちが自分の手で感じることだからです。
生き続けるクラフトマンシップ
今回の取り組みは、親方から弟子へ、そして次の世代へと技と心が受け継がれていく「師弟」の関係が、今も確かに生きていることを思い出させてくれます。速さや効率が重視されがちな時代に、木に向き合い、一筆ずつ色をのせていく作業は、時間の流れをゆっくりと取り戻す体験でもあります。
世代をつなぐ静かなバトン
師匠から子どもたちへと渡されたのは、技術そのものだけではありません。手仕事への敬意、目に見えないところまで丁寧に仕上げる姿勢、自分より前の世代が積み重ねてきたものを大切にする心も、静かなバトンとして受け継がれていきます。
子どもたちにとって、この日の体験がどれほど鮮明に記憶に残るかは分かりません。それでも、木の手触りや絵の具のにおい、匠の真剣なまなざしは、いつか何かを選ぶときの基準として、心のどこかに残り続けるはずです。
家庭や学校で広げたい「技を尊ぶ」視点
このニュースは、遠い国の特別な出来事のように見えるかもしれません。しかし、「技を持つ人から学び、その価値に気づく」という点では、日本の私たちの日常ともつながっています。
- 身の回りの古い建物や道具を親子で眺め、その作り方や模様について話してみる
- 木や紙、布など身近な素材を使った工作を一緒に楽しみ、「つくる」おもしろさを共有する
- 職人やつくり手の仕事を紹介する本や映像を見て、「この技はどうやって受け継がれているのか」を話題にする
子どもの日を前に行われたこの小さな出会いは、世代を超えて文化や技を受け渡していくことの大切さを、改めて考えさせてくれます。読者一人ひとりの身近なところからも、次の世代へとつながる「技の物語」を見つけてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
Architectural traditions shared with young ahead of Children's Day
cgtn.com








