新疆で大型電波望遠鏡の主構造が完成 中国の宇宙観測が前進
中国北西部の新疆ウイグル自治区で、口径110メートルのフル可動電波望遠鏡の主構造が12月7日に完了しました。2028年の完成を目指すこの大型科学インフラ計画は、中国の天文観測能力を大きく押し上げる一歩となります。
天山山脈のふもとに建つ巨大アンテナ
今回主構造の工事が完了した電波望遠鏡は、新疆ウイグル自治区チャルクリク県の天山山脈のふもとに位置しています。反射鏡となる皿は直径110メートル、重量は6000トンを超える規模で、フル可動設計により空にある天体のおよそ75パーセントを観測できるとされています。
巨大な皿全体を向けたい方向に動かせるのが特徴で、宇宙から届く微弱な電波をとらえ、さまざまな天体現象の解明に役立てることが想定されています。
2022年着工、2028年完成を目指す長期プロジェクト
この110メートル電波望遠鏡の建設は、2022年9月に始まりました。2025年12月現在、主構造の「上棟」にあたる工程を終え、プロジェクトは次の段階に入ろうとしています。
今後のフェーズでは、観測機器の設置や精密な制御システムの導入、全体のシステム試験が本格化します。2028年の完成を目標に、土木工事中心の段階から、精密機械とソフトウェアの世界へと重心が移っていくことになります。
フル可動電波望遠鏡とは何か
今回建設が進んでいるのは、フル可動型の電波望遠鏡です。同じ規模の固定式電波望遠鏡と比べて、フル可動型には次のような特徴があります。
- 観測できる空の範囲が大きく広がる
- 特定の天体を長時間にわたって追跡しやすい
- 観測対象を素早く切り替えることができる
ユーザーの入力によれば、フル可動型は同じサイズの固定式電波望遠鏡に比べ、はるかに広い領域を観測できるとされています。今回の110メートル望遠鏡は、空にある天体の約4分の3を視野に収めることができる設計です。
吉林の120メートル計画と世界の大型望遠鏡
中国では、新疆に加えて、東北部の吉林省でももう一つのフル可動電波望遠鏡が建設されています。こちらは口径120メートルとされており、設計上は世界最大級のフル可動電波望遠鏡になる計画です。
一方、現在稼働中のフル可動電波望遠鏡として世界最大なのは、米国ウェストバージニア州にあるグリーンバンク望遠鏡です。皿の大きさは100メートル×110メートルで、運用中の設備としては最大規模のフル可動電波望遠鏡とされています。
新疆と吉林で進む新たなプロジェクトが本格稼働すれば、大型電波望遠鏡の勢力図にも変化が生まれる可能性があります。
宇宙観測の強化が意味するもの
電波望遠鏡は、目に見えない電波の領域で宇宙を「聞く」装置です。星の誕生や銀河の構造、遠方宇宙からの信号など、光学望遠鏡とは異なる情報を集めることができます。
こうした大型施設が整備されることで、
- 宇宙の成り立ちに関する基礎研究の加速
- 国際共同観測ネットワークへの貢献
- 観測技術やデータ解析技術の高度化
といった効果が期待されます。長期的には、通信やセンサー技術など、私たちの身近な分野にも間接的な波及が及ぶ可能性があります。
2028年に向けて、何を見ていくか
新疆の110メートル電波望遠鏡は、まだ建設の折り返し地点を過ぎた段階ですが、主構造の完成によってプロジェクトの輪郭がはっきりしてきました。
これから数年は、
- 機器設置と試験運用の進捗
- 吉林の120メートル望遠鏡との役割分担
- 既存の大型電波望遠鏡との国際協力のあり方
といった点が注目ポイントになりそうです。巨大な宇宙観測施設が、2028年以降にどのような発見をもたらすのか。ニュースを通じて、そのプロセスを追いかけていくこと自体が、宇宙との距離を少し縮めるきっかけになるかもしれません。
Reference(s):
Main structure of China's mega radio telescope capped in Xinjiang
cgtn.com








