中国・浙江沖で英兵救出漁民をたたえる記念碑 83年越しの友情 video poster
リード:83年越しに刻まれた「知られざる味方」の物語
第二次世界大戦中に起きた英国兵捕虜の救出劇から83年。2025年5月20日、中国・浙江省沖の島で「Dongji漁民による英国捕虜救出記念碑」の除幕式が行われ、戦時下で結ばれた中国と英国の静かな友情に、改めて光が当てられました。
浙江沖の小島で行われた追悼と感謝の式典
5月20日の式典は、中国浙江省の沖合にある島で開かれました。会場では、第二次世界大戦期に英国兵捕虜を救った地元漁民の行動をたたえる記念碑「Memorial for Dongji Fishermen's Rescue of British Prisoners of War」が披露されました。
参列者の中には、1942年10月に沈没した船「リスボン・マル」に乗っていた英国兵捕虜の子孫18人も含まれていました。彼らは、海に投げ出された捕虜の一部を救い上げた漁民たちへの感謝と敬意を胸に、この地を訪れました。
この記念碑は、勇気ある漁民たちの行動を記憶にとどめると同時に、当時の中国と英国の人々の間に生まれた深い友情を象徴する場でもあります。
戦争のなかで生まれた市民同士の連帯
「リスボン・マル」の沈没と、その後の救出劇は、国家間の軍事衝突が激しさを増していた第二次世界大戦のさなかに起きました。その中で、武器を持たない地元漁民たちは、自らの危険を顧みず、溺れる英国兵捕虜たちを救い上げました。
記念碑は、その行為を「英雄的」と表現し、名もなき市民が人命を最優先に行動した事実を静かに伝えています。そこには、国籍や立場を超えて他者を助けるという、ごくシンプルだが普遍的な価値観が刻まれています。
戦争はしばしば国家や軍隊の視点から語られますが、このような小さな島での出来事は、歴史のもう一つの顔――市民同士の連帯と共感――を思い起こさせます。
「83年越しの再会」が示すもの
かつて「リスボン・マル」に乗っていた兵士たちの子孫が、83年の歳月を経て救出の地を訪れたことは、記憶の継承という点で大きな意味を持ちます。救われた側の家族が現地を訪ね、救った側の人々の記憶と向き合うことで、戦争体験は過去の出来事にとどまらず、現在の対話へとつながります。
このような交流は、外交文書や首脳会談とは違うレベルで、中国と英国の人々の信頼関係を少しずつ積み重ねていく営みとも言えます。記念碑の前で交わされる言葉や沈黙が、両国の未来志向の関係づくりに静かに貢献しているのかもしれません。
私たちがこのニュースから考えたいこと
今回の記念碑建立と式典は、国際ニュースとして見ると同時に、「過去の戦争をどう語り継ぐか」という、より広い問いを私たちに投げかけています。
- 国家同士の対立の物語だけでなく、市民同士の助け合いに光を当てること
- 加害・被害という単純な枠組みを超え、人間としての行動に注目すること
- 戦争体験を、現在と未来の平和や協力の土台として生かすこと
浙江沖の小さな島で建てられた一つの記念碑は、遠く離れた日本に暮らす私たちにとっても、戦争と平和、そして国際社会での共生を考えるきっかけになり得ます。
歴史の中で目立たない場所にいた「知られざる味方」の物語に耳を傾けることは、今を生きる私たちの視野を、少しだけ広げてくれるのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








