中国語の「村・庄・寨」って何が違う?貴州・苗族の寨を訪ねる video poster
中国語では同じ「村」を表すのに、村・庄・寨という三つの漢字が使われます。貴州の苗族の集落が「寨」と呼ばれるのはなぜなのか、その背景と言葉の違いをやさしく解説します。
貴州・苗族の「寨」に足を踏み入れる
中国南西部の貴州省には、苗族の人びとが暮らす山あいの集落が点在しています。そこでは、日本語でいう「村」にあたる場所を、中国語で「苗寨」と呼ぶのが一般的です。
石畳の小道に沿って木造の高床式住居が並び、斜面にそって段々畑が広がる──そんな風景の中心にあるのが「寨」です。この一文字には、単なる居住地以上の意味が込められています。
中国語の「村」「庄」「寨」の基本イメージ
まずは、中国語で村を表す三つの漢字のイメージを整理してみましょう。
- 村(cūn):もっとも一般的な「村」を表す言葉で、平地でも山間部でも幅広く使われます。行政区画の名前としても日常的です。
- 庄(zhuāng):もともとは「荘園」や「農家の集まり」といった意味を持ち、やや古風な響きがあります。北方の地域名や屋号に残っていることが多い漢字です。
- 寨(zhài):本来は「砦」や「とりで」の意味を持ち、山の上などに築かれた防御性の高い集落を指しました。そこから、山間部の村や少数民族の集落を表す言葉として定着しました。
同じ「村」でも、漢字が変わると、地形や歴史的な背景までうっすらと読み取れるのが中国語の面白いところです。
なぜ苗族の集落は「寨」と呼ばれるのか
では、貴州の苗族の村が、なぜ「村」や「庄」ではなく「寨」と呼ばれるのでしょうか。ポイントになるのは、地形と歴史、そして暮らし方です。
- 山あいの地形と防御の必要性
貴州の苗族の集落は、急な斜面や谷あいに築かれたものが多く、かつては外敵から身を守るための防御機能も重視されていました。そのため、もともと「とりで」を意味する「寨」という漢字がふさわしいと考えられてきました。 - まとまりの強いコミュニティ
苗族の「寨」は、血縁や同じ氏族を中心にした、まとまりの強いコミュニティでもあります。入り口には門があり、「寨門」と呼ばれることもあります。門をくぐると「一つの世界」に入るような感覚があり、「寨」という漢字がその境界を象徴しています。 - 祭りや儀礼の舞台としての「寨」
苗族の人びとは、豊作祈願や新年の祭りなど、さまざまな行事を「寨」の広場や門のまわりで行ってきました。集落そのものが、生活と信仰の舞台になっていることも、「寨」という特別な呼び方につながっています。
こうして「寨」は、砦としての意味から、山の村、そして苗族のような民族色の強い集落を表す言葉へと広がっていきました。
ことばから見える中国南西部の歴史と多様性
2020年代のいま、中国語で地名を読むことは、その土地の歴史や文化にふれる一つの方法になっています。貴州の苗寨という言葉には、山あいで暮らしてきた人びとの知恵や、共同体として助け合ってきた歴史が反映されています。
同じように、中国各地には「村」「庄」「寨」だけでなく、「屯」「鎮」「堡」など、多様な地名の漢字が使われています。一文字の違いの背景には、
- どんな地形にあるのか
- どのように開かれた土地なのか
- どんな人びとが暮らしてきたのか
といった物語が隠れています。
中国語ニュースや旅行で地名を楽しむコツ
ニュース記事や地図、旅行ガイドで中国語の地名を見かけたら、最後の一文字に注目してみてください。
- 「〜村」とあれば、一般的な村落
- 「〜庄」とあれば、古くからの集落や農家の集まり
- 「〜寨」とあれば、山間部の集落や民族色の強い村
こんな小さな違いを意識するだけで、中国語ニュースも旅行も、少し立体的に感じられるはずです。貴州の苗族の寨をきっかけに、中国語の地名の奥行きを読み解いてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








