中国が張衡1-02衛星を打ち上げ 自然災害監視と国際協力の最前線
自然災害の予測精度を高めることを目指し、中国が電磁観測衛星 張衡1-02を打ち上げました。宇宙・空・地上を一体で結ぶ新しい防災インフラとして注目されています。
自然災害監視を担う張衡1-02が軌道へ
中国は土曜日、主要な自然災害の監視能力を高めるための電磁観測衛星 張衡1-02を打ち上げました。中国国家宇宙局(CNSA)によると、長征2D(ロングマーチ2D)ロケットが中国北西部の酒泉衛星発射センターから北京時間15時56分に離昇し、衛星を予定軌道に投入しました。
今回の打ち上げは、長征ロケットシリーズにとって通算581回目のミッションとなります。張衡1-02は、中国の「宇宙・航空・地上」を統合した自然災害監視体制の中核を担う存在と位置づけられています。
張衡計画とは 地震計の先駆者の名を継ぐ衛星
衛星の名称は、約1800年前に世界初の地震計を発明したとされる中国の科学者・張衡に由来します。張衡1-02は、中国とイタリアが共同開発した衛星で、中国の中長期民生宇宙インフラ計画のもとで運用される、地球の「物理場」の探査に特化した初の運用衛星とされています。
張衡1-02の設計寿命は6年で、機体には9種類の観測機器が搭載されています。この中には、中国とイタリアが共同開発した電場検出器や、イタリア側が開発した高エネルギー粒子検出器などが含まれています。
何を観測し、どう防災に生かすのか
中国国家宇宙局によると、張衡1-02は地球規模の電磁場や電磁波、電離圏、中性大気をほぼリアルタイムで観測します。これらは総称して「地球の物理場」と呼ばれる領域で、地震などの地質活動と深く関わると考えられています。
システム工学部の副主任である彭偉氏は、衛星で得られるデータについて次のように説明しています。科学者たちは、地球物理場の変化と地質活動との相関関係を研究し、次のような現象の予測研究に役立てることを目指しています。
- 地震
- 津波
- 火山噴火
- 極端気象
- 宇宙天気(太陽活動などによる障害)
こうしたデータが蓄積されれば、災害発生の直前や前兆に伴う電磁環境の変化がより精密に把握できる可能性があります。それは将来的な予測精度の向上や、早期警戒システムの高度化につながると期待されています。
張衡1-01との連携で観測力を強化
張衡1-02の相棒となるのが、2018年に打ち上げられた張衡1-01です。張衡1-01は現在も正常に稼働しており、新たに加わった張衡1-02と組み合わせることで、二機による協調観測体制が構築されます。
二機体制となることで、同じ地域を観測できる頻度が高まり、時間的な空白を減らすことができます。イタリア側の関係者は、さらに将来コンステレーション(多数の衛星から成る観測網)へと発展すれば、観測時間が実質的に倍増し、研究の可能性が大きく広がると述べています。
中国×イタリアの共同プロジェクト「Limadou」
張衡1-02は、中国とイタリアの共同ミッションとして開発されました。イタリア宇宙機関で工学・技術部門の副局長を務めるフランチェスコ・ロンゴ氏は、この計画を「重要なマイルストーン」と位置づけ、多くの成果への期待を語っています。
ロンゴ氏は、イタリアについて「美しいが繊細な国」であり、火山や地震など人々の生活に影響を与える自然現象が多いと指摘。その上で、このミッションが自然災害の影響を受ける人々の生活を守り、改善することに貢献すると強調しました。
イタリア側はこの共同プロジェクトに「Limadou(リマドウ)」という名称を付けています。これは16世紀のイタリア人宣教師マテオ・リッチの中国名の発音に由来し、彼が東西の文化交流に果たした役割に敬意を表したものです。
ロンゴ氏は、マルコ・ポーロやマテオ・リッチがイタリアと中国の文化をつないだ存在であったように、宇宙開発もまた国と国をつなぐ架け橋になり得ると述べています。自然災害の研究という共通の課題を通じて、国際協力の新しい形が生まれつつあると言えます。
「宇宙・空・地上」を結ぶ新しい防災インフラ
今回の張衡1-02の打ち上げは、中国が掲げる「宇宙・空・地上」を統合した自然災害監視体制の強化という文脈の中で位置づけられています。衛星による広域観測に加え、航空機や地上センサーなどと組み合わせることで、立体的な監視ネットワークの構築を目指しているとされています。
地震や津波、火山噴火、極端気象といった自然災害は、多くの国や地域が共通して直面する課題です。張衡1-02のような衛星は、こうした災害のメカニズム解明を進めるとともに、将来的には各国の防災政策やインフラ整備にも間接的な影響を与える可能性があります。
私たちが押さえておきたいポイント
今回のニュースを通じて、押さえておきたいポイントを整理します。
- 中国が電磁観測衛星 張衡1-02を打ち上げ、自然災害監視能力の向上を目指していること
- 衛星は地球の電磁場や電離圏などをほぼリアルタイムで観測し、地震や津波などの予測研究に役立つデータを提供すること
- 2018年打ち上げの張衡1-01と連携し、二機体制で観測精度と頻度を高めていること
- 中国とイタリアの共同プロジェクト「Limadou」として進められ、災害多発国同士の協力という側面を持つこと
- 宇宙開発が、防災や命を守る取り組みと密接に結びつきつつあること
宇宙開発というとロケットや探査機が注目されがちですが、張衡1-02のような衛星は、私たちの日常生活と直結する「見えないインフラ」としての役割を担い始めています。今後、このミッションからどのような科学的成果や国際協力の動きが生まれるのか、引き続き注目したいところです。
Reference(s):
China launches Zhangheng 1-02 satellite to monitor natural disaster
cgtn.com







