400台超ロボットが歴史的建築を移動 上海・張園で7,500トンが「帰宅」 video poster
上海の歴史地区・張園で、重さ7,500トンの石庫門建築群が、400台を超えるロボットの力を借りて元の場所に戻されました。歴史的景観を守りながら都市再生を進める、このユニークな試みを整理します。
7,500トンの建物がどのように「帰宅」したか
今回移動したのは、張園の文化・歴史地区にある華業里石庫門(Huayanli Shikumen)コンプレックスです。延べ約4,000平方メートルの建物群で、その重さはおよそ7,500トンに達します。
張園では、約140年の歴史を持つ地区全体の再生プロジェクトが進められており、その過程で華業里の建物群はいったん別の場所に移され、工事期間中の損傷を防いでいました。
2025年5月19日、この建物群を元の位置に戻す「里帰り」の移動が始まりました。基礎部分の下には、合計432台の小型ロボットが歩行装置として配置されました。建物は1日に平均10メートルというゆっくりした速度で少しずつ移動し、6月7日に無事、元の位置への旅を終えています。
なぜ一度動かして、また戻すのか
今回のプロジェクトの背景には、歴史的建築を守りながら都市を活性化させたいという狙いがあります。張園は、上海の中でも石庫門建築が最も大規模かつ良好な状態で残る地区とされ、文化・観光資源としての価値も高い場所です。
一方で、建物が老朽化したり、インフラの更新が必要になったりする中で、現代的な設備を導入しつつ、外観や街並みの雰囲気を保つことが求められています。そのため、華業里の建築群は、周辺の再開発工事から守るために一時的に移転し、工事の完了に合わせて元の場所に戻されました。
張園と石庫門建築の意味
張園の歴史地区は、約140年の歴史を持つとされ、上海でも代表的な石庫門建築が集中していることで知られています。石庫門は、門や外壁に石を使った伝統的な集合住宅の様式で、上海の近代都市形成を象徴する存在です。
こうした建築群が、単なる保存対象としてではなく、文化・商業・居住が混在する新たな都市空間として再生されようとしている点に、今回のプロジェクトの特徴があります。
ロボットが変える「保存」と「再生」のあり方
今回の移動で注目されるのは、建物を解体せず、そのまま「歩かせる」ようにして運んだ点です。432台のロボットが基礎を持ち上げ、バランスを取りながら少しずつ前進させることで、建物全体を安定した状態のまま移動させました。
この方法には、次のような利点があると考えられます。
- 建物を解体・再組み立てする場合と比べ、元の構造や細部をより忠実に残せる
- 歴史的な装飾や素材へのダメージを抑えやすい
- 周辺の工事と並行して段階的に移動を進められる
ロボット技術を活用することで、歴史的建築の保存と都市インフラ更新の両立を図る、一つのモデルケースになりつつあります。
都市づくりをめぐる新しい問い
人口や経済活動が集中する大都市では、開発か保存かという二者択一の議論になりがちです。しかし、張園の事例は、時間とコストをかけてでも歴史的な街並みを受け継ぎながら現代の暮らしに適合させていく第三の道があり得ることを示しています。
私たちがこれから注目したいポイントとして、次のような視点があります。
- ロボット技術やエンジニアリングを、生活に身近な文化財や街並みの保全にどう生かせるか
- 観光資源としての価値だけでなく、地域の住民にとって暮らしやすい空間をどう両立させるか
- 他の都市や国・地域でも、歴史的建築を守りながら再開発する動きが広がっていくのか
7,500トンの建物を「歩かせて」帰宅させた今回の挑戦は、技術的な話題であると同時に、これからの都市のあり方を考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
Over 400 robots help return historic Shanghai complex to original site
cgtn.com








