コスタリカの海洋保護:国連海洋会議が映した青いサンクチュアリ
2025年6月にフランス・ニースで開かれた第3回国連海洋会議では、共催国コスタリカが自国の海を野生生物のサンクチュアリとして世界にアピールしました。本稿では、その国際ニュースを手がかりに、コスタリカの海洋保護の特徴と、私たちへの示唆を整理します。
第3回国連海洋会議とは何か
第3回国連海洋会議は、フランスとコスタリカが共同で主催し、2025年6月9日から13日までニースで開催されました。テーマは「あらゆる主体を動員し、海洋を保全し持続可能に利用するための行動を加速する」というものです。
海は、気候変動、生物多様性、食料安全保障など、世界共通の課題と直結する存在です。この会議は、各国政府だけでなく、企業、市民社会、研究者など、多様なアクターが集まり、海洋保護と利用のバランスをどうとるかを話し合う場となりました。
海のサンクチュアリとしてのコスタリカ
会議の共催国であるコスタリカは、自国の海を「野生生物の聖域」として位置づけています。象徴的な存在が、太平洋側にあるココス島です。ここは豊かな海洋生態系で知られ、周辺の海は世界有数のダイビングスポットとしても注目されています。
さらにコスタリカは、太平洋とカリブ海という二つの海に面しており、それぞれの海岸線が異なる生態系を育んでいます。この地理的な条件が、同国の「卓越した海洋生物多様性」を生み出しているとされています。
海洋保護区の拡大と回遊生物の保全
コスタリカは、長年にわたり海洋保護に取り組んできた国として知られています。近年も、海洋保護区の拡大に力を入れてきました。海洋保護区とは、漁業や開発行為などを制限し、海の生態系を守るために設定された海域のことです。
同国が特に重視しているのが、サメやウミガメといった回遊生物の保全です。これらの生き物は、国境を越えて広い海を移動しながら一生を送ります。そのため、一つの国だけで守ることは難しく、周辺国との連携や国際的なルールづくりが欠かせません。
コスタリカは、海洋保護区の拡大とともに、こうした回遊生物の生息ルートを守る取り組みを進め、海のつながりを意識した保全を目指しているとされています。
持続可能な海洋利用という視点
コスタリカの特徴は、単に「保護する」だけでなく、「持続可能に利用する」視点を重ねている点です。海を守りながら、地域コミュニティの暮らしも成り立たせることを重視しています。
具体的には、次のような方向性が意識されています。
- 乱獲を避けるための漁業ルールづくり
- 海洋資源に負荷をかけにくい観光のあり方を模索すること
- 海洋教育や啓発活動を通じて、市民が海を支える主体となること
こうした「持続可能な海洋利用」の考え方は、海に囲まれた日本にとっても無縁ではありません。コスタリカの例は、小さな国でも明確な方針と長期的な視点を持つことで、国際社会の議論をリードできることを示しています。
写真が伝えるコスタリカの海のいのち
今回紹介された写真シリーズは、コスタリカ近海に広がる色鮮やかな海の世界を切り取ったものです。サンゴ礁のまわりを群れで泳ぐ魚たち、悠々と回遊するサメ、美しいウミガメの姿などが映し出され、同国の海洋生物多様性を視覚的に伝えています。
写真は単なる「きれいな風景」ではなく、海の健康状態を映し出す鏡でもあります。豊かな生き物の姿があるということは、そこに至るまでの保全の積み重ねがあるということでもあります。
日本の読者への問いかけ
コスタリカの海洋保護は、日本や他の国にとってどのようなヒントを与えてくれるのでしょうか。考えてみたいポイントを三つに整理します。
- 長期的なコミットメントの重要性:一度決めた方針を、政権や景気に左右されず継続すること
- 海を共有財産としてとらえる視点:自国の利益だけでなく、地球全体の視点で海を見ること
- 保護と利用の両立:禁止か許可かの二択ではなく、「どのように使えば守れるか」を考えること
個人レベルでも、プラスチックごみを減らす、持続可能な漁業に配慮した海産物を選ぶ、海洋政策に関するニュースを追うなど、できることは少なくありません。
ニースの国連海洋会議を舞台に浮かび上がったコスタリカの取り組みは、私たちに「自国の海をどう守り、どう使っていくのか」という問いを静かに投げかけています。スマートフォンの画面越しに遠い海を眺めながら、自分の足元の海との向き合い方を考えてみるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








