世界献血者デー:中国の若者と教職員が語る献血の理由
2025年の世界献血者デーをきっかけに、中国の大学キャンパスで改めて献血の意味が見直されています。今年5月、北京交通大学では、卒業を控えた学生や教職員が、それぞれの思いを胸に献血に参加しました。
卒業の節目を献血で迎えた22歳の学生
北京交通大学の機械・電子・制御工学系に学ぶ22歳の董軍さんは、大学生活の締めくくりとして献血を選びました。6月の卒業を前に、長く過ごしたキャンパスに何かを残したいと考えたといいます。
董さんは、血液について次のように話しています。血液は人工的に作ることができず、病院は主に一般の人の献血に頼っています。だからこそ、自分も社会の一員として協力したいと感じたといいます。
まもなくキャンパスを離れる今、大学コミュニティに少しでも貢献したかったという董さん。献血をすることで、社会に対して小さいけれど意味のあることができたと実感しているそうです。なお、今回が初めてではなく、最初に献血をしたのは18歳の時でした。
血液不足に直面する中で始まったキャンペーン
今回の献血は、北京赤十字血液センターが血液供給への圧力が高まっていると報告したことを受けて、北京交通大学が立ち上げたキャンペーンの一環でした。大学は特に、卒業を控えた学生や教職員に参加を呼びかけました。
大学キャンパスは若い世代が集まる場所であり、安定した献血基盤としても期待されています。学生にとっては、身近な場所で参加しやすい社会貢献でもあります。今回の取り組みは、医療現場のニーズと大学コミュニティの力をつなぐ試みだといえます。
家族の輸血体験が後押しした教職員の決断
呼びかけに応じたのは学生だけではありません。電子情報工学系のカウンセラーである李兆毅さんも、その一人です。今回が2回目の献血でした。
李さんの動機には、個人的な体験がありました。かつて家族の一人が病気で輸血を受けたことがあり、その時に見知らぬ人の善意が命を支えるという現実を目の当たりにしたといいます。
人を助けることができることは本当に幸せなことだと感じた李さんは、その思いを行動に移しました。献血だけでなく、造血幹細胞ドナーとしても登録し、重い病気とたたかう人たちにとって、より大きな支えになりたいと考えています。
二つのストーリーから見える献血の理由
董さんと李さん、二人のストーリーには共通点があります。それは、献血を単なる一時的な善意ではなく、日々の暮らしとつながった行動として捉えている点です。
- 自分を育ててくれた大学やコミュニティへの恩返し
- 家族の経験を通じて実感した、見えない誰かの支えへの感謝
- 血液は人工的に作れないという現実への理解
- 大きなことはできなくても、小さな行動で社会とつながりたいという思い
こうした動機が重なり合うことで、献血という行為は個人の善意を超えた社会のインフラとして機能していきます。
静かな行動がつくる連帯のかたち
血液は、いまの医療では他のもので代替することが難しい資源です。その供給を支えているのは、特別な英雄ではなく、董さんや李さんのようなふつうの人々の静かな決断です。
世界献血者デーは、そうした名もなき献血者たちの存在に光を当てる日でもあります。今回の北京交通大学の取り組みは、中国の若い世代や教育現場の中に、着実に連帯の意識が育っていることを示しているといえるでしょう。
身近な誰かが輸血で命を救われたとしたら、自分はどう感じるだろうか。そして、自分にできる小さな一歩は何か。こうした問いを静かに投げかけてくれるのが、献血という行為なのかもしれません。
Reference(s):
World Blood Donor Day: What drives people to donate blood in China?
cgtn.com








