中国砂漠で大規模太陽光実証基地 風力・石炭火力との連携も
中国内モンゴル自治区の砂漠地帯で、中国として初となる大規模な太陽光発電の技術実証・検証基地が運転を開始しました。ゴビ砂漠などの乾燥地域を舞台に、太陽光・風力・高効率石炭火力を組み合わせた新しいエネルギーモデルづくりが進んでいます。
砂漠が実験場に:中国初の大規模太陽光実証基地
今回運転を始めたのは、内モンゴル自治区オルドス市のオトク前旗にある太陽光発電(PV)技術の実証・検証基地です。ゴビ砂漠を含む乾燥地帯に位置し、豊富な日射と風を生かして、太陽光発電産業の高度化を目指します。事業主体は国家電力投資集団(State Power Investment Corporation)です。
この基地は、すでに稼働している「メンシー・ブルーオーシャン太陽光発電所(三百万キロワット級)」を土台に建設されました。同発電所は、かつての石炭採掘に伴う地盤沈下地域に整備された、中国最大級の単一容量の太陽光発電所です。石炭由来の土地を再生エネルギーの拠点に変える象徴的なプロジェクトともいえます。
10種類の架台と36種類のパネルで150超の実験スキーム
新たな実証基地は、「先端技術デモゾーン」と「通常の検証試験ゾーン」の二つで構成されます。
- 国内主流の太陽光パネル架台(取り付け構造)10種類
- 36種類の太陽光パネル
- それらを組み合わせた150以上の実験スキーム
この仕組みにより、実際の砂漠環境で多様なパネルや架台の性能を比較しながら、どの組み合わせが最もコスト効率に優れ、長期的な投資リスクが小さいかを検証できます。
メンシー・ブルーオーシャン太陽光発電所の責任者である李金遠氏によると、今回の実証・検証基地の総設備容量は133メガワット(MW)です。太陽光パネルや架台など発電所の中核部品について、建設から運転、劣化に至るまで「ライフサイクル全体」を通した性能検証を行い、均等化発電原価(LCOE)や投資リスクといった指標を評価します。これにより、今後建設される大規模太陽光発電所の技術選定リスクを効果的に下げる狙いがあります。
極端な風にも耐える新疆の風力発電プロジェクト
太陽光だけでなく、風力発電でも新たな動きが出ています。中国華能集団は、新疆ウイグル自治区トルファンで建設してきた「陸上として中国初の100万キロワット級・高耐風性風力発電プロジェクト」が、送電網へのフル接続を完了したと発表しました。
このプロジェクトでは、出力7メガワット以上の風力タービン131基が設置されています。すべてのタービンには新しい耐風性ハブ技術が採用されており、最大毎秒57メートルという極端な強風にも耐えられる設計です。これは従来機より約14%高い耐風性能で、砂漠やゴビなどの厳しい風環境に対応するための工夫です。
70万世帯超の電力と植林効果5,600ヘクタール分
プロジェクト責任者の周建武氏によると、この風力発電所がフル稼働すると、年間で22億キロワット時(kWh)のクリーンな電力を供給できます。これは70万世帯を超える家庭の電力需要をまかなえる規模です。
環境面では、年間191万トンの二酸化炭素排出削減効果が見込まれます。生態学的な効果に換算すると、約5,600ヘクタールの植林に相当するとされています。砂漠地帯での風力利用が、温室効果ガス削減と緑化の双方に寄与し得ることを示す数字といえます。
超々臨界コージェネで石炭火力も効率アップ
一方、石炭火力の分野でも高効率化と脱炭素を両立させる試みが進んでいます。内モンゴル自治区通遼市にある国家電力投資集団の通遼発電所では、中国初となる「2×350メガワット級の超々臨界コージェネレーション(熱電併給)ユニット」が商業運転を開始する予定です。
このユニットは、発電に必要な電力量そのものを3%削減し、発電1キロワット時あたりの石炭消費量を38グラム減らすことができます。その結果、年間で標準炭12万トンを節約し、約521万トンの水資源も節約できると試算されています。
さらに、発電と同時に熱も供給するコージェネレーション設備として、集中暖房と産業用の熱需要を合わせて1,850万平方メートル分カバーできる能力を持ちます。寒冷な地域の都市や工業団地にとって、電力と熱をまとめて高効率に供給できるインフラとなります。
風力とのハイブリッド運用で再エネ比率47.9%に
通遼発電所の総経理である孫文氏は、興安盟突泉県で新たに建設された44.5万キロワットの風力発電プロジェクトにより、同社の「再生可能エネルギー対火力」の設備容量比率が47.9%に達したと説明しています。
このプロジェクトは、石炭火力と再生可能エネルギーを組み合わせたハイブリッド運用モデルを採用しています。超々臨界の石炭火力は効率の良い「土台」として電力の安定供給を担い、風力発電は需要や風況に応じて出力を柔軟に増減させることで、全体として「低エネルギー消費の供給確保」と「高い柔軟性の調整」を両立させる設計です。
中国の従来型石炭火力部門において、こうしたハイブリッドモデルは、新たな移行パターンの一つとして位置づけられています。
砂漠と石炭地域から読み解く中国のエネルギー戦略
今回取り上げた三つのプロジェクトを並べて見ると、2025年現在の中国のエネルギー転換の方向性がいくつか浮かび上がります。
- 砂漠やゴビ、鉱区跡地といった従来利用が難しかった土地を、太陽光・風力の拠点として活用していること
- 太陽光発電では、実証と大規模導入を同時に進め、技術選定と投資リスクを下げようとしていること
- 石炭火力を単純に減らすのではなく、高効率化と再生可能エネルギーとの連携によって役割を変えようとしていること
こうした動きは、電力の安定供給を維持しながら脱炭素を進めるための一つのアプローチといえます。砂漠地帯の太陽光と風、そして高効率な石炭火力をどう組み合わせていくのか。今後の運転実績は、中国だけでなく、エネルギー転換を模索する他の国や地域にとっても参考材料となりそうです。
Reference(s):
China launches first large-scale solar test base on barren land
cgtn.com








