AIが主役に ミュンヘン物流見本市「transport logistic 2025」が示した未来
2025年6月、ドイツ南部ミュンヘンで開かれた国際見本市「transport logistic 2025」では、物流とITの世界で人工知能(AI)が主役に躍り出ました。国際ニュースとしても注目されるこの展示会は、AIやデジタル化、サイバーセキュリティが、これからの国際物流をどう変えていくのかを示す場となりました。
世界の物流が集結するミュンヘンの見本市
「transport logistic」は、物流、モビリティ、IT、サプライチェーン管理(原材料から製品が消費者に届くまでの流れの管理)をテーマにした国際見本市で、ミュンヘンで隔年開催されています。
2025年の会場には、70を超える国と地域から約2670の出展者が集まりました。主催者は、専門職の来場者が約8万人に達すると見込んでおり、国際物流の「いま」を知るうえで重要なハブになっていることがうかがえます。
主催者の一人であるメッセ・ミュンヘンの最高経営責任者(CEO)、シュテファン・ルンメル氏は、「transport logistic は、日常生活では見えにくい物流の姿を可視化する場だ。物流は高速道路を走るトラック以上の存在であり、経済が機能するための基盤だ」と語りました。普段は意識しにくい「見えないインフラ」としての物流の重要性が、改めて強調された形です。
AIとデジタル化、サイバーセキュリティが中核テーマに
今回の「transport logistic 2025」でとくに焦点が当たったのが、AI、デジタル化、サイバーセキュリティ(情報システムを攻撃や不正アクセスから守る仕組み)です。これらは、今後の国際物流・サプライチェーンを形作るキーワードとして位置づけられました。
ドイツの連邦交通相パトリック・シュナイダー氏は開会式で、デジタル化について「現代的な物流を実現する決定的なてこになる」と指摘。「デジタルなアプリケーションによって、プロセスはより効率的で、より賢く、そして扱いやすくなる」と述べました。
さらに同氏は、AIの役割についても次のように説明しました。AIは、
- 最適な配送ルートの計画
- 車両やコンテナのフリート(車両群)管理
- 故障を予測した予防保全(故障が起きる前にメンテナンスすること)
といった分野で活用が期待されているといいます。これらが実現すれば、輸送の遅延リスクを減らしつつコスト削減も図れる可能性があり、国際物流全体の安定性にもつながります。
一方で、システムが高度にデジタル化されるほどサイバー攻撃のリスクも高まります。そのためサイバーセキュリティも、AIやデジタル化と並ぶ重要テーマとして位置づけられました。効率化と安全性をどう両立させるかが、今後の大きな課題だと言えます。
100社超の中国企業が参加 グリーン&スマートをアピール
今回の展示会には、中国からも100社を超える企業が参加しました。China COSCO Shipping Corporation Limited、China Railway Container Transport Corp., Ltd.、CRRC Corporation Limited などが名を連ね、最新の製品やサービス、技術を世界の来場者に紹介しました。
COSCO Shipping Europe の副社長、陳斌(Chen Bin)氏は、「今年の展示では、世界レベルの海運技術企業をめざす上での主な成果と、現在進めている取り組みを紹介した」と語りました。
同氏によれば、COSCOが今回の見本市で強調したポイントには、
- ヨーロッパ全体をつなぐ統合輸送ネットワークづくり
- 世界各地でのサービス提供能力のさらなる拡大
- グリーンかつ低炭素な技術の開発・導入
- スマートシッピング(船舶の高度なデジタル制御)
- デジタル技術を活用したサプライチェーン管理の革新
といった取り組みが含まれます。環境負荷の低減とデジタル化を同時に進める姿勢は、国際物流業界全体の方向性とも重なります。
「見えない物流」の変化は、私たちの日常にもつながる
約2670の出展者と、70を超える国と地域からの参加者が一堂に会した「transport logistic 2025」は、国際物流がどれほどグローバルで相互依存的な産業になっているかを可視化しました。
そこで語られたAI、デジタル化、サイバーセキュリティ、グリーン技術といったテーマは、一見すると専門的に聞こえますが、実際には、オンラインで注文した商品がいつ・どのように届くのか、店頭の品揃えがどれだけ安定しているか、といった私たちの日常生活にも直結しています。
ミュンヘンで開かれたこの見本市は、「見えないところで世界はどう動いているのか」を考えるきっかけを与えてくれます。物流という静かなインフラの変化を追うことは、これからの経済や社会の行方を読み解くうえで、ますます重要になっていきそうです。
Reference(s):
AI in spotlight as 'transport logistic 2025' opens in Munich
cgtn.com








