中国の献血制度が強化 安全性向上と全国ネットワーク整備が進む
中国で、献血制度の安全性と安定供給をさらに高める取り組みが進んでいます。中国国家衛生健康委員会(NHC)は、自発的な献血制度が全国で整備され、血液の安全性が世界でも高い水準にあると説明しました。
自発的な献血制度が全国で定着
中国は、金銭などの対価を伴わない自発的な献血を基本とする制度を全国的に整備しました。国家衛生健康委員会の高光明氏は記者会見で、こうした制度によって安定した血液供給の基盤がつくられていると述べています。
同氏によると、中国の血液安全の水準は、現在、世界の中でも高いレベルに位置付けられているということです。これは、医療現場で安心して輸血を行うための重要な前提条件です。
感染症リスクを抑える検査体制の強化
血液の安全性向上に向けて、中国は血液スクリーニング(検査)プログラムを拡充し、検査技術を高度化しています。これにより、輸血による主要な感染症の伝播を効果的に遮断していると説明されています。
検査対象の拡大と精度の向上は、ドナー(献血者)と患者の双方を守る取り組みです。輸血医療への信頼を高めるうえでも、検査体制の継続的な強化は欠かせません。
緊急時に備えた全国的な供給ネットワーク
中国は、血液供給に関する全国的な緊急対応システムも強化しています。この仕組みによって、必要に応じて地域をまたいだ血液の融通を行い、重要な地域や時期に十分な血液を届けられる体制を整えているとされています。
例えば、大規模災害や事故、多くの人が移動する連休シーズンなど、血液需要が急増する場面では、こうしたクロスリージョナル(地域間)での配分能力が、医療現場の安心につながります。
鉄道ネットワークを活用した啓発キャンペーン
自発的な献血を社会全体に広げるための意識啓発も重視されています。国家衛生健康委員会は中国鉄路集団と連携し、全国の鉄道インフラを活用したキャンペーンを展開しています。
発表によると、全国3,000を超える鉄道駅と4,200本以上の高速列車の車内に設置された、合計26万面のスクリーンで、献血に関する動画やポスターが放映されています。日常的に多くの人が利用する鉄道を通じて、献血の重要性を繰り返し伝える狙いがあります。
機関・大学・企業が「率先して献血」を促進
高氏は、党および政府機関、大学や専門学校、企業や公的機関などが、献血で「模範となる役割」を果たすよう奨励しているとも述べました。職場やキャンパスでの集団献血など、組織単位で参加する機会をつくることで、社会全体の献血文化を育てていく狙いがあります。
こうした取り組みは、個人の善意に頼るだけでなく、組織も一体となって公共の医療基盤を支えるというメッセージでもあります。
人口1,000人あたり11.4人が献血
記者会見では、中国の献血率が人口1,000人あたり11.4人であることも明らかにされました。この数字は、献血制度が一定程度社会に浸透していることを示す一方で、さらなる向上の余地も読み取れる指標といえます。
献血率は、単なる統計ではなく、医療体制の強さや社会の信頼関係とも深く結びつく数字です。今後、この数値をどう高めていくかは、中国にとっても継続的な課題となりそうです。
日本の読者にとっての意味
中国の献血制度強化は、一国の医療体制の話にとどまりません。大量の人やモノが国境を越えて行き来する時代において、血液の安全性や感染症対策は、国際的な公共財ともいえるテーマです。
日本でも献血者の高齢化や人口減少が課題となる中、中国のように制度・技術・社会啓発を組み合わせて取り組む姿勢は、一つの参考事例として注目されます。日常のニュースとして読むだけでなく、「自分の国の献血制度や医療体制はどうなっているか」を考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
China strengthens blood donation system with enhanced safety measures
cgtn.com








