中国とSCOがAI応用センター構想 国際協力でデジタル格差是正へ
中国が上海協力機構(SCO)加盟国に対し、AI(人工知能)の実用化を支える共同の「AI応用センター」を設立しようと呼びかけました。デジタル技術と国際協力が交差する今回の動きは、2025年の国際ニュースの中でも注目すべき一歩と言えます。
天津で開かれた中国―SCO AI協力フォーラム
この構想は、中国北部の天津市で開かれた「2025 China-SCO AI Cooperation Forum(2025年中国―SCO AI協力フォーラム)」で、木曜日に発表されました。フォーラムのテーマは「Intelligence Converges in China, Wisdom Benefits SCO(英知は中国に集まり、その知恵はSCOに利益をもたらす)」とされ、中国とSCO加盟国の間で、AIの開発とガバナンス(管理やルール作り)に関する実務的な協力を進めることが狙いです。
AI応用センター構想の3つの柱
フォーラムでは「China-SCO Member States AI Application Cooperation Center Construction Plan」という計画が示され、SCO加盟国と連携してAI応用センターを整備する方針が打ち出されました。計画が掲げる主な柱は次の通りです。
- 人材育成:AI分野で活躍できる人材を、国境を越えて育てる取り組みを進める。
- 産業協力の強化:AI技術を活用する企業や産業どうしの連携を深め、実用化や商用展開を後押しする。
- オープンソースの共同活用:ソースコードやツールを公開・共有するオープンソースの形で、各国が利用しやすいAI基盤を整える。
AI応用センターは、こうした分野を束ねるハブ(拠点)として位置づけられており、各国が同じ土台の上で技術や知見を共有していくことが想定されています。
デジタル格差を埋めるためのAI協力
中国国家発展改革委員会の黄如氏はフォーラムで、AI技術とその応用分野での協力を加速させることで、SCO地域の経済・社会の発展に新たな活力を与え、包摂的な(取り残す人を出さない)世界の成長を促すことができると述べました。また、こうした取り組みが「グローバルなデジタル格差」を埋める助けにもなると強調しました。
デジタル格差とは、インターネットやデジタル技術、AIなどを使える人や地域と、そうでない人や地域の間に生まれる格差のことです。AIが急速に進展するなかで、この差が広がれば、教育、医療、金融サービスなどへのアクセスの違いが、さらに大きな社会格差につながりかねません。だからこそ、今回のように複数の国・地域が協力してAIを活用していく枠組みづくりは、2025年現在の国際社会にとって重要なテーマになっています。
「上海精神」とAIガバナンス
黄如氏はさらに、中国が他のSCO加盟国とともに「上海精神」を掲げながら、AIの「有益で、安全かつ公平な発展」をめざして取り組む姿勢を示しました。
ここで言う「有益・安全・公平なAI」とは、おおまかに次のような方向性を指していると考えられます。
- 有益性:AIが人々の暮らしや社会にとってプラスに働くように設計・運用すること。
- 安全性:誤作動や悪用のリスクを抑え、信頼して使える技術やルールを整えること。
- 公平性:特定の国や地域だけが利益を得るのではなく、より多くの人が恩恵を受けられるようにすること。
AIのルール作りやリスク管理は、一国だけでは完結しません。データの流れやサービスの提供が国境を越えて行われる以上、複数の国・地域が共通の土台を持つことが欠かせません。今回のAI応用センター構想は、そのための具体的な協力の枠組みの一つと位置づけることができます。
これから注目したいポイント
今回の国際ニュースは、AIという最先端技術をめぐる動きであると同時に、国際協力やデジタル格差、包摂的成長といったテーマとも深く結びついています。今後、私たちが注目しておきたいポイントとして、次のような点が挙げられます。
- AI応用センターがどのような形で設立され、どの分野から具体的な協力プロジェクトが始まるのか。
- 人材育成やオープンソースの連携が、実際に各国・地域のAI活用の底上げにつながるのか。
- AIガバナンスをめぐる議論が、SCO内外の他の国際的な枠組みともどのように連携していくのか。
AIをめぐる国際協力は、技術だけでなく価値観やルール作りを共有していくプロセスでもあります。今回の中国とSCOによるAI応用センター構想は、その一つの方向性を示すものとして、これからもフォローしていきたい動きです。
Reference(s):
China invites SCO members to jointly build AI application center
cgtn.com








