北京でBaba Nyonya文化展 中国とシンガポール35年をつなぐ物語 video poster
中国と東南アジアの文化が交差するBaba Nyonya文化を紹介する企画展『Baba Nyonya World』が、北京の首都博物館で開かれています。中国とシンガポールの関係樹立35周年を記念し、海上シルクロードに沿った文化交流の歴史を伝える国際ニュースとして注目されています。
北京の首都博物館で出会うBaba Nyonyaの世界
今回の企画展『Baba Nyonya World』は、シンガポールのアジア文明博物館(Asian Civilisations Museum)とプラナカン博物館(Peranakan Museum)から集められた132点の資料で構成されています。いずれも、中国と東南アジアの文化が重なり合うBaba Nyonyaの世界観を物語る貴重な品々です。
会場には、繊細なビーズ刺繍が施されたスリッパや、色彩豊かな刺繍クバヤ(伝統衣装)などが並びます。それぞれのモチーフや技法には、長い時間をかけて育まれてきた価値観や美意識が刻まれており、ガラスケース越しに文化の「対話」を感じさせます。
Baba Nyonya文化が映し出す「融合」のかたち
展示のテーマとなっているBaba Nyonyaは、中国の文化と東南アジアの文化が出会い、混ざり合うことで生まれた独自のライフスタイルや美意識を示しています。複数の文化がせめぎ合うのではなく、折り重なりながら新しいスタイルを形づくっていくプロセスそのものが、この企画展の見どころと言えます。
展示資料からは、例えば次のような要素の重なりが読み取れます。
- 文様や色使いに見られる中国的なモチーフ
- 東南アジアの生活環境や感性に根ざした素材やデザイン
- 海上シルクロードを行き交った人びとの記憶や物語
それぞれは別々の文化的背景を持ちながらも、日々の暮らしの中で自然に組み合わさり、ひとつのスタイルとして定着していった様子が想像できます。
132点の資料が語る海上シルクロード
シンガポールの二つの博物館から貸し出された132点の資料は、一つひとつが海上シルクロードにおける交流の証しでもあります。人やモノが海を渡るとき、文化や習慣、信仰や美意識もまた一緒に移動し、変化していきます。
ビーズ刺繍のスリッパに宿る時間
細かなビーズを一粒ずつ縫い付けたスリッパには、身近な実用品でありながら、長い制作時間と集中力が必要とされる手仕事の重みがにじみます。足元を飾る小さなアイテムであっても、そこには家族やコミュニティに対する思いが込められているように見えます。
刺繍クバヤがまとった物語
華やかな刺繍が施されたクバヤは、身体を包む衣服であると同時に、身につける人の誇りや願いを映し出すキャンバスでもあります。糸の色や模様の選び方には、中国的な意匠と東南アジアの感性が共存し、多層的なアイデンティティをさりげなく語っています。
中国とシンガポール、35年の関係を映す文化展示
『Baba Nyonya World』は、中国とシンガポールの関係が35年を迎えた節目に合わせて企画されています。経済やビジネスのニュースが注目されがちななかで、博物館での展示というかたちで両国のつながりを示している点が特徴的です。
国と国との関係は、数字や条約だけでは語りきれません。人びとの暮らしや記憶、ものづくりの技術といった文化の層が重なることで、関係性はより立体的なものになります。今回の展示は、そうした「見えにくい層」を可視化する試みとも言えます。
日本の読者にとっての示唆
日本からはなじみの薄いBaba Nyonya文化ですが、中国と東南アジアのあいだで育まれてきた「境界に立つ文化」は、多文化社会を生きる私たちにとっても示唆に富んでいます。
- 異なる背景を持つ人びとが、どのように共生のルールや美意識をつくり上げてきたのか
- 少数派の文化が、周囲の大きな文化と関わりながらどのように自己表現を続けてきたのか
- 海を介した交流が、生活の細部にどのような変化をもたらしてきたのか
北京の首都博物館で開かれているこの企画展は、華やかな工芸品を通じて、こうした問いを静かに投げかけています。海外のニュースや国際関係を追うとき、文化のディテールに目を向けることで見えてくる世界像もある——そのことを改めて考えさせてくれる展示と言えるでしょう。
Reference(s):
Baba Nyonya: A dazzling fusion of Chinese and Southeast Asian cultures
cgtn.com








