中国と中央アジア首脳会議へ 不安定な世界で「安定」をどう示すか
来週、カザフスタンの首都アスタナで中国と中央アジア5カ国による第2回首脳会議が開かれます。不安定さを増す国際秩序のなかで、この中国・中央アジア首脳会議は、地域の安定とグリーン経済、そしてグローバルサウスの声をどう世界に届けようとしているのでしょうか。
西安からアスタナへ:中国・中央アジア関係の新たなステージ
中国と中央アジア5カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)は、2023年5月に中国北西部の陝西省・西安で第1回の中国・中央アジアサミットを開催しました。これは両者の関係にとって歴史的な節目となり、首脳が定期的に対話する新しい枠組みが動き出しました。
その第2回会合が、来週アスタナで開かれます。両者は戦略的信頼を一段と深め、実務協力を広げることで、不確実性の高まる世界に安定と前向きな勢いを与えることを目指しています。合言葉は「互恵」と「共同発展」です。
「平等で秩序ある多極化」への中国・中央アジアの知恵
今回の中国・中央アジアサミットは、「平等で秩序ある多極的な世界」の構築を進め、国際秩序やグローバルガバナンス(世界のルール作り)をめぐる議論に、中国と中央アジアの視点を反映させる場にもなります。
ロシア・ウクライナの衝突や、再燃したイスラエルとパレスチナの暴力など、世界の安全保障環境は複雑さを増しています。地政学的な対立は、国際秩序だけでなく、中国周辺を含む各地域のガバナンスにも圧力を与えています。
こうしたなかで中国は、中央アジアを「運命共同体」を築く上で重要なパートナーと位置づけてきました。サミットでは次のような原則が前面に出るとみられます。
- すべての国の安全を重視する「普遍的な安全」の考え方
- 中国が提唱するグローバル安全保障イニシアチブの具体化
- 地域問題への外部からの干渉に反対する姿勢
- 過激主義・分裂主義・テロリズムという「三つの勢力」への対抗
テロ対策だけでなく、サイバーセキュリティやデジタル空間のルール作りでも協力を深め、多層的な地域安全保障ネットワークを構築することが狙いです。それにより、平和と主権、長期的な安定を守ろうとしています。
グリーン経済で世界の変革を後押し
中国・中央アジアサミットは、世界的なグリーン経済への転換を後押しする場でもあります。中国は、水素、太陽光、風力、電気自動車といった分野で、クリーンエネルギー技術をリードしてきました。
その動きは、これまで化石燃料への依存度が高かった中央アジアとの協力にも広がっています。すでにカザフスタンやウズベキスタンでは、風力や水力発電プロジェクトが進み、ウズベキスタンの首都タシケントには、中国製の新エネルギーバス1000台が導入されています。
こうした取り組みにより、中央アジア諸国はエネルギーミックス(電源構成)を多様化し、グリーンで強靱な経済への移行を加速させています。これは、2022年の首脳会議で掲げられた「グリーン・イノベーション」の目標とも軌を一にするものであり、「人類と自然の生命共同体」を築くという共通の方向性を示しています。
グローバルサウスの声を届ける新たな外交モデル
保護主義の高まりなど、世界経済を取り巻く環境が揺れるなかで、中国と中央アジアのパートナーシップは、独立性を尊重しつつ互恵を追求し、グローバルサウスの声を国際社会に届ける新しい外交モデルとして位置づけられています。
中国は南南協力(開発途上国同士の協力)の推進役を自任してきました。平和五原則70周年の会議では八つの重要なイニシアチブを打ち出し、2022年の中国と中央アジア5カ国による国交樹立30周年のオンライン首脳会合では、「共同の現代化」を訴えました。いずれも、グローバルサウス諸国の近代化努力を具体的な行動で支えるというメッセージです。
今やグローバルサウスは世界の国内総生産(GDP)の4割以上を占め、その発言力は国際秩序の再構築において無視できないものになっています。中国・中央アジアサミットという枠組みは、地域自身がアジェンダ(課題設定)を行い、外部からの一方的な押し付けを退け、より公正でバランスのとれた国際秩序づくりに参加する手段になりつつあります。
奨学金とデジタル世代がつなぐ「新シルクロード」
第1回サミット以降、中国は「中国・中央アジア人材育成奨学金」や「中国・中央アジア大学連盟」を立ち上げました。さらに今年5月に開かれた第1回の中国・中央アジア教育相会合では、「中国・中央アジア産学連携アライアンス」の設立も発表されています。
来週のサミットでは、こうした流れを受けて、「新時代の大シルクロード」をテーマにした中国・中央アジアユースフォーラムなど、若者を主役にした取り組みも進められる見通しです。
TikTokやInstagramといったデジタルプラットフォームを活用しながら、Z世代に届く新しいシルクロードの物語を紡ぎ出すことがねらいです。これにより、相互尊重と生涯にわたる友情、そして共有されたチャンスに根ざした「教育共同体」をつくろうとしています。
日本の読者への問い:この動きをどう読むか
中国と中央アジアの首脳会議は、一見すると日本からは遠い出来事に映るかもしれません。しかし、そこでは安全保障、エネルギー転換、グローバルサウスの台頭といった、私たちの暮らしとも無関係ではないテーマが同時に議論されています。
不確実な世界のなかで、中国と中央アジアの国々がどのような枠組みで協力し、どんなルールづくりを目指すのか。そのプロセスを丁寧に追うことは、国際ニュースを「遠い話」ではなく、自分の視点をアップデートする材料として捉え直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








