中国砕氷船雪龍2、第41次南極観測から帰還
中国の砕氷調査船雪龍2が、第41次南極観測を終えて中国南部の海南省海口に帰港しました。208日に及ぶ長期航海は、ロス海での初の秋季調査や国際共同研究など、極地科学と環境保全の両面で節目となるミッションでした。
208日・4万カイリ超の第41次南極観測
今回の南極観測航海は、2024年11月1日に広東省広州を出発し、中国の第41次南極観測として実施されました。総航行距離は4万カイリ超に達し、中国の極地探査の歴史に新たな記録を刻んでいます。
雪龍2は、中国の最新鋭の砕氷調査船として南極海の厚い海氷を切り開きながら航行し、多様な観測機器を用いて海洋や氷、海底に関するデータを集めました。
- 航海日数:208日
- 航行距離:4万カイリ超
- 観測回数:4つの観測線で24回の総合海洋観測
- 観測ブイ:34基の専用観測ブイを投入
- 採取試料:水、堆積物コア、生物試料、海氷など5,000点超
ロス海生態系で初の秋季観測に挑戦
今回のミッションで特に注目されたのが、ロス海生態系を対象とした中国初の秋季観測です。これまで主流だった夏季の調査にとどまらず、より厳しい秋から冬にかけての環境条件の下で観測を行うことで、南極の海洋生態系をより立体的に理解しようとする試みでした。
研究チームは4本の観測線に沿って24回の総合観測を実施し、水温や塩分、海流、生物分布などを詳細に測定しました。また、34基の観測ブイを展開し、長期的なデータ取得の基盤も整えています。採取された5,000点を超える試料は、南極の海がどのように変化し、生態系にどのような影響が出ているのかを明らかにする貴重な手がかりとなります。
8カ国から研究者が参加した国際チーム
この南極観測には、中国だけでなく、英国、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェー、大韓民国、タイ、マレーシアの8カ国から12人の研究者が参加しました。国境を越えた共同研究は、極地科学の基盤となるデータを共有し、地球全体の環境変化を総合的に理解するために欠かせません。
多国籍のチームが同じ船に乗り込み、観測計画やデータ分析をともに行うことで、手法や視点の違いを生かした研究が進みます。南極という過酷な環境での協力は、各国が地球規模の課題に対して連携して対応するための信頼関係づくりにもつながります。
タイ寄港と市民への発信
今回の航海中、雪龍2は中国とタイの国交樹立50周年の節目に合わせて、5月19日から23日にかけて初めてタイを訪問しました。これは中国・タイ海洋協力月の一環として行われたもので、両国の研究者は極地科学に関する会議を共同開催し、連携の拡大を確認しました。
また、船内や港湾施設では一般向けの展示やイベントが開かれ、タイの人々に南極や北極の環境、極地研究の意義などをわかりやすく紹介しました。遠く離れた南極での観測活動が、アジアの市民の日常とつながる瞬間でもありました。
極地科学と地球環境ガバナンスの交差点
今回の第41次南極観測は、中国の南極科学における存在感の高まりと、地球環境の保全に向けた責任ある関与を象徴する出来事といえます。南極は地球最後のウィルダネスとも呼ばれ、その未来を守るには、科学的な知見と国際協力に支えられた慎重なルールづくりが欠かせません。
雪龍2の航海は、観測技術の高度化だけでなく、各国とのパートナーシップの強化にも寄与しました。今後、今回得られたデータと経験が、南極の生態系保全や地球規模の環境ガバナンスをめぐる議論にどう生かされていくのかが注目されます。
スマートフォン越しにニュースを追う私たちにとっても、遠い南極での一つ一つの観測が、気候や海洋、そして日々の暮らしとつながっていることを意識するきっかけになりそうです。
Reference(s):
China's icebreaker Xuelong-2 returns after record Antarctic expedition
cgtn.com








