香港で初のドローン宅配ルート、メイトゥアン系Keetaが運航開始
中国のフードデリバリー大手メイトゥアン傘下のKeetaが、香港特別行政区で初となるドローンを使ったフードデリバリーの定期ルートを開始しました。渋滞を避けて海上を5分で横断するこの試みは、香港で進む低空域経済の実証の中でも象徴的な一歩です。
海を越えて5分、道路なら40分の区間を短縮
2025年6月6日、沙田地区の香港サイエンスパークから馬鞍山プロムナードまでを結ぶドローン配送ルートが正式にスタートしました。
このルートでは、ドローンが海上約1.8キロメートルを飛行し、約5分で料理を届けます。これまで同じ区間を地上の配達員がバイクや車で届ける場合、約7.8キロメートルの道路を走る必要があり、配達時間はおよそ40分かかるのが一般的でした。
- 飛行距離:海上約1.8キロメートル
- 飛行時間:約5分
- 従来の陸路:7.8キロメートル
- 従来の配達時間:およそ40分
運営するのは、メイトゥアンの子会社であるKeetaです。同社が持つフードデリバリーネットワークと、ドローンを活用した新しい配送手段を組み合わせることで、時間短縮とサービスの選択肢拡大を目指しています。
低空域経済の「規制サンドボックス」と連動
今回のドローン配送サービスは、香港特別行政区政府が2024年末に導入した低空域経済向けの新たな規制サンドボックスの一環として位置づけられています。
低空域経済とは、都市上空の比較的低い高度を活用し、ドローンなどの新技術を使って物流や各種サービスを展開する新しい産業分野を指す概念とされています。今回のようなフードデリバリーだけでなく、インフラ点検や将来的な空のモビリティなど、さまざまな応用が想定されています。
6月6日の開始式典で、香港特別行政区政府の副財政長官であり「低空域経済発展作業チーム」の責任者でもあるマイケル・ウォン氏は、「香港は今後も低空域経済の発展を後押ししていく」と述べました。
ウォン氏は、低空域経済に関する商業プロジェクトは市場主導で進める方針を強調し、政府としては規制上の障壁を取り除き、必要なインフラを提供していくと説明しました。また、規制サンドボックスの第2段階は今後数カ月で申請受付を開始するとしています。
メイトゥアン系Keetaの次の一手
メイトゥアンの毛一平副総裁によると、同社は今回のルートを足がかりにサービス範囲を拡大する計画です。具体的には、香港サイエンスパークと馬鞍山の住宅エリアを結ぶ新たなドローンルートを開設し、自動化された空中受け取りロッカーへの配達を行う構想を示しています。
これにより、オフィスや研究施設が集まるエリアと、周辺の住宅地をドローンでつなぐ形が描かれており、通勤・通学時間帯の混雑を避けながら、より安定した配達時間を実現できるかが注目されています。
都市の物流と生活をどう変えるのか
今回のドローン配送は、あくまで規制サンドボックスの枠内で行われるパイロットプログラムですが、「5分対40分」という時間差は、都市部の物流の姿を大きく変えうるポテンシャルを示しています。
一方で、低空域を本格的に活用していくには、安全性や騒音、天候への対応、運用コストなど、検討すべき点も多くあります。どこまで自動化を進めるのか、周辺の住民や利用者の安心感をどう高めていくのかといった論点は、今後の制度設計と技術開発の中で丁寧に議論されていくとみられます。
香港で始まったこの取り組みが、他の都市や地域の低空域経済の議論にどのような影響を与えていくのか。メイトゥアン系Keetaの実証が積み重なることで、ドローン配送が日常の風景として定着するのかどうか、今後の展開が注目されます。
Reference(s):
China's Meituan launches first drone delivery route in Hong Kong
cgtn.com








