氷と雪が生む新しい中国東北部の物語 Land of Ice and Inspiration video poster
2025年12月、厳しい寒さに包まれた中国東北部で、氷と雪が新しい可能性を生み出しています。かつては産業や交通の障害と見られがちだった冬の気候が、いまは観光、スポーツ、文化を動かす力に変わりつつあります。
英語で「Land of Ice and Inspiration(氷とひらめきの大地)」と呼ばれるこの地域の変化は、中国東北部だけでなく、氷雪資源を持つ多くの地域にとってもヒントになりそうです。
氷と雪は「障害」から「資源」へ
中国東北部の冬は、長く厳しく、氷点下の日々が続きます。かつてはこの寒さが農業や工業、物流にとって前進の妨げとみなされることもありました。
しかし今、その同じ氷と雪が新しい産業や暮らし方を生み出しています。観光地としての整備、冬のスポーツの普及、アートやイベントの場づくりなど、多様な取り組みが重なり合い、地域の表情を変えつつあります。
そこには、1億人以上の人びとが共有するふるさとへの深い愛情があります。厳しい自然条件を「嫌う」のではなく、「活かす」方向へ発想を転換してきた歩みこそが、この地域の物語の核になっています。
ハルビンのIce and Snow Worldが象徴するもの
その変化を象徴する存在のひとつが、ハルビンの巨大な氷雪イベント「Ice and Snow World(氷と雪の世界)」です。色とりどりのライトに照らされた氷の建造物が立ち並び、夜空の下で幻想的な光景が広がります。
会場では、華やかなステージやパフォーマンスとともに、来場者を迎える案内役の人びとが笑顔で立ち続けています。氷点下の空気の中で働く彼らの姿からは、仕事であってもこの土地の冬を誇りに思う気持ちがにじみ出ています。
長く「寒さに耐える場所」と思われてきた街が、いまや冬を楽しみに変える目的地として注目されるようになっていることは、地域の意識の変化を物語っています。
静かな路地から生まれるアート
一方で、大通りから少し離れた静かな路地では、冬の日常を形づくる別の光景があります。路上で氷や雪を使って小さな彫刻を刻むアーティストたちです。
彼らの作品は、大きなイベント会場のような派手さはありませんが、生活の匂いが残る雪道のかたわらで、人びとの足を自然と止めさせます。通りかかった子どもが作品に見入ったり、スマートフォンで写真を撮ったりする姿も、いまの中国東北部らしい風景です。
こうした小さな創作活動が積み重なることで、冬の街そのものがひとつの屋外ギャラリーのように変わりつつあります。
氷上で育つ次世代
また、凍った川や特設リンクでは、若者たちがアイスホッケーやスケートでしのぎを削っています。雪上・氷上スポーツは、もともとこの地域の生活に密着したものでしたが、いまは本格的な競技として挑戦する子どもや学生も増えています。
氷上での真剣な勝負は、単なる娯楽を超えて、体力や技術だけでなく、チームワークや挑戦する心を育てる場にもなっています。冬の厳しさを知る世代が、次の世代へとバトンを渡していると言えるでしょう。
モダナイゼーションの鼓動としてのThe Pulse of Modernization
こうした風景をひとつの物語として切り取るキーワードが「The Pulse of Modernization(モダナイゼーションの鼓動)」です。この言葉は、凍てつく空気と華やかな光、静かな路地と賑やかなリンクという対照的な場面が、ひとつの未来像としてつながっていることを示しています。
氷と雪は、そのままではただ冷たく硬いだけの存在です。しかし、それを素材にイベントを企画し、アートを生み出し、スポーツの舞台に変えていくプロセスには、社会全体の変化を映すリズムがあります。それが「モダナイゼーションの鼓動」です。
中国東北部の変化は、経済指標だけでは測りきれません。冬の風景の中に刻まれた人びとの表情や、日々の工夫の積み重ねこそが、未来へ向かう力になっているのだといえるでしょう。
氷と雪の物語から見えるヒント
氷と雪の大地をめぐるこの物語は、他の地域に住む私たちにもいくつかのヒントを与えてくれます。
- 弱みと見られてきた条件を、発想を変えて強みに変えること
- 自然環境と文化を組み合わせることで、地域ならではの魅力を育てること
- 大規模イベントだけでなく、日常の小さな創造性を大切にすること
2025年の冬、中国東北部で鳴り響く「モダナイゼーションの鼓動」は、1億人以上の人びとが土地を愛し、未来を信じる気持ちが生み出すリズムでもあります。その音に耳を澄ませることは、私たち自身の暮らしや地域のあり方を考え直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








