華為Pura 80 Ultra発表 新カメラ構造と高価格への視線
華為(ファーウェイ)が最新フラッグシップスマートフォン「Pura 80 Ultra」を発表しました。一つの撮像センサーに二つのレンズを組み合わせた新構造のカメラなど、中国本土のスマホ市場でも議論を呼ぶ要素が詰まった一台です。
新フラッグシップ「Pura 80 Ultra」とは
Pura 80 Ultraは、背面カメラを三つ備え、それらが三角形の土台の上に配置されているのが外観上の特徴です。なかでも注目されているのが望遠カメラで、3.7倍と9.4倍という二つの倍率のレンズを、1/1.28インチの大型センサー一枚に載せる構造を採用しています。
この「一つのセンサーに二つのレンズ」という仕組みによって、モジュール全体のスペースを抑えつつ、より多くの光を取り込めるとされています。華為の端末事業で最高技術責任者を務める李小龍氏は、これがPura 80 Ultraにおける最大のハードウェア上の革新だと強調しつつ、「唯一の問題はコストが非常に高いことだ」とも述べています。
色再現を高める「レッドメープル」カメラシステム
Pura 80シリーズには、華為独自の「レッドメープル」カメラシステムも採用されています。これは、色のずれを抑えてより自然な色再現を目指す技術だと説明されており、写真・動画を重視するユーザーに向けて、ハードとソフトの両面から画質を底上げする狙いが見て取れます。
レンズとセンサーに広がる中国本土サプライチェーン
サプライチェーンの面でも、Pura 80シリーズは変化を示しています。供給網の関係者によると、同シリーズ向けのレンズは、かつて米国から制裁対象とされ、アップルのサプライヤーでもあったOFILM集団が手がけているとされています。
また、中国本土の報道では、Pura 80のカメラセンサーを提供しているのは上海を拠点とするSmartSensだと伝えられています。従来より知名度の高かったOmniVisionからの切り替えとされており、スマートフォン用カメラ部品の分野で、中国本土の供給体制が一段と地に足の着いたものになりつつあることをうかがわせます。
分解で判明したKirin 9020 プロセスと性能のトレードオフ
ソーシャルメディアに投稿された分解動画では、Pura 80 Ultraの主要チップとして、2024年末に登場したMate 70シリーズと同じKirin 9020が使われていることが明らかになったとされています。
このチップは、他の主流ブランドが採用するものと比べて、半導体の製造プロセスが一世代古いとされ、その結果として純粋な計算性能では見劣りするとも指摘されています。ソフトウェアによる最適化だけでは、その差を完全には埋めきれないとされています。
HarmonyOS Next 5.1と今後の6.0アップデート
ソフトウェア面では、Pura 80シリーズは独自OSであるHarmonyOS Next 5.1を搭載して出荷されます。同バージョンでは、端末上でのAIとのライブ会話機能が提供される予定で、スマートフォンを「話しかけて使う」体験を前面に押し出しています。
華為のコンシューマー事業トップである余承東氏によると、同社が開発を進めるAndroid代替OSの次期版、HarmonyOS Next 6.0は年内に提供が始まる見通しです。6.0ではスマートフォンと車両との連携がさらに強化されるとされており、モバイルとモビリティをまたぐエコシステム構築を狙う動きが続いています。
9,999元の価格に映る「プレミアム路線」
Pura 80 Ultraの価格は9,999元(約1,400米ドル)と、前世代のPura 70 Artと同水準に設定されました。ハイエンド機としての位置づけを明確にする一方で、中国本土のソーシャルメディア上では、ここ数年の価格の高さに対する不満も少なくありません。
多くのユーザーが、2019年末に登場し「高い性能と手頃な価格」の象徴とされたHonor V30 Proのような、コストパフォーマンス重視のモデル復活を求める声を上げています。今回のPura 80 Ultraは、革新的なカメラと自社開発OSを前面に出したプレミアム機路線をさらに推し進める一方で、価格とのバランスをどう取るのかという課題も浮かび上がらせました。
スマホ市場に投げかける三つの問い
Pura 80 Ultraの登場は、スマートフォン市場に次のような問いを投げかけているように見えます。
- どこまでハードウェアの革新にコストをかけるべきか(今回の望遠カメラ構造)
- 自国のサプライチェーンをどこまで厚くするのか(レンズやセンサーの調達)
- 性能・価格・AI体験のどこに重点を置くのか(Kirin 9020とHarmonyOS Next)
ユーザーにとって「ちょうどよい一台」とは何か。その答えをめぐる試行錯誤は、2025年のスマートフォン市場を読み解く一つの鍵になりそうです。
Reference(s):
Huawei unveils Pura 80 Ultra with new 'one sensor, two lenses' camera
cgtn.com








