中国がEUに公平なビジネス環境を要請 医療機器調達制限で緊張高まる
欧州連合(EU)が、中国企業による医療機器の公共調達への参加を大きく制限する方針を決め、中国側が強い懸念を示しています。中国外交部はEUに対し「公平で差別のないビジネス環境」の提供を求めており、中欧間の貿易摩擦がさらに高まる可能性があります。
中国とEUは電気自動車や食品・飲料など多くの分野で経済的な結びつきが強く、日本の企業や投資家にとっても影響の大きい国際ニュースです。本記事では、今回の医療機器をめぐる動きと中国側の反応、その背景にある構図を整理します。
EU、医療機器の公共調達で中国企業の参加を制限
報道によると、EU加盟国は今週月曜日の採決で、中国の医療機器サプライヤーに対し、EU域内の公共調達市場へのアクセスを制限する措置を承認しました。
新たな規制では、今後5年間、総額500万ユーロ(約540万ドル)を超える契約について、中国企業による入札を禁止するとされています。医療機器は、公的医療機関などが利用する装置や器具を含むため、公共調達における制限は市場への影響が大きい分野です。
今回の措置は、今年1月に欧州委員会が公表した調査結果を受けたものとされています。その調査では、中国の公共調達において中国製の医療機器が優遇されていると指摘され、サンプルとして分析された中国の入札案件のうち87%で、輸入機器に対する直接または間接的な制限が見られたと報告されました。
中国外交部「公平で差別のないビジネス環境を」
中国外交部の報道官・林剣(Lin Jian)氏は、定例記者会見でこの問題について問われ、詳細は関係当局に確認するよう促しつつも、中国の基本的な立場を改めて説明しました。
林氏は、中国が一貫して高水準の対外開放を進めてきたとしたうえで、市場経済と国際的な貿易ルールの原則を守り、貿易紛争は対話と協議によって解決すべきだと強調しました。
そのうえで林氏は、EUについて「長らく世界で最も開かれた市場だと自任してきたが、実際には保護主義を強め、一方的な貿易手段に頻繁に依存し、『開かれた競争』の名の下に不公正な競争を行っている。典型的な二重基準だ」と述べ、EUの姿勢に疑問を呈しました。
EU駐在中国商会も今回の決定について「深い失望」を表明し、中国市場ではこれまで欧州の医療機器企業が大きなアクセスを享受してきたにもかかわらず、その点が十分に評価されていないと指摘しています。
電気自動車やブランデーでも対立 中欧関係に新たな火種
ロイター通信によると、今回の医療機器をめぐる制限は、すでに緊張が高まっている中国とEUの通商関係に新たな火種を加える可能性があります。
EUは中国製電気自動車に関税措置を取っており、中国側もEU産ブランデーに対する措置を講じています。こうした相互の動きが重なるなかで、医療機器分野でも制限が導入されれば、両者の不信感が一段と強まる恐れがあります。
EUのマロシュ・シェフチョビッチ通商担当委員は、自身の予定によれば、火曜日にパリで王文涛・中国商務部長と会談する見通しです。通商問題をめぐる対話がどこまで進むかが、今後の中欧関係を占う一つの注目点となります。
日本や企業にとっての意味は
今回の中国とEUの動きは、日本企業や日本の読者にとっても無関係ではありません。医療機器や電気自動車といった分野は、グローバルなサプライチェーンと深く結びついており、大きな市場同士の摩擦は、間接的に日本企業の調達や投資判断に影響を与え得るためです。
とくに次のような点は、今後の国際ニュースを読み解くうえで重要な視点になりそうです。
- 各国・地域が公共調達を通じて産業政策をどこまで打ち出していくのか
- 「開かれた市場」と国内産業保護のバランスをどのように取ろうとしているのか
- 通商摩擦が表面化した際、対話や協議によってどのように管理しようとしているのか
中国とEUの双方は、対話と協力の重要性を口にしています。今回の医療機器をめぐる案件は、単なる一分野の問題にとどまらず、今後の国際ビジネス環境やルールづくりの方向性を映す鏡でもあります。中欧の動きを丁寧に追いながら、日本としても自らの立ち位置や企業戦略を考える材料としていくことが求められています。
Reference(s):
China urges fair business environment as EU plans to restrict access
cgtn.com








