上海で国際ロボット技能大会 60超チームが実世界タスクで競う
中国・上海で、新たな国際ロボット競技がスタートしました。初開催となる「Labor in Glory」国際ロボット技能大会には、中国や各国から60チーム以上が参加し、実社会に近い28の課題で技術を競い合っています。
上海で始まった「国際ロボット技能コンテスト」とは
今回の「Labor in Glory」国際ロボット技能大会は、ロボットの実用的なスキルに焦点を当てた、新しいタイプの国際コンペです。会場となっている上海は、知能化・自動化分野で世界的なハブを目指しており、この大会はその取り組みを象徴するイベントの一つと位置づけられています。
大会には、中国本土をはじめとする各国・地域から、多様な研究機関や企業、チームが参加。産業現場だけでなく、家庭や災害現場など、日常と隣り合わせの場面で「ロボットに何ができるのか」を試す狙いがあります。
5つのカテゴリーと「28のリアル課題」
国際ロボット技能大会の特徴は、競技が現実のニーズに直結していることです。競技は次の5つのカテゴリーに分かれています。
- ヒューマノイドロボット(人型ロボット)
- エンボディド・インテリジェンス(身体性を持つ知能)
- コア技術イノベーション
- ロボットサッカー
- クリエイティブ・アプリケーション(創造的な応用)
この5分野のもとで、全部で28のリアルな課題が設定されています。内容は、単なるデモではなく、「人の仕事」をどこまで担えるかを試すものです。
たとえば、以下のようなタスクが含まれています。
- 自動車にラベルを貼るといった精密な作業
- 衣類を折りたたむ家事スキル
- 冷蔵庫から指定された品物を取り出す生活支援
- 災害シミュレーションの中での探索・救助行動
見た目には身近な作業ですが、ロボットにとっては「周囲を認識し、判断し、正確に動く」という高度な総合力が求められる課題です。各チームは、センサー、AIアルゴリズム、制御技術を組み合わせながら、安定した動作をどこまで実現できるかを競っています。
なぜ今、「ロボット技能」を競うのか
国際ロボット技能大会の狙いの一つは、世界のロボット研究者や開発者同士の協力を深めることにあります。共通の課題に取り組むことで、国や分野を超えた技術交流が進み、共通の評価軸が共有されやすくなるからです。
同時に、今回の大会は「ロボットが実際にどこまで使えるのか」を社会に可視化する場でもあります。工場の自動化だけでなく、高齢化社会における介護・家事支援、災害時の安全な現場対応など、ロボットに期待される役割は広がっています。
衣類の折りたたみや冷蔵庫からの取り出しといった課題は、一見すると単純な動きのように見えます。しかし、形が変わる布や、多様な形状の食材・容器を扱うことは、ロボットにとってまだ難題です。こうしたタスクを競技化することで、研究開発の焦点がより「人の生活に近い領域」にシフトしていく可能性があります。
上海の「知能化都市」戦略とWAIC 2025
この国際ロボット技能大会は、上海が知能化・自動化分野のリーダーを目指す流れと強く結びついています。都市インフラから製造業、サービス産業まで、ロボットや人工知能(AI)を活用した高度化を進める上で、世界中の技術と人材を呼び込むことが重要だからです。
参加チームの技術やアイデアは、2025年7月に上海で開催された世界AI会議(World AI Conference、WAIC 2025)でも披露する計画が示されました。ロボット技能大会とAI会議を連携させることで、ハードウェアとソフトウェアの両面から、知能ロボットのエコシステムを育てたいという狙いがうかがえます。
私たちの生活と「ロボットのリアル」
今回の国際ロボット技能大会で扱われている課題は、どれも私たちの生活と地続きのシーンです。ラベル貼りや仕分け作業は工場や物流現場の効率化につながり、衣類の整理や冷蔵庫の出し入れは家庭内の負担軽減に直結します。災害シミュレーションの成果は、将来の危機対応を支える技術になり得ます。
一方で、これらの課題をロボットが「完璧に」こなせるようになるまでには、まだ多くの技術的な壁が残されています。だからこそ、実世界に即したタスクで互いの成果を競い合う国際大会には、大きな意味があります。
上海で始まったこの国際ロボット技能大会が、今後どのように発展し、世界の研究開発や私たちの日常にどんな変化をもたらすのか。ロボットと共に働き、暮らす未来を考える上で、注目しておきたい動きです。
Reference(s):
In pictures: International robot skills competition launched in China
cgtn.com








