中国の再生可能エネルギーが世界を牽引 高品質成長の現場
中国の再生可能エネルギー産業が2024年に世界最大規模の設備増設を記録し、国際ニュースとしてもエネルギー転換と気候変動対策の行方を左右する存在になりつつあります。中国発のクリーンエネルギー動向を、日本語で分かりやすく整理します。
2024年、中国の再生可能エネルギー導入が過去最高に
中国可再生エネルギー工程研究院が公表した報告書によると、2024年に中国で新たに導入された再生可能エネルギーの設備容量は過去最高となり、世界全体の新規導入量の6割超を占めました。
報告書は、風力発電と太陽光発電だけで2億8000万キロワットの設備容量が同年中に追加される見通しを示しており、中国のエネルギー転換のスピード感を物語っています。
世界の脱炭素を左右するスケール
中国工程院の張宗亮院士は、中国の水力発電技術は世界の最前線にあり、風力と太陽光の新設設備のうち4割超を中国が占めていると指摘します。こうした規模が、太陽光パネルや風力発電機のサプライチェーンの安定にもつながっているとされています。
報告書は、中国の再生可能エネルギー産業が世界のエネルギー転換と気候変動対策を支える「背骨」の役割を担い始めていると位置づけています。
技術革新がけん引する高品質成長
急速な拡大の背景には、スマート技術、材料イノベーション、マルチエネルギー協調という三つの技術トレンドがあります。量的な拡大だけでなく、システム全体の高度化を伴う「高品質な成長」へと軸足を移しつつあることがうかがえます。
スマート技術の高度化
再生可能エネルギーは、発電量が天候や時間帯によって大きく変動するため、発電・送電・需要をデジタル技術で最適に制御するスマート化が欠かせません。報告書は、こうしたスマート技術が再生可能エネルギー拡大の中心的な役割を果たしていると指摘しています。
材料イノベーションとN型太陽電池
太陽光発電では、N型と呼ばれる新世代の太陽電池への移行が大きく進みました。2024年には、N型太陽電池の市場シェアが前年比で50ポイント以上増加し、技術面での大きな転換が完了したとされています。材料やセル構造の改良が進み、高性能で長寿命な製品が主流になりつつあることを意味します。
マルチエネルギー協調と新しい実証プロジェクト
複数のエネルギー源や産業を組み合わせるマルチエネルギー協調も、中国の再生可能エネルギーの特徴として浮かび上がります。報告書が挙げる主な例は次の通りです。
- 世界最大級となる出力26メガワットの洋上風力タービンが送電網に接続され、本格稼働を開始。
- 出力300メガワット級の圧縮空気エネルギー貯蔵システムに用いる中核機器で技術的なブレークスルーが達成。
- 洋上風力と海洋牧場を組み合わせる「Offshore Wind+」型のプロジェクトや、洋上風力を活用した水素製造の実証事業が始動。
発電と蓄電、さらには漁業や水素産業など他分野との連携を通じて、再生可能エネルギーの利用価値を最大化しようとする動きが広がっていることが分かります。
世界のエネルギー転換を支える存在へ
報告書によると、中国は現在、200以上の国と地域に対して高品質なクリーンエネルギー関連の製品やサービスを提供しており、とりわけ太陽光関連製品では世界市場シェアの85パーセント超を占めています。
張宗亮院士は、中国が風力発電機や太陽光モジュールの供給を通じて、世界のサプライチェーンの安全性を支えていると評価します。各国が再生可能エネルギーを導入しやすい環境を整える上で、中国の製造・供給能力が重要な役割を果たしていることになります。
報告書はまた、中国の再生可能エネルギー産業が、世界全体のエネルギー転換関連投資を押し上げるうえでも大きな貢献をしているとしています。
量から質へ 中国のエネルギー政策の新段階
中国可再生エネルギー工程研究院の張易国副院長は、中国の再生可能エネルギー開発が「量」と「質」の両立を図る新たな段階に入ったと分析します。かつてのような単純な規模拡大から、高品質な発展へと重点が移りつつあると強調しています。
エネルギー計画と空間計画の連携
そのためには、どこに発電所を建設し、どこに需要地を配置するのかという空間的な視点と、エネルギー需給の長期計画を密接に連携させることが不可欠だとされています。立地と系統、産業配置を一体的に考えることで、再生可能エネルギーのポテンシャルを引き出す狙いがあります。
発電・送電網・需要・蓄電を一体で設計
張易国副院長は、発電、送電網、需要側の管理、エネルギー貯蔵を切り離して考えるのではなく、ひとつのシステムとして総合的に設計する必要性を指摘します。再生可能エネルギーの利用シーンを広げるとともに、発電された電力が無駄なく開発・利用・送電されるようにすることが重要だとしています。
資源の強みを産業の強みに
今後について報告書は、エネルギー資源が豊富な地域ごとに、再生可能エネルギーの特性に適応した産業システムを積極的に構築していく方針を示しています。再生可能エネルギーと他産業との協調を進めることで、発電した電力をいかに消費するかという課題に対応し、資源としての優位性を産業競争力へと転換していく構想です。
日本の読者が押さえたい3つの視点
中国の再生可能エネルギー動向は、日本を含む世界のエネルギー政策やビジネスにも影響を与えます。今回の報告から読み取れるポイントを三つに整理します。
- スケールのインパクト: 2024年の新規再生可能エネルギー導入量の6割超を中国が占め、風力・太陽光の新設容量でも4割以上を担っていることは、世界の脱炭素ペースを左右する要因になります。
- 技術と産業の連携: 26メガワット洋上風力タービンや300メガワット級エネルギー貯蔵、Offshore Wind+型プロジェクトなど、技術革新と産業連携を組み合わせる動きは、今後のエネルギービジネスのヒントになり得ます。
- システム思考への移行: 発電単体ではなく、送電網、需要、蓄電、産業配置までを含めて設計する発想は、各国が自国のエネルギー政策を考えるうえでも参考になる視点です。
再生可能エネルギーは、単なる発電設備の問題ではなく、産業構造や地域づくりとも深く結びついたテーマになりつつあります。中国の動きを国際ニュースとして追いながら、自分たちの足元でどのようなエネルギー転換が望ましいのかを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
Report: China's new energy sector continues high-quality growth
cgtn.com








