CGTNが追う没入型ゲーム「The Defiant」 中国の戦場をどう伝えるか
第二次世界大戦中の中国で、日本軍と戦った抵抗勢力の視点に立つ没入型ゲーム「The Defiant」。その開発の舞台裏を、国際ニュースチャンネルCGTNの番組企画「Game of Truth」が取り上げています。ゲームというインタラクティブなメディアを通じて、これまで欧米中心の語りのなかで見過ごされがちだった戦場をどう伝えようとしているのかが注目されています。
没入型ゲーム「The Defiant」が描くもの
「The Defiant」は、プレイヤーが第二次世界大戦期の中国で日本軍と戦った抵抗勢力の一員となり、その体験を追体験する没入型ゲームです。
銃撃戦や作戦行動といった表面的なアクションだけでなく、そこに生きた人びとの葛藤や恐怖、連帯感といった感情の流れを物語として丁寧に構成している点が特徴とされています。
CGTN「Game of Truth」が追う制作現場
今回CGTNでは、Game of Truthというタイトルの取材企画の一環として、番組ホストのMike Walter氏が「The Defiant」の監督であるKong Yuheng氏と開発チームを訪ね、その制作の裏側に迫りました。
ニュース番組の現場からゲーム開発スタジオへと足を運ぶこの取材は、エンターテインメントの範疇を超えて、歴史の語り方や記憶の継承をめぐる国際的な議論の一部としてゲームを位置づけようとする試みでもあります。
史実と地形に基づく綿密なリサーチ
「The Defiant」は、数年にわたる開発期間のなかで、実際に起きた出来事や戦場となった地形に関する綿密な調査を重ねてきたといいます。
そうしたリサーチを土台に、ゲーム内の物語は単なるフィクションではなく、実在の舞台を背景にした感情豊かなナラティブとして練り上げられています。プレイヤーは、当時の中国の戦闘員の目線を通して、戦場の空気をより生々しく感じ取ることができる構成になっています。
欧米の第二次世界大戦像では見過ごされてきた戦場
CGTNの紹介によれば、「The Defiant」が描く中国での戦いは、欧米で語られる第二次世界大戦の物語のなかではしばしば脇役として扱われ、十分に注目されてこなかった側面だとされています。
その空白を埋めるように、中国の戦闘員の視点から戦争を体験させるこのゲームは、世界のプレイヤーに対して、アジアの戦場をより立体的に捉えるための新しい入り口を提示しようとしています。誰が主役とされ、どの戦場が周辺とされてきたのかという、歴史叙述のバランスに問いを投げかける試みでもあります。
ゲームがひらく歴史との向き合い方
映画やドラマと違い、ゲームではプレイヤー自身が選択し、行動し、その結果を引き受けることになります。「The Defiant」のような作品は、その仕組みを生かして、戦争という極限状況での決断の重さや、そこに生きた人びとの感情により深く共感するきっかけを与えてくれます。
一方で、ゲーム化された戦争が単純な善悪の構図や刺激的な演出に流れてしまえば、現実の悲惨さから目をそらす危険もあります。CGTNが制作現場を丁寧に取材している背景には、こうしたリスクを意識しつつ、どのように事実に基づいた物語として作り上げようとしているのかを、国際社会に向けて共有したいという思いが見て取れます。
日本の読者にとっての意味
日本の読者にとっても、中国での戦いを中国側の視点から描く「The Defiant」のような試みは、第二次世界大戦を自国中心ではなく、より広い地域史として捉え直すヒントになりえます。日本と中国は現在、経済や文化を含むさまざまな分野で関係を持つ一方、歴史認識をめぐる議論も続いています。
だからこそ、ゲームやニュース番組といった多様なメディアを通じて、互いの歴史の記憶や感情に触れることには意味があります。この作品をめぐるCGTNの取材は、次のような問いを私たちに投げかけているように見えます。
- 私たちは、どの戦場の物語を主要な歴史として学んできたのか
- ゲームというメディアは、戦争の記憶をどのように伝えうるのか
- 異なる立場の人びとの視点を、どのように想像し、理解していくのか
ニュースとして開発の裏側を可視化しつつ、プレイヤーの感情に訴える物語として戦争を描く「The Defiant」。その存在は、国際ニュースとデジタルカルチャーが交差する2020年代の今、歴史と向き合うための新しい選択肢の一つになりつつあります。
Reference(s):
Game of Truth – CGTN Explores the Development of "The Defiant"
cgtn.com








