国際調停機構IOMed設立へ 香港で署名式、中国と各国が紛争解決を協議
国際紛争を武力ではなく対話でどう解決するか――2025年12月初旬、中国南部の香港で新たな国際組織とされる国際調停機構(IOMed)の設立条約が署名され、中国の王毅外相と各国要人がその役割を強調しました。国際ニュースとしても注目されるこの動きは、開発途上国を中心とした国々が国際社会での発言力を高めようとする流れとも重なります。
香港で国際調停機構IOMed設立条約に署名
現地時間の金曜日、王毅外相は中国南部の香港で開かれた国際調停機構(IOMed)設立条約の署名式に出席しました。この場で中国側は、紛争を対話と協議で解決するための新たな国際組織づくりを後押しする姿勢を改めて示しました。
香港は中国と世界を結ぶ金融やビジネスの拠点であり、今回の署名式の開催地となったこと自体が、国際社会に向けて対話と法の支配を重視するメッセージとも受け取れます。
王毅外相と各国要人が相次いで会談
王毅外相は署名式に合わせ、ジンバブエ、ベナン、スイス、パキスタン、カメルーン、モーリタニア、ネパール、ラオスの外相や副首相級の要人と個別に会談しました。アフリカ、南アジア、東南アジア、欧州と地域も多岐にわたり、新しい枠組みへの関心の広がりをうかがわせます。
こうした会談では、次のようなポイントが共有されたとみられます。
- 国際調停機構IOMedを活用した紛争解決の可能性
- 開発途上国を含む多くの国が参加しやすい枠組みづくり
- 国際法と国際ルールを尊重し、平和的手段で紛争を解決する姿勢の確認
王毅外相は、中国共産党中央委員会政治局のメンバーとして中国外交の方向性づくりにも関わっており、今回の会談は各国との関係強化と同時に、新たな国際機関に対する支持の輪を広げる狙いがあると見ることができます。
IOMedとは何か 対話による紛争解決の新たな選択肢
王毅外相は、国際調停機構IOMedについて、開発途上国の共通の願いを反映したものであり、対話と協議による紛争解決の新たな選択肢を提供し、国際の場における法の支配を一層強化することに役立つと強調しました。
ここでいう調停とは、紛争当事者の間に第三者が入り、話し合いを仲立ちして合意を目指す手続きです。一般的に、次のような特徴があります。
- 当事者が自発的に参加し、合意が前提となるプロセスであること
- 裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、双方が受け入れられる解決策を探ること
- 非公開で柔軟な話し合いが可能で、関係の修復にもつながりやすいこと
国際調停機構IOMedは、こうした調停の仕組みを国際レベルで制度化し、国や地域間の対立をエスカレートさせずに抑えるための新たな選択肢として位置づけられています。
開発途上国の共通の願いと国際ルール
王毅外相がIOMedを開発途上国の共通の願いと表現した背景には、国際紛争の場で十分な発言力を持てていないと感じる国々の思いがあります。国際裁判や仲裁には高いコストや専門知識が必要で、手続きや言語のハードルも存在します。
その結果、国際ルールづくりが一部の先進国に偏りがちだという問題意識も生まれてきました。対話と調停に重心を置いた枠組みが整えば、経済規模や軍事力にかかわらず、多くの国が参加しやすい場が増える可能性があります。
中国がIOMedの設立を後押しし、開発途上国と肩を並べてこの枠組みの意義を語ることは、自らを対話と協力を重んじるパートナーとして位置づける動きともいえます。
私たちにとっての意味 対話のチャンネルを増やす発想
今回の国際ニュースは、日本を含むアジアの読者にとっても無関係ではありません。国境を越えたビジネス取引や資源・環境問題、デジタル分野のルールづくりなど、利害が複雑に絡み合う現代では、対話のチャンネルをどれだけ多く持てるかが、摩擦を抑える鍵になりつつあります。
今後、国際調停機構IOMedについて注目したいポイントとして、次のような点が挙げられます。
- どの国や地域がIOMedに参加していくのか
- 実際の国際紛争でIOMedの調停がどの程度利用されるのか
- 既存の国際裁判所や仲裁機関とどのように役割分担をしていくのか
香港での署名式と一連の会談は、国際紛争の解決方法をめぐる模索が続く中で、対話と協議に軸足を置いた新しい枠組みづくりが進んでいることを示しています。今後の運用や参加国の広がりに注目しつつ、私たち自身も、対立をどのように乗り越えるかという問いを身近なレベルから考えていくきっかけにしたいところです。
Reference(s):
Wang Yi, foreign officials highlight IOMed's role disputes settlement
cgtn.com








