中国が米国「ゴールデンドーム」を警告 宇宙軍拡と条約違反の懸念
中国が米国の宇宙防衛構想を警告
米国が推進する宇宙防衛システム「ゴールデンドーム」をめぐり、中国国防省が「宇宙空間での軍拡競争を招きかねない」と強い懸念を示しました。国際ニュースとして、宇宙をめぐる安全保障の新たな緊張が浮かび上がっています。
国防省報道官「パンドラの箱を再び開ける」
中国国防省の張暁剛報道官は木曜日の記者会見で、米国が推し進める「ゴールデンドーム」システムと、宇宙空間に兵器を配備しようとする一連の動きを厳しく批判しました。
張報道官は、これらの行動が宇宙空間の軍拡競争のリスクを高めると指摘したうえで、次のように述べました。
- 米国の行動は、再び「パンドラの箱」を開けることになる。
- 宇宙を軍事化し、戦場へと変えてきた点で、米国以上に多くのことをしてきた国はない。
そのうえで中国は、米国に対し宇宙での軍備拡張をやめ、世界的な戦略的安定を守るための具体的な行動をとるよう求めました。
アウタースペース条約の原則に反すると批判
張報道官はまた、米国の動きが「宇宙条約」として知られるアウタースペース条約の関連原則に違反していると指摘しました。この条約は、宇宙空間の平和利用や、宇宙を特定の国の軍事的支配の場にしないことなどを基本理念として掲げています。
中国側は、宇宙空間を「全人類の共有財産」とみなし、その軍事利用が進めば、条約がめざす枠組みそのものが揺らぐと懸念しているとみられます。
「ゴールデンドーム」とは何が問題視されているのか
今回名指しされた「ゴールデンドーム」システムについて、中国側の説明は多くを語っていませんが、「宇宙配備の兵器システム」と関連づけて言及されている点が注目されます。
張報道官の発言からは、中国が次のような点を問題視していることが読み取れます。
- 宇宙空間に兵器を恒常的に配備する構想である可能性
- それが新たな攻撃・防御手段として各国に模倣されるリスク
- 地上の安全保障だけでなく、衛星通信や測位など民生インフラにも影響を及ぼす懸念
詳細な技術的内容は今回の会見からは明らかではありませんが、「宇宙に兵器を持ち込む構想」として、中国が強い警戒感を示していることははっきりしています。
宇宙軍拡がもたらす3つのリスク
今回の中国の警告は、宇宙空間の軍事化が世界にもたらし得るリスクを、改めて考えさせるものです。主なポイントを3つに整理すると、次のようになります。
- 軍拡競争の加速
ある国が宇宙配備兵器を進めれば、他国も対抗措置として同様の兵器開発を進める可能性が高まり、歯止めのきかない軍拡競争になりかねません。 - 誤認や事故による危機
宇宙空間での軍事システムは、サイバー攻撃や誤作動による誤認リスクも抱えています。誤った情報が引き金となり、地上の紛争に発展する危険も否定できません。 - 国際ルールの空白
既存の国際法や条約が、急速に進む宇宙技術と軍事利用に十分追いついていないという指摘もあります。ルールが曖昧なまま軍事化だけが先行すれば、紛争の火種が増える恐れがあります。
世界的な戦略的安定とアジアへの含意
張報道官は、米国に対し「世界的な戦略的安定を守る具体的な行動」を求めました。宇宙空間の安定は、核抑止やミサイル防衛、さらには通信・金融・物流など、現代社会のあらゆるシステムと密接に結びついています。
日本を含むアジアの国々にとっても、宇宙空間の安定はもはや抽象的なテーマではありません。衛星通信や測位システムが途絶えれば、スマートフォンの地図アプリから国際輸送、災害対応まで、日常生活と経済活動に広範な影響が及びます。
宇宙をめぐる大国間の緊張が高まれば、地域の安全保障環境や、防衛政策、宇宙開発計画にも波紋が広がる可能性があります。
「宇宙の安全保障」をどう考えるか
今回の中国国防省の発言は、宇宙空間を「新たな戦場」にするのか、それとも「共有のインフラ」として守っていくのか、という問いを国際社会に投げかけています。
私たちがニュースを読む立場からできることは限られていますが、次のような視点で議論を見ていくことが重要になりそうです。
- 各国が掲げる「宇宙の平和利用」の言葉と、実際の行動は一致しているのか
- 宇宙空間の軍事利用に関する新たな国際ルール作りは進むのか
- 民生利用と安全保障のバランスをどう取るべきか
スマートフォン一つをとっても、すでに宇宙インフラに支えられている現代社会において、「宇宙の軍拡」をめぐる議論は、遠い世界の問題ではなくなっています。中国と米国をめぐる今回の国際ニュースは、私たち自身の暮らしにもつながるテーマとして、今後も注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
China warns U.S. Golden Dome may trigger arms race in outer space
cgtn.com








