中国の青銅製「疾走する馬」像 シルクロードが生んだアイコン video poster
中国北西部・武威の漢代(紀元前202年〜西暦220年)の墓から出土した青銅製の疾走する馬像は、古代シルクロードを象徴する中国の代表的な文化財です。2002年以降は国外不出となったこの一頭が、なぜいまも世界の人々を惹きつけ、ミームにしたくなるほど愛されているのかを見ていきます。
シルクロードの要衝・武威で見つかった青銅の馬
この青銅の馬像は、中国北西部に位置し、古代シルクロードの重要な交易拠点だった武威の漢代の墓から発見されました。長い歴史のなかで多くの人とモノが行き交った土地から出土したこと自体が、すでにこの馬像に物語性を与えています。
出土した一体の馬が、いまでは中国を代表する文化財の一つとして知られ、2025年の現在もその存在感は色あせていません。
この馬像の三つの見どころ
- 古代シルクロードの要衝・武威にある漢代の墓から出土したこと
- 三本の脚が宙に浮き、一本の脚だけが飛ぶ鳥を踏むダイナミックな構図
- 2002年以降、中国国外への持ち出しが恒久的に禁止されている文化財であること
三本の脚は宙に、一本は飛ぶ鳥へ
この青銅の馬がひと目で印象に残る理由は、そのポーズにあります。いななきながら全力で駆ける姿で、三本の蹄は宙に浮かび、残る一本だけが飛んでいる鳥の背にそっと乗っています。
動き・優雅さ・力を一体で表現
重たい青銅でありながら、この馬像から伝わってくるのは、軽やかさと速度感です。
- 三本の脚が宙にあることで、今まさに地面を蹴って走り抜ける一瞬を切り取っているように見えること
- 首やたてがみの流れ、しなやかな胴体のラインにより、優雅さが強調されていること
- しっかりと前方を見据えたいななく表情から、野性味と力強さが伝わること
「動き」「優雅さ」「力」を同時に表現しながら、全体としては軽やかに空を駆けているようにも見える——そんな矛盾する要素が一体となっている点が、この作品の大きな魅力です。
足元の鳥をめぐる小さな謎
多くの人の好奇心をくすぐるのが、馬の足元にいる小さな鳥の存在です。この鳥が何を表しているのかについては、長く議論が続いてきました。
- ツバメではないかという説
- タカのような猛禽類だという説
- 現実の鳥ではなく、神話に登場する想像上の鳥だとみる説
どの説が正しいのか、決定的な答えは示されていません。ただ一つ言えるのは、鳥が「飛ぶもの」であり、その上に馬が蹄を乗せていることで、馬が風よりも速く空さえ駆ける存在として表現されているということです。
鳥の正体がはっきりしないからこそ、見る人それぞれが自由に想像を膨らませる余地が残されているとも言えます。
2002年以降は国外不出の文化財に
この青銅の馬像は、2002年以降、中国国外への持ち出しが恒久的に禁止されています。それだけ、この作品が国を代表する重要な文化財と位置づけられているということでもあります。
特に意味の大きい文化財について、移動や貸し出しに厳しい制限を設けることは、長期的な保存と安全を守るための方法の一つです。国外の展覧会で実物を見る機会がないからこそ、写真や映像、記事を通じてどのように向き合うかが、これからのテーマにもなっていきます。
ミームにしたくなる存在感
この馬像には、もう一つ現代的な魅力があります。それは、どこかユーモラスで「ミームにしたくなる」ような存在感です。
三本の脚を宙に浮かせ、一本だけで飛ぶ鳥に乗るという大胆な構図は、真剣でありながら、少しだけコミカルにも見えます。風のように速く、歴史のように重く、それでいて親しみやすい。そのギャップが、インターネットやSNSの時代にも共感を呼びやすいポイントと言えるでしょう。
もし初めてこの馬像の写真を目にしたなら、思わずスクリーンショットを撮って、友人や家族に共有したくなるかもしれません。それは、古代の工芸品でありながら、どこか現代的なキャラクター性を感じさせるからです。
遺物が語りかけるもの
「遺物が語る」とは、ただ昔のものを眺めることではありません。一つの作品を通して、当時の人々の技術、遊び心、美意識、そして世界の見え方を追体験してみることです。
シルクロードの要衝だった武威の地から、漢代の墓に眠っていた青銅の馬が、2025年の私たちに語りかけてくることは何でしょうか。
- 遠い時代の人々も、スピードや力強さに憧れを抱いていたこと
- 日常の動物や鳥を題材にしながら、想像力によって新しい表現を生み出していたこと
- 一つの造形が、何世紀も経てなお、人の心を動かし続けること
画面越しに見るだけでも、この青銅の馬像は多くの問いを投げかけてきます。古代の工芸品を「遠い世界のもの」として眺めるのではなく、自分の感覚や日常の感覚とつなげてみると、そこから新しい国際ニュースの見え方や、文化との付き合い方が静かに変わっていくかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








