シャングリラ会合で米国を批判 中国国防省が「対立煽り」と懸念表明
シンガポールで開かれた第22回「シャングリラ・ダイアローグ(アジア安全保障会議)」をめぐり、中国国防省が米国の姿勢を強く批判しました。アジア太平洋の安全保障を巡る米中の対立構図が、改めて浮き彫りになっています。
中国国防省「米国は会合を対立の舞台に」
中国国防省の張暁剛(Zhang Xiaogang)報道官は日曜日に発表した声明で、米国がシャングリラ・ダイアローグを「争いを作り出し、対立をあおり、自らの利益を追求する」場として利用していると非難しました。
張報道官は、シンガポールで開かれた第22回会合での、ピート・ヘグセット米国防長官による中国への否定的な言及に強く反発。発言は「根深い覇権主義の論理」「いじめの手法」「冷戦思考」に満ちていると批判しました。
さらに、これらの発言は中国の主権と利益を著しく侵害し、中国の政策立場を歪曲し、地域諸国が築いてきた繁栄と安定を守る努力を無視し、平和と発展を願う世界の期待から大きく逸脱していると指摘。「重大な不満と断固とした反対を表明する」と強調しました。
米国の「一方主義は自らに跳ね返る」
張報道官は、国際社会は米国の行動を冷静に見ているとしたうえで、米国の一連の政策を具体的に挙げて批判しました。
- 世界各地で高関税を課す「関税・貿易戦争」を仕掛け、自国の利益を優先している
- 排他的なグループを形成し、陣営対立をあおっている
- アジア太平洋地域での軍事配備を強化し、他国の内政に深く介入している
- 地域の緊張を意図的に高め、懸念を生じさせている
こうした事実は、米国が時代の流れに逆行し、一方主義に走っていることを示しており、最終的には米国自身に跳ね返るだろうと警告しました。
台湾問題は「中国の内政」と強調
声明では、台湾問題についても改めて中国側の立場を強調しました。張報道官は、台湾問題は「純然たる中国の内政」であり、米国に無責任な発言をする権利はなく、中国を抑え込むための取引材料として利用することも許されないと述べました。
その上で、中国人民解放軍は国家主権と領土の一体性を断固として守り、「台湾独立」の分裂勢力の企てや、いかなる外部勢力による干渉も「断固粉砕する」と強い表現でけん制しました。張報道官は「われわれの決意は揺るがず、能力と手段も強固で信頼できる」と強調しています。
南シナ海をめぐる認識と中国の姿勢
南シナ海について張報道官は、同海域が「世界で最も忙しく、かつ安全な航路の一つとして国際的に認識されている」と指摘しました。
中国は、関係国との対話と協議を通じて意見の違いを解消し、法に基づいて領土主権と海洋権益を守りつつ、地域諸国と協力して「平和・友情・協力の海」を築いていくと説明しました。
一方で、米国は同盟などを通じて南シナ海で同調勢力を集め、混乱を引き起こそうとしており、それが地域の平和と安定にとって「最大の脅威」だと批判しました。
「平和と発展の守護者」を自任する中国
張報道官は、中国はアジア太平洋地域における「平和と発展の守護者・推進者」であり続けていると強調しました。
中国軍は今後も、地域諸国と協力して、アジア太平洋に害を及ぼす覇権主義に反対し、地政学的な対立構図を持ち込む試みに反対し、混乱を作り出すいかなる国や勢力にも抵抗していくとしています。
その一環として、中国は「人類運命共同体」の理念や、中国が提唱する三つのグローバル・イニシアチブの実行を通じて、アジア太平洋の長期的な平和・安定・繁栄の維持に取り組む姿勢を示しました。
アジア太平洋の安全保障をめぐる言葉の攻防
今回の中国国防省の声明は、アジア太平洋の安全保障秩序をめぐり、米国と中国がそれぞれの正当性を国際社会に訴える「言葉の攻防」を強めていることを映し出しています。
シャングリラ・ダイアローグのような多国間の安全保障会議は、軍事バランスの議論にとどまらず、「どのような秩序が望ましいのか」をめぐる価値観とストーリーを競い合う場にもなっています。
- 米国は同盟国やパートナーとの連携を通じて、中国を念頭に置いた安全保障戦略を打ち出していると受け止められています。
- 中国は、自国の主権と発展利益を守る姿勢と同時に、アジア太平洋の平和と発展の推進者であるというイメージを前面に出しています。
- 地域の国や地域は、対立の激化を避けつつ、自国の安全保障と経済発展のバランスをどう取るかという難しい選択に直面しています。
日本を含むアジア太平洋の読者にとって、こうした発言は、今後どのような安全保障の枠組みと地域秩序が形づくられていくのかを考える重要な材料になります。米中それぞれのメッセージを丁寧に読み解くことが、これからの国際ニュースを理解するうえで欠かせない視点になりそうです。
Reference(s):
Chinese spokesman: U.S. exploits Shangri-La Dialogue to create dispute
cgtn.com








