杭州「Black Myth: Wukong」アート展 900点でゲーム世界を体感
中国・杭州で開催された「Black Myth: Wukong Art Exhibition」は、900点を超える作品でゲームの世界を現実空間に再構築し、ゲーム文化とアートの融合を示した国際ニュースとして注目されました。2025年12月現在、この展覧会は既に終了していますが、その試みはデジタルネイティブ世代にとっても考えさせられる内容でした。
杭州発、「Black Myth: Wukong」の世界を歩くアート展
「Black Myth: Wukong Art Exhibition」は、中国東部の浙江省杭州市にある中国美術学院美術館で開催されました。会場では、ゲーム「Black Myth: Wukong」の世界観をもとに、来場者が作品世界の中を歩き回るような没入型の体験が用意されていました。
展示は、2025年5月29日から6月2日に同じ杭州で行われた第21回中国国際アニメ・マンガフェスティバルと連動する企画として位置付けられ、7月25日まで公開されていました。国際的なアニメ・ゲームイベントと連動したこの試みは、中国のゲーム・アニメ文化の現在地を映し出すものでもあります。
900点超の作品が示した「デジタル×クラフト」の力
会場には、コンセプトアート、立体モデル、実物大の彫像など、合計900点以上の作品が並びました。ゲーム制作の過程で生まれたデジタルデータが、立体物や展示空間という形で具現化されている点が大きな特徴です。
とくに注目を集めたのは、ゲームの象徴的なキャラクターたちの大型展示です。
- 主人公としておなじみの孫悟空
- 人気キャラクター・猪八戒(Zhu Bajie / Pigsy)
- 強烈なビジュアルで知られる「首なし僧侶」
これらのキャラクターは、髪の毛一本一本に至るまで作り込まれた精緻な造形で再現されており、「ゲームの中の存在」が目の前に立ち現れるような感覚を生み出していました。
ゲーム制作の裏側を可視化する展示構成
このアート展は、単に人気ゲームのキャラクターを並べるだけではなく、「デジタルアートがどのように立体物へと変換されるのか」を示す場にもなっていました。ゲームの世界観やビジュアルデザインが、どのようなプロセスを経て完成に至るのかを、来場者が視覚的にたどれる構成だったといえます。
展示を通じて浮かび上がるポイントは、次のようなものです。
- コンセプトアートからキャラクターモデル、そして彫像へと続く制作フロー
- ゲームのストーリーテリングと美術表現の結び付き
- デジタル技術と伝統的な造形技術の組み合わせ
オンラインで完結しがちなゲーム体験を、オフラインの「作品鑑賞」へと拡張することで、ゲームを文化的コンテンツとして捉え直す視点も促していました。
中国国際アニメ・マンガフェスティバルとの連動が意味するもの
このアート展は、第21回中国国際アニメ・マンガフェスティバルと同じ都市で同時期に開催された「併催イベント」という位置づけでした。アニメとゲーム、そしてアートが同じ文脈で扱われることで、コンテンツ産業の境界がますます曖昧になっていることが見て取れます。
国際的なフェスティバルと連動した点からは、次のようなメッセージも読み取れます。
- ゲーム作品を、アニメやマンガと並ぶ「表現メディア」として提示する姿勢
- 国内外のクリエイターやファンに向けた情報発信の場としての役割
- デジタルコンテンツを「展示できるアート」として位置付ける試み
こうした動きは、ゲームを単なる娯楽ではなく、国際的に共有される表現文化として捉える視点を強めるものでもあります。
日本のオンライン読者にとっての「気づき」
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、この展覧会のポイントは「ゲームの楽しみ方が多層化している」という点にあります。プレイするだけでなく、そのアートや設定資料を観に行くために美術館を訪れる、という新しい消費スタイルが現れています。
とくにデジタルネイティブ世代にとって、次のような問いを投げかける事例と言えるでしょう。
- 自分が好きなゲームやキャラクターを、どこまで「文化」として捉えているか
- オンラインの体験とオフラインの体験を、どう組み合わせて楽しむか
- 海外のゲーム・アートの動きを、日本のコンテンツとどう比較し、対話させるか
ニュースとして追いかけるだけでなく、SNSでの共有や友人との会話の中で、「ゲームの世界を現実に持ち込む」というコンセプトについて議論したくなる話題でもあります。
展覧会は終了、それでも続く「ゲームとアート」の対話
「Black Myth: Wukong Art Exhibition」は、2025年7月25日をもって会期を終えました。しかし、900点を超える展示で示されたのは、一度きりのイベントにとどまらない問いかけです。
デジタルゲームの世界を、現実の空間でどう立ち上げるか。国や地域を超えて共有されるゲーム文化を、どのように展示やフェスティバルという形で見せていくのか。杭州でのこの試みは、今後の国際的なゲーム・アートイベントの一つの参考例となりそうです。
今後、同様の展示や新たなコラボレーションが各地で生まれたとき、私たちはそれを単なるファンイベントとしてではなく、「デジタル時代の文化のかたち」を考えるきっかけとして受け取ることができるのではないでしょうか。
Reference(s):
"Black Myth: Wukong Art Exhibition" brings game world to life
cgtn.com








