北京の街を描き続ける人たち 週末アーバンスケッチ10年の物語 video poster
週末、あなたは何をして過ごしていますか。ハイキングや友人との食事、家でゆっくり過ごす人も多いなか、中国の首都・北京では、この10年間、ほぼ毎週末に街へ出てスケッチを続けてきた人たちがいます。都市の風景を描き続ける彼らの姿を、国際メディアCGTNの楊岩(ヤン・ヤン)記者が最近取材しました。日本語で国際ニュースを追う私たちにとっても、都市とアートの関係を考えるヒントになります。
10年続く「週末の約束」
このグループがしていることはシンプルです。週末になると、北京のどこかに集まり、思い思いの場所に腰を下ろして、目の前の街をスケッチブックに描きとめていきます。高層ビルが立ち並ぶビジネス街、路地裏の古い住宅、にぎやかな市場や静かな公園。そのとき出会った光景を、ペンと水彩で記録していきます。
活動はすでに10年近く続いています。天気の良い日も、少し寒い日も、週末に顔を合わせることが一つの習慣になり、メンバー同士のゆるやかなつながりも生まれています。楊岩記者は、そんな「当たり前になった週末」の空気を伝えようと、実際に現場に同行しました。
都市を「消費する」のではなく「見つめ直す」時間
北京の街を描き続けるメンバーの中には、プロの画家だけでなく、会社員や学生など、ふだんは別の仕事や勉強をしている人もいます。共通しているのは、都市の風景をただ通り過ぎるのではなく、じっくり観察したいという思いです。
スケッチを続けると、普段は気づかない細部が見えてきます。建物の影のかたち、道を行き交う人の動き、季節ごとに変わる木々の色。都市を「早く移動する場所」から、「時間をかけて味わう場所」へと、見方が変わっていきます。
都市の変化が激しいと言われる北京で、10年間同じ街を描き続けることは、変わっていくものと変わらないものの両方を静かに見届ける営みでもあります。
北京を知る、もう一つの窓
国際ニュースの中で北京は、政治や経済の中心として語られることが多くあります。しかし、このアーバンスケッチのグループが見ているのは、ニュースではなかなか映らない日常の表情です。
一枚一枚のスケッチには、その場所の空気感や、そこに集う人々の暮らしがにじみ出ます。路上の屋台、バス停でバスを待つ人、川沿いを散歩する親子。そうした小さな光景の積み重ねから、北京という都市の多層的な姿が浮かび上がってきます。
楊岩記者がこのグループと時間を過ごしたことで、北京を知るための新しい視点が示されています。大きな出来事だけでなく、街角のささやかな瞬間にも注目すること。それは、どの都市にも応用できる視点かもしれません。
私たちの街を描くとしたら
北京で続けられているアーバンスケッチの取り組みは、日本の都市に暮らす私たちとも無関係ではありません。もし、あなたの住む街を週末ごとに描き続けるとしたら、どんな風景を残したいでしょうか。
- いつも通る駅前の交差点
- 小さな商店街や市場
- 季節ごとに表情を変える公園
- 再開発で姿を変えつつあるエリア
スケッチをしなくても、いつもより少しだけ歩く速度を落とし、街を眺めてみる。そんな小さな行動からでも、日常の景色は違って見えてきます。
「描く」ことがつなぐコミュニティ
この10年、北京で週末ごとに集まってきた人たちは、絵の上手さを競っているわけではありません。大切にしているのは、同じ街を見つめ、描き、共有する時間そのものです。
オンラインでのつながりが当たり前になった今だからこそ、同じ場所に集まり、同じ景色を前にしてそれぞれの線を引くという経験は、貴重なコミュニティの形と言えそうです。都市のニュースを追いかけるとき、そこに暮らす人々がどのように街を見ているのかにも、耳を傾けてみたくなります。
北京の週末スケッチを取材した今回の報道は、2025年の今、私たち自身の街との付き合い方を問い直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







